AI(人工知能)半導体(GPU)で先頭を走る米エヌビディアの時価総額が直近で一時3兆ドルを超え、アップルを抜き首位のマイクロソフトに接近する場面がありました。
株価の評価の高まりは5月22日に2~4月期決算が発表され、事前予想の高いハードルを越える内容となったことなどが要因です。
売上高は前年同期比3.6倍の260億4,400万ドルで、市場予想の約246億ドルを上回りました。
部門別ではデータセンター向けが同5.3倍とけん引しまし、純利益は同7.3倍の148億8,100万ドル(2兆3,000億円)でした。
5~7月期の売上高見通しは274億4,000万~285憶6,000万ドルを見込み、レンジの下限でも市場予想約266億ドルを上回っています。
また、増配と1対10の株式分割も発表しました。
分割後にはダウ工業株30種平均に採用されるとの見方も浮上しています。
数字面の強さもさることながら、アナリストをうならせたのはその内容です。
現行の主力製品は「H100」で、拡張版の新モデルである「H200」の量産が5~7月期に開始され、注目の革新的な次世代半導体「ブラックウェル」が5~7月期にも投入される見込みです。
米アナリストは「移行期にあっても買い控えによる成長鈍化の兆しが見えない点が驚き」としていました。
「H200」は「H100」に比べて処理能力が45%向上し、「ブラックウェル」はCPU(中央演算処理装置)と組み合わせることで同30倍の性能になるとされています。
「H200」、「ブラックウェル」ともに需要が供給を大きく上回っているとのことです。
「ブラックウェル」は第4四半期には顧客のデータセンターに装着されて稼働するようです。
「H100」から「H200」、「H200」から「ブラックウェル」への転換が可能になるように「下位互換性」があり、これも評価ポイントになっているようです。
2025年も上位製品への需要増で売上高の大幅増が続く見込みです。
同社に関連する、あるいは関連する可能性がある企業も注目されそうです。
AI半導体で圧倒的な強み。
当初はゲームのきめ細かい描写に用いられていたGPU(画像処理装置)を短時間に大量の情報を処理する計算専門のAI半導体として活用。
年内には「ブラックウェル」の量産体制が整う見通し。
2025年には「ブラックウェル・ウルトラ」、2026年にはその後継である「ルービン」を投入すると公表している。
台湾セミコンダクター マニュファクチャリング ADR TSM
世界最大の半導体受託製造企業。
エヌビディアは半導体の設計に特化し、製造はTSMCに委託している。
エヌビディアからはAI向けのサーバーなどに搭載する先端品の生産を独占的に請け負っている。
アップルやAMDなども顧客であり、AI関連の需要増による恩恵が大きい。
半導体の設計やテストに使用するEDA(回路自動設計)ソフト大手。
エヌビディアは自社のGPUやその他の半導体を設計する際に、同社のEDAツールやIP(知財)を活用しているとされる。
DRAMやフラッシュメモリーに展開する半導体大手。
AI半導体には製造の後工程でHBM(高帯域メモリ―)が必要だが、同社はHBMで韓国SKハイニックス、サムスン電子に次ぐ世界3位のメーカー。
最先端の「HBM3e」の量産を開始し、上位2社を追う。
高性能で効率の高いサーバーやデータを保管するストレージシステムを設計・製造。
GPU(AI半導体)やメモリ、ストレージなどをエヌビディアやインテルといった主要部品のサプライヤーと緊密に連携。
データセンターの運用コストを低減する製品などを提供。
S&P500採用銘柄。
米電力大手の一角。
発電と電力小売りの総合企業。
データセンター需要の増加は、電力需要の増大を意味する。
ガスや原子力の発電所も有しており、供給能力が高いとみられている。
S&P500採用銘柄。