半導体関連株が人気となっています。
半導体設計のエヌビディア(NVDA)
エヌビディア(NVDA)の好業績や、ハイパースケーラー(大規模クラウド業者)である米オラクル(ORCL)
オラクル(ORCL)の受注好調などを背景に、半導体のみならずAI(人工知能)データセンター関連が買われている状況です。
東京市場では半導体検査装置のアドバンテスト(6857)
アドバンテスト(6857)がリード役で、9月16日~9月19日かけて連日の上場来高値更新となっています。(確認日:2025年9月22日)
三菱UFJ eスマート証券のチャートツールEVERチャートで作成
週足表示、2025年1月4日~2025年9月22日まで
AIデータセンター関連ではソフトバンクグループ(9984) ソフトバンクグループ(9984)、光ファイバーのフジクラ(5803) フジクラ(5803)も最高値に進んでいます。
一方、半導体関連の中で相対的に出遅れていた銘柄や、先駆して調整していた銘柄の出直りが本格化しつつあります。
半導体の製造工程は300ミリウエハに設計図などを描く「前工程」と、チップに切り出してパッケージ(封止)する「後工程」に分けられます。
アドバンテストは最終的に検査する装置(テスター)を手掛ける典型的な後工程企業です。
エヌビディアの先端チップは後工程で性能を上げるため複雑な作業が必要で、業績寄与への期待感が高まっている格好です。
一方、前工程では2024年までは半導体線幅の微細化が注目されて株価も人気化していましたが、最先端と期待された線幅「2ナノ」メートル(ナノは10億分の1)の量産化がなかなか進まないこともあり、後工程に比べて株価は見劣りする状況となっています。
具体的には世界で唯一「2ナノ」向けEUV(極端紫外線)露光装置を手掛けるオランダのASMLホールディング(ASML)
ASMLホールディング(ASML)社の業績が市場予想になかなか届かないことなどが要因です。(露光装置とは光源の光を使って半導体回路を焼き付ける装置です)。
3ナノと2ナノとの間には技術的なハードルが高く、露光に使われるレンズ口径を表す開口率を改善するなど性能を上げる必要があります。
こうした中で飛び込んできたのが、米半導体大手のインテル(INTC)
インテル(INTC)が、エヌビディアから出資を受けるというニュースです。
2025年9月18日に、エヌビディアはインテルに50億ドル(約7,400億円)を出資することで合意したと発表しました。
AIに使うデータセンターやパソコン向けの半導体を共同開発するということです。
半導体業界では分業制が進んでいます。
エヌビディアや英アーム(ARM)
アーム(ARM)などは半導体の設計に特化し、製造は行ないません。
製造を請け負うのは台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)が筆頭格です。
インテルは設計・製造の両方を手掛けていますが、効率の悪さなどで業績が低迷していました。
ただ、インテルは2027年に、2ナノを超え、次世代の1.4ナノ相当の実用化を目指す開発・生産計画を進めています。
厳しい経営環境から計画は頓挫するのではないか、とも噂されていましたが、エヌビディアの出資で微細化の進展が進むとの期待感が高まっています。
株式市場でも前工程企業を中心に、相対的に出遅れていた半導体関連株が見直される可能性が高まっています。
この発表を受けてASMLホールディングの株価も大幅高となっています。
関連銘柄をピックアップします。
半導体向けフォトマスク(回路パターンが描かれた透明な原版)、マスクブランクス(原版のもとになるガラス基板)欠陥検査装置に展開。
微細化のEUV向けはシェア100%。
ASMLのEUV露光装置が量産化されれば、同社のビジネスチャンスとなる。
インテルは大口の取引先。
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半導体製造装置で世界3位。
成膜装置、コーター・デベロッパー(塗布・現像)装置、エッチング(表面加工)、ウエハ検査装置など前工程の製造装置に強みがある。
2026年3月期は汎用半導体の需要鈍化や先端分野での顧客の投資計画の後ずれなどで業績下方修正。
一方、2027年にかけてはAIサーバーに不可欠な先端半導体の需要増加を見込んでいる。
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SCREENホールディングス(7735) SCREENホールディングス(7735)
半導体製造装置大手。
ウエハ洗浄装置で世界シェアトップ。
ウエハ洗浄では複数枚を一度に洗うバッチ式と、1枚1枚丁寧に洗う枚葉式がある。
半導体線幅の微細化では、不純物の付着などを避けるため枚葉式が重視される。
後工程では大型パッケージや関連部材を低コストで製造できる「パネルレベルパッケージ」向け装置に新規参入。
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日本マイクロニクス(6871) 日本マイクロニクス(6871)
ウエハからチップを切り出す前の段階で、半導体の電気的特性検査に用いられる計測器具「プローブカード」で世界シェア3位。
チップの電極に針状のものを接触させることで、検査し、良品か不良品かを判定する。
製造前工程の最後に使われる。
後工程であるパッケージ後の特性検査に使われるテストソケットも手掛ける。
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半導体封止(モールディング)、チップ切断(シンギュレーション)など半導体後工程装置の大手メーカー。
封止装置では独自のコンプレッションモールド(圧縮)方式での世界標準を狙う。
2024年に期待されて急騰したが、その後は後工程銘柄ながら調整していた経緯がある。
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