8月28日にAI半導体で世界を席巻しているエヌビディアが5~7月期の決算を発表しました。
市場予想を上回ったものの、8~10月期の見通しが市場の期待に届かなかったなどの理由で、発表後の株価はやや軟調に推移しています。
しかし、需要の増加傾向に変化がなかったことは評価できます。
特に私が注目したのは、データセンター(DC)向けの売り上げ好調でした。
5~7月期の売上高は前年同期比2.2倍の300億4,000万ドル。
このうちDC向け売上高が同2.5倍の262億7,200万ドルと全体の実に87%を占めています。
DCとは、かつてはインターネット用のサーバーやデータ通信、固定・携帯・IP電話などの装置を設置・運用することに特化した建物の総称でした。
通信の途絶を避けるために、多少遠方でも、地震の少ない地域に建設されることが多かったようです。
しかし、現在では生成AIなど膨大な情報を短時間で処理する「頭脳」的な役割が高まっています。
いわば、データ処理の専門施設です。
場所もなるべく近い首都圏に増加しています。
生成AIの登場で、DCの重要性が一段と高まってきています。
報道によれば、生成AIが利用者からの質問に答えるには、検索大手グーグルの一般的な検索にかかる電力の10倍が必要ともされているそうです。
DCは膨大なデータを多数のサーバーで、短時間に計算処理することで大量の電力を使います。
また、サーバーの発熱によるシステムダウンを防ぐために、冷却装置も必要となります。
DCの性能向上はほかの部材にも影響を与えます。
例えば、光ファイバはDCに数多く使われており、需要が増加傾向にあります。
さらに生成AI開発が進む中で、膨大なデータを処理するために光ファイバの重要性が増しています。
熱を持つために冷却し、電力を管理するシステムなども必要です。
エヌビディアは年内にも次世代のAI半導体「ブラックウェル」の量産を開始予定ということです。
生成AIの速度が現行の30倍と爆速化し、電力効率25倍になるともいわれています。
DCへの関心がさらに高まりそうです。
DC関連銘柄をピックアップします。
大手調査機関によれば2023年のデータセンター向けAI半導体のシェアは約8割と圧倒的。
同社のGPU(画像処理装置)は当初ゲームの映像を滑らかにするグラフィック向けに使われ、その名の通りGPUだった。
現在では膨大な量の演算専門に使われるケースが多い。
液晶ディスプレーガラス基板で世界首位級。
光ファイバーケーブルの世界大手でもある。
外資系通信社によると、先の決算発表で、AI半導体GPUに対応するには従来のデータセンターの10倍超の光ファイバが必要になることを明らかにしたという。
デル・テクノロジーズ DELL デル・テクノロジーズ DELL
パソコン・サーバーの世界大手。
最近ではデータセンターに使われるサーバーやストレージなどを包括的に提供することに強みがある。
5~7月期決算で、インフラソリューション部門のうち、AI利用向けサーバーが4~6月期に比べて23%増収になったと報じられている。
バーティブ・ホールディングス VRT バーティブ・ホールディングス VRT
データセンターや通信ネットワーク向けにデジタルインフラの設計・製造などを行っている。
2023年12月にAIデータセンター向けサーバーなどで問題となる、機器の発熱を抑える冷却技術を持つ英国企業を買収。
産業機器大手。
データセンター向けの電力管理システムや非常用電源などを手掛ける。
データセンターの電力使用効率を高めるソリューションを提供。
データセンター監視ソフトなどにも展開。
アリスタ・ネットワークス ANET アリスタ・ネットワークス ANET
大規模なデータセンター向けのネットワーキング・ソリューションを手掛ける。
ネットワーク機器や関連ソフトウエアに展開。
主要顧客はマイクロソフトなど。