万博でも関心を集める「ペロブスカイト太陽電池」、関連銘柄をピックアップ! 万博でも関心を集める「ペロブスカイト太陽電池」、関連銘柄をピックアップ!

万博でも関心を集める「ペロブスカイト太陽電池」、関連銘柄をピックアップ!

 「曲がる太陽電池」と呼ばれるペロブスカイト太陽電池の実用化が加速する可能性が出てきています。
普及へ政府の後押しがあるほか、大阪・関西万博での展示で身近になりつつある点も追い風となりそうです。
経済産業省はペロブスカイト太陽電池について、近く東京、大阪、愛知、福岡の4都府県に導入目標の策定を要請すると報じられています。
このうち東京都は2040年までに年間電力消費量で55万世帯分の設置を目標に掲げるということです。
都市部では高層ビルなど構造物への設置が有効とされ、普及加速の後押しになるとみられています。
政府は昨年、2040年度の電源構成を定めた新たなエネルギー基本計画を策定しました。
それによると太陽光や風力といった再生可能エネルギーの比率を最大50%に高めることとしています。
特に様々な場所に設置できるペロブスカイト太陽電池は2040年に20ギガワット(2030年に1ギガワット)と大幅な伸びを見込みます。
20ギガワットは原発20基分に相当するということです。

ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽く、折り曲げられるのが特徴で、ビルの壁面や体育館の屋根などの曲面にも設置することができます。
重さは現在主流のシリコン系太陽電池の10分の1以下です。
軽くて設置が簡単なため、工事費の削減も期待できます。
発電効率はシリコン型と同程度まで向上しているとされます。

また、ペロブスカイト太陽電池はフィルムやガラスといった基板にヨウ素や鉛などの溶液を塗って製造されます。
原料であるヨウ素の世界生産量は年間3万トン強で、その約3割を日本が占め、チリ(6割)に次ぐ世界第2位となっています。
リチウムイオン電池では、リチウムの調達を中国などに依存している状況がありますが、ヨウ素は国内で調達可能なことから、優位性があるとされます。

現在開催されている大阪・関西万博でもペロブスカイト太陽電池が活用されています。
例えば積水化学工業は、同電池を会場に提供しています。
具体的には西ゲート交通ターミナルのバスターミナルの屋根の曲面に設置しています。
長さは約250メートルです。
当該箇所の夜間LED照明用の電力として活用されているとのことです。
パナソニックグループもガラス型ペロブスカイト太陽電池の可能性を追求したプロトタイプをパビリオン「ノモの国」に展示しています。

万博を契機に国民への認知度向上が期待されます。
なお、ペロブスカイト太陽電池は、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授によって発明された日本発の技術です。
宮坂氏は、毎年ノーベル賞候補にも取り上げられています。

関連銘柄をピックアップします。

積水化学工業(4204) 積水化学工業(4204)

フィルム型ペロブスカイト太陽電池で日本のリード役。
発電層の厚さはわずか1ミクロン(1ミリメートルの1,000分の1)でバックシートとバリアフィルムを合わせた基材で100ミクロン。
2025年度中に事業を開始し、さらに100メガワット(約3万1,000世帯分の年間消費電力量)の生産ラインを新設。
2027年度の稼働を予定している。
順次追加投資を行い2030年度に売上高1,500億円~2,000億円が目標。
この時点での発電量は1ギガワット級を目指す。

積水化学工業(4204)

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週足表示、2025年5月19日まで

パナソニックホールディングス(6752) パナソニックホールディングス(6752)

ガラス型ペロブスカイト太陽電池で先行。
結晶シリコン太陽電池に匹敵する変換効率(18.1%)を達成。
建築基準に適合した強度・厚みのガラスを用いて製造しており、ビルなどでそのままガラス建材として利用できる。
現在、長期の実証実験を行っている。
建材一体型の電池の試験販売を計画より2年前倒しして2026年に開始するとの報道。
「発電するガラス」として用途を開拓。

パナソニックホールディングス(6752)

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MORESCO(5018) MORESCO(5018)

独立系の化学メーカー。
ペロブスカイト太陽電池の封止材で実用化を後押ししている。
同電池は水分が付着すると発電性能が著しく劣化するため、封止材には非常に高い保護性能が求められる。
同様に封止が重要な有機EL向けでは世界の過半のシェアを占めるとみられる。

MORESCO(5018)

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コニカミノルタ(4902) コニカミノルタ(4902)

ペロブスカイト太陽電池向け保護膜の生産を2026年度にも始めるとの報道。
この保護膜により、太陽電池の劣化を抑え、耐用年数を従来の2倍である約20年に延長可能。
太陽光が当たる表面を守り、微量の水分すら通さない樹脂製フィルムを提供予定。

コニカミノルタ(4902)

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伊勢化学(4107) 伊勢化学(4107)

国内最大のヨウ素生産企業。
会社側によれば、世界の約15%のヨウ素を生産している。
2025年1~3月期の営業利益は前年同期比52%増の20億円。
ヨウ素製品の販売数量が伸びたほか、ヨウ素の国際市況の堅調などが寄与。
具体的な記載はないが、ペロブスカイト太陽電池向けの寄与もあったとみられる。

伊勢化学(4107)

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K&Oエナジーグループ(1663) K&Oエナジーグループ(1663)

世界有数のヨウ素生産・販売企業。
現在は輸出が柱。
ヨウ素はレントゲン造影剤、殺菌・防カビ剤、甲状腺ホルモン剤などの医薬品用途や、スマートフォン、PC、テレビの液晶用偏光フィルムなどにも使用されている。

K&Oエナジーグループ(1663)

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和島英樹

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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