久々に関心を集めるFCV(燃料電池車)関連銘柄をピックアップ! 久々に関心を集めるFCV(燃料電池車)関連銘柄をピックアップ!

久々に関心を集めるFCV(燃料電池車)関連銘柄をピックアップ!

燃料電池自動車(FCV)が久々に関心を集めています。
ドイツの自動車大手BMWが9月5日に、FCVの開発でトヨタ自動車と全面提携すると発表したことが契機となっています。
BMWは2028年に、同社初となる量産FCVの販売を始めます。
FCVはトヨタが2014年に世界で初めて量産車「MIRAI」を発売して話題を集めましたが、水素ステーションの少なさや価格の高さなどが影響して普及が進んでいません。
2024年3月期末の世界販売台数は4,000台程度と報じられています。
FCVは水素と酸素の化学反応で発生する電気を動力源にする自動車のことです。
電気自動車(EV)の一種ともいえますが、EVは搭載しているバッテリーに対して外部から充電を行うのに対し、FCVは水素をタンクに充填し、クルマの中で発電しながらモーターを回して走ります。
水素と酸素が化学反応を起こすと、電気と水が発生します。
どの過程でも有害物質が発生しない、究極のエコカーといわれています。

今回、トヨタとBMWが全面提携することで、量産コストの引き下げや水素ステーションの拠点増などで普及促進が期待されます。
両社の合意では、トヨタがFCV向けの水素タンク、基幹となる燃料電池などを全面供給し、次にBMWがEV技術などで培った駆動システムなどを組み合わせて、FCVの動力システムを共同開発するということです。
トヨタも開発した動力システムを新型車に搭載するとみられ、共通化でコストダウンが図られます。

調査会社の富士経済が2023年9月にまとめた「燃料電池関連技術・市場の将来展望」によれば、2040年度のFCVの世界市場は10兆8,580億円と、2022年度の約130倍になる見通しです。
これは乗用車が対象で、これとは別に燃料電池トラック・バスの2040年度の市場規模は2兆8,289億円(同約34倍)になるとみています。
FCVが日本やアジアを中心に拡大するとみている一方で、FCトラック・バスは米国が急拡大し、日本がこれに続くと想定しています。
NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2024年3月に示したロードマップでは2030年ごろ以降に水素供給が充足し、FCの原価も下がり市場が拡大するとみています。

関連銘柄をピックアップします。

トヨタ(7203) トヨタ(7203)

2014年12月に世界初のFCV「MIRAI(ミライ)」を市場投入。
3分間の水素充填で十分な走行距離を得られるなど、ガソリン車と同等の利便性を備える。
2020年12月にフルモデルチェンジを行った。
従来に比べ水素搭載量を20%拡大し、燃費は10%向上。
航続距離は30%増の850キロメートルになった。

トヨタ(7203)

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いすゞ(7202) いすゞ(7202)

2023年12月にホンダとの共同研究によるFC大型トラック「GIGA FUEL SELL」の公道実験を開始したと発表している。
2027年の市場導入に向けたデータの取得、知見の蓄積、技術的課題などの抽出を進めるとしている。
車両は2023年のジャパンモビリティショー(旧モーターショー)に展示されたものと同型の試作車両を使用。
当時のリリースでは航続距離800キロメートル以上としている。

いすゞ(7202)

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ホンダ(7267) ホンダ(7267) DELL

2024年7月に新型FCV「CR-V e:FCEV(シーアールブイ イーエフシーイーブイ)を発売開始。
リース形式での販売で、コンセントから充電できるプラグイン機能を搭載したことが特徴。
水素の一充填走行距離は約621キロメートル。
一充電では約61キロメートルで近所への短距離走行ならEVとして使える。
FCシステムは米GMと共同開発した。

ホンダ(7267)

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東レ(3402) 東レ(3402)

航空機向けの炭素繊維複合材料に強み。
FCVの高圧水素ガスタンク向けに供給。
トヨタの「MIRAI」に採用されている。
2023年9月の同社のIRセミナー「複合材料事業本部の取組み」の資料によれば、高圧ガスタンク用炭素繊維の需要見通しについて、カーボンニュートラルの眼がトレンドを背景にグローバル需要が拡大。
「特に2026~2027年以降、商用車(トラックなど)向けに水素タンク需要が大きく拡大」、「タンクの高圧化・軽量化のため、高強度炭素繊維ニーズが伸長」などとみている。
生産能力を増強する方針も示している。

東レ(3402)

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岩谷産業(8088) 岩谷産業(8088)

水素ステーションの設置で世界に先行。
同社は2014年に国内初の商用水素ステーションを開所したのを皮切りに、現在は国内51か所、米国9か所で運営を行っている。
水素製造工場から運んだ水素を水素ステーション内の貯槽で貯蔵し、FCVに供給する「オフサイト型」、敷地内で都市ガス改質などにより水素を製造し供給する「オンサイト型」、さらには「移動式」など全ての手法を手掛けている。

岩谷産業(8088)

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和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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