米株式市場で、米アップル社への関心が高まっています。
6月中旬には時価総額が米マイクロソフトを抜いて、世界首位になる場面もありました。
このところAI(人工知能)半導体のエヌビディアの話題ばかり取り上げられることが多かったこともあり、久々に存在感を示している格好です。
注目を集める契機になったのが、6月10日にカルフォルニアの本社で開発者向けの年次イベント「WWDC」を開催し、基調講演で生成AI(人工知能)機能である「Apple Intelligence(アップル・インテリジェンス)」を発表したことです。
音声アシスタント「Siri(シリ)」などにおいて、オープンAIが開発して普及が加速している対話型AIである「Chat(チャット)GPT」も使えるそうです。
アップルが展開するスマートフォン「iPhone」シリーズについては性能への評価は高いものの、買い替えを促すほどの機能アップが乏しかったことや、中国での販売低迷などもあり、株式市場で刺激材料になることが少なくなっていました。
今回の生成AI搭載は、久々に投資家の期待が高まっていることを株価が示唆しています。
米系証券のアナリストは「次に発売されるiPhone16シリーズでは買い替えの動きが加速する可能性がある」と指摘しています。
なお、報道によれば英語圏では今年秋に生成AIモデルが発売され、それ以外では2025年になる見通しとのことです。日本では来年になるようです。
国内大手証券では「中華圏では昨年ファーウェイがスマホに再参入したことでシェアを奪われていたが、この巻き返しも予想されるとしている」ともしています。
アップルのサプライヤーや、取引先などの業績寄与も見込めそうです。
関連銘柄をピックアップします。
iPhone、iPad、ウェアラブル端末などヒット商品を相次いで投入。
デジタルコンテンツ、決済サービスなども。
生成AIでは、「siri」については発表会のデモで、メッセージアプリで友人から送られてきた住所などの情報を認識して「この住所を連絡先に追加して」と話しかければアクションを実行。
また、「この前撮った写真を友人にメッセージで送って」など違うアプリを操作するアクションにも対応するという。
メールでは重要度に応じた閲覧や、要約も可能になるもよう。
半導体の世界大手。
半導体ソリューションと基盤ソフトウエア事業に展開。
M&Aを駆使し成長。
AI関連のデータセンター投資を追い風に半導体事業が順調に拡大。
アップルのサプライヤーで、同社向け売上高比率が高い。
スマートフォン用半導体の世界大手。
通信技術有力方式のCDMAに強みがある。
自社工場を持たないファブレスメーカー。
一時は大口顧客のアップルや当局との訴訟が逆風も、2019年に和解が成立。
生成AI向けチップを投入へ。
スカイワークスソリューションズ SWKSスカイワークスソリューションズ SWKS
高性能なアナログICなどの設計・製造技術を活かし、ワイヤレス通信関連ソリューションを提供。
売上高の過半がアップル向け。
スマホなどの通信機構搭載機器に組み込まれる。
マイクロン・テクノロジー MUマイクロン・テクノロジー MU
パソコンやモバイルなどで使われるDRAMやNANDフラッシュメモリーの開発・製造を手掛ける。
生成AIブームでHBM(広帯域メモリ)の需要が拡大中。
アップルの調達先。
iPhone向けには消費電力を抑えながら転送速度の速い次世代型メモリなどを供給している。
マイクロチップ・テクノロジー MCHPマイクロチップ・テクノロジー MCHP
様々な制御アプリに組み込む半導体製品の開発、製造から販売までを行う。
iPhone向けには「Homekit」をサポートするWi-Fiソフトウエア開発キットなど幅広く展開している。
アーム・ホールディングス ARMアーム・ホールディングス ARM
アップルとの関係は長く、1993年にArmアーキテクチャを採用した情報端末プラットフォーム「Apple Newton」を発売。
2023年9月には同社とアップルとの間で半導体技術に関する新たな取り決めを結んだことが分かったとの報道。
期間は2040年以降に延長されているという。
スマホの基本設計などに関するものとみられている。