主要半導体企業の23年10~12月期決算をチェック! 主要半導体企業の23年10~12月期決算をチェック!

主要半導体企業の23年10~12月期決算をチェック!

株式市場では半導体関連株がここにきて一段と注目を集めています。
生成AI(人工知能)の普及や自動運転で演算などに使われる半導体の需要が伸びているためです。
今回は先に発表された主要関連企業の10~12月期決算をチェックしたいと思います。
生成AIとは様々なコンテンツを作る(生成)AIのことです。
従来のAIが決められた行為の自動化が目的であるのに対し、生成AIは与えられたデータのパターンなどを学習し、新しいコンテンツを作ることができます。
そのためには膨大な量の計算が必要で、対応する半導体の性能の向上が求められています。
データセンターとはサーバー(顧客要求に応えるコンピュータ)やネットワーク機器を設置するために作られた特別な建物で、高速計算が必要なサーバーを運用するのに不可欠です。
AI向け半導体の増加で、データセンターの需要も高まります。
また、半導体の性能を上げるためには半導体の線幅を細くする必要もあります。
線幅10ナノ(ナノは10億分の1)メートルを下回るような半導体が登場し、現在の先端は3ナノ品です。
事業環境は良好といえます。
では、主要半導体企業の10~12月期決算をチェックします。

アーム・ホールディングス ARM

英半導体の設計大手。ソフトバンクグループ傘下。
23年10~12月期の売上高が前年同期比14%増の8億2400万ドルだった。利益は先行投資負担で減益も、1株利益は市場予想を上回った。人工知能(AI)向けの需要拡大がけん引役となった。
ライセンス収入やロイヤルティ(売上高に応じた収入)が伸びている。新製品の「Armv9」が従来のスマートフォン向けのみならず、ITインフラ用途、AI向けなどにも拡大しているという。24年3月期通期の売上高見通しを31億5500万ドル~32億5000万ドルと従来予想の29億6000万ドル~30億8000万ドルから引き上げている。

アーム・ホールディングス ARM

週足表示、2024年2月13日まで
価格はNYSEBQT参照

TSMC TSM

半導体受託生産(ファウンドリ)の世界最大手。世界シェアは推定5割超。顧客が設計した半導体の製造を受託する。大規模な設備投資を継続し、常に先端の半導体を生産する強みがある。
日本では熊本に工場を開設し、年内にも量産化に進む。
23年10~12月期は売上高が前年同期比微減の6255億台湾ドル(約2兆9000億円)、純利益は同19%減だった。ただ、24年12月期は生成AI関連のサーバーやスマホ端末上で動くエッジAIなど向けが拡大し、前期比2割超の増収を見込む。
売上高は過去最高になる見通し。先端の半導体線幅3ナノメートルへの需要も高まっている。

TSMC TSM

週足表示、2024年2月13日まで
価格はNYSEBQT参照

インテル INTC

米半導体大手。設計・製造・販売を自社で一貫して担う垂直統合モデルに強みがある。ファウンドリ事業を強化する方針。
23年10~12月期は売上高が前年同期比10%増の154億600万ドル。8四半期ぶりの増収で、最終損益は黒字を確保。ただ、データセンター・AIの回復ペースは緩やか。24年1~3月期の売上高計画(中央値)は約127億ドル(前年同期比8%増)で、市場予想には届かず。データセンター向けは第2四半期以降、四半期ごとに改善するとの見方が示されたという。

インテル INTC

週足表示、2024年2月13日まで
価格はNYSEBQT参照

ASMLホールディングス ASML

半導体製造用露光装置で世界シェアトップ。特に微細化に不可欠なEUV(極端紫外線)露光装置は独占供給。同社以外に作る技術を持っている企業はない。
23年10~12月期の売上高は前年同期比13%増の72.4億ユーロ、粗利益率は51.4%と高水準。EUV露光装置は13台と順調に推移。24年12月期通期では売上高前年比横ばい、粗利益率はやや低下との見方。旧世代の露光装置の中国向け売上高が一服するもよう。ただ、24年は投資の年とし、25年に大きく成長する見通しとしている。25年には最先端2ナノ対応の露光装置量産化が視野に入るとみられている。

ASMLホールディングス ASML

週足表示、2024年2月13日まで
価格はNYSEBQT参照

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ AMD

米半導体大手。パソコンに使われるプロセッサチップやゲームなど向けのグラフィックスチップなどに強みがある。
23年10月~12月期の売上高は前年同期比10%増の61億6800万ドル。純利益は買収に伴う償却費用の減少で同32倍の6億6700万ドルだった。AI向けの半導体の収益拡大が要因。データセンター事業は同38%増だった。24年1~3月期は売上高予想(中央値)で前年同期比1%増の約54億ドル。データセンターなどは伸びるが組み込みやゲーム向けが在庫調整などで2ケタ減収の見込み。通年ではAI関連のポートフォリオが伸び、粗利益率が改善する見込みという。

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ AMD

週足表示、2024年2月13日まで
価格はNYSEBQT参照

auカブコム証券の米国株式

和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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