タイパで関心高まる「完全栄養食」。関連銘柄をピックアップ! タイパで関心高まる「完全栄養食」。関連銘柄をピックアップ!

タイパで関心高まる「完全栄養食」。関連銘柄をピックアップ!

人間が必要とする栄養素をバランスよく含んだ「完全栄養食」への関心が高まっています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」で肉や卵などのたんぱく質、米などの炭水化物(食物繊維)、ビタミン(13種類)、ミネラル(ナトリウムなど13種類)、脂質で33栄養素を上げていますが、ここを基準に作られているものです。
一言でいえば「健康に必要な栄養素をすべて含んだ食品」です。
1990年代中盤から2010年代半ばに生まれたいわゆるZ世代が、限られた時間内にどれだけの効率性や満足度を得られるかという「タイムパフォーマンス(タイパ)」を重視する傾向が強いようです。
こうした中で、簡単に必要な栄養素を取り込むことができる完全栄養食へのニーズが高まってきています。

完全栄養食はまず米国で2010年代前半に飲料として登場したのが最初といわれています。
水などに粉末の栄養素を溶かしたもので、その後にバー状の製品など食事を補助するものとして出回りました。
日本では1980年代半ばから栄養補助食品として「カロリーメイト」(大塚ホールディングス)が登場しました。
補助的な食品から主食に「格上げ」されたのが現在東証グロース市場に上場しているベースフードが発売した「BASE FOOD(ベースフード)」です。
同社は2016年に設立したスタートアップ。
2017年に自然食材を多く使用したパスタ「ベースパスタ」を発売し、2019年にはパンが登場しています。
以来、主食として存在感を高めてきました。
IT企業に勤務していた創業者が、激務の中で栄養バランスがとりにくく、「主食だけで健康になれないか?」と考えたのが開発のスタートだったということです。
会社のホームページによると「ベースフードには26種類のビタミンやミネラル、たんぱく質、食物繊維などからだに必要な栄養素がぎゅっと詰まっており、1食に1日に必要な栄養素の3分の1がすべて含まれている」としています。

2022年には日清食品が33種の栄養素を摂取できる「完全メシ」を投入。
カロリーパフォーマンス(カロパ)の高い「カレーメシ」や「UFO屋台風焼きそば」などを発売しています。
カロパとは摂取カロリー当たりの栄養バランスのことで、忙しい時でも簡単に栄養が摂取できることを「ウリ」にしています。

調査会社のグローバルインフォメーションによると、完全栄養製品の市場規模は2023年に55憶6,000万米ドル。
健康意識の高まり、高齢化人口の増加、多忙なライフスタイルなど、栄養不足に対する意識の高まりが成長要因としています。
2028年には市場規模75億8,000万ドル(約1兆2,000億円)とCAGR(年平均成長率)6%超の拡大になると試算。
肥満、心血管疾患、がんなどの有病率の上昇で市場が成長すると予想しています。

関連銘柄をピックアップします。

ベースフード(2936)ベースフード(2936)

完全栄養食のパスタやパン「ベースフード」シリーズを手掛けている。
自社ECサイトでの定期購入者が軸だが、スーパーなどへの卸販売も手掛けている。
パンの種類が順次増加しているほか、パンケーキミックス、クッキーなども手掛けている。
2024年4月にはカップのソース焼きそばを発売した。
3~5月期決算では営業赤字幅が拡大も、EC加入者は増加。

ベースフード(2936)

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日清食品ホールディングス(2897)日清食品ホールディングス(2897)

2022年5月に33種の栄養素を含んだ「完全メシ」を投入。
会社側によると累計で2,600万食を突破。
「カレーメシ」などお湯を注いで調理する以外に、冷凍食品の「完全メシDELI」にも展開している。
DELIではパスタやカツ丼、お好み焼き、五目あんかけ焼きそばなどバリュエーションも豊富。
管理栄養士と共同開発しているという。

日清食品ホールディングス(2897)

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味の素(2802)味の素(2802)

2024年1月に女性のための完全栄養食「One ALL(ワンオール)」を発売。
20種のスパイスを使ったバターチキンのスープパスタと、4種のチーズを使ったスープパスタの2種類。
食事摂取基準で定められている33種類の栄養素を含み、摂り過ぎが気になる「熱量・炭水化物・脂質」以外を、18歳以上女性の基準値の3分の1以上を含んでいる。

味の素(2802)

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ポーラ・オルビスホールディングス(4927)ポーラ・オルビスホールディングス(4927)

化粧品大手。
2024年5月にオルビスが新規事業として完全食おにぎり「COCOMOGU(ここもぐ)」を投入。
冷凍で、専用オンラインストアで販売を開始。
酸化防止剤や香料などの添加物を使用せず、体に必要なものだけを取り入れられる設計。
セット販売で、「さばと大葉としらすのおにぎり」、「鶏とひじきの五目おにぎり」などを展開。

ポーラ・オルビスホールディングス(4927)

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森永製菓(2201)森永製菓(2201)

菓子大手。
栄養補助食品の「inゼリーシリーズ」に展開。
「アクティブに生きる現代人の栄養をサポート」として、1袋で1食分の栄養が摂取できる「inゼリー」の最高峰「inゼリー 完全栄養」(カラメルプリン味)を手掛けている。

森永製菓(2201)

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和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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