先物・オプション取引リスク管理ツール「先物OPナビ™」の無償提供
~ プロ向け金融計算技術を1.5テラFLOPSの最新サーバで個人投資家に提供 ~

2012年3月9日 [お知らせ]

カブドットコム証券株式会社は、2012年3月30日(金)(予定)から、先物・オプション取引におけるリスク管理ツール「先物OPナビ™」の提供を開始します。この「先物OPナビ™」は日経平均を原資産として使い、日経平均オプションの理論価格を算出し、お客さまの受入証拠金と原資産の変動による先物・オプションの損益を算出し、リスクを可視化します。また、仮想の建玉による証拠金シミュレーション機能や日経平均の今後の予想に基づく新規のストラテジー、既存建玉に対するポジション調整といったナビ機能も提供いたします。

先物OPナビ™の概要

利用料 無料
利用方法 PC版にログイン後「投資情報」→「情報ツール」→「先物OPナビ」
動作環境 WindowsXP(SP3)以降 Internet Explorer 7.0 以上
Firefox 7.0 以上
Google Chrome
OS X 10.x以降 Firefox 7.0 以上
Safari

先物・オプション取引のリスク管理はブラックショールズモデルをベースにしたSPAN®証拠金管理が一般的です。これは過去一定期間の値動きより、リスクの上限値を仮定し、概ね必要であろうと思われる証拠金所要額を算出するものです。これに対して先物OPナビ™は、証拠金とリスクとを同時に把握でき、またポジションの組み合わせがどのようなリスクカーブになるかを把握でき、証拠金毀損率を把握するとともに、より安全な先物・オプション取引を支援するリスク管理ツールとなります。

先物OPナビ™の特長

  • カブドットコム証券に口座があればどなたでも無料でご利用可能
  • 損益チャートでリスクを可視化
  • 日経平均やポジションの状況に応じたナビ機能
  • 仮想ポジションの追加・削除によるシミュレーション
  • GPUによるリスク計算の高速化
  • 通知系サービスも充実

メイン画面

ポジション全体のGreeksをリアルタイムで算出

日経225オプション取引においては、インプライド・ボラティリティ(IV)だけではなく、デルタやガンマ、セータ、ベガといったGreeks指標を投資の判断材料にされる傾向が強くなってきました。先物OPナビ™ではこうしたGreeksを独自でリアルタイムに算出。日経平均が動かない時間帯(ナイト・セッション)においても、日経平均先物の価格を用いて、できるだけ実勢に近い値を算出します。

メイン画面

  • 画面は開発中のものであり、今後変更される場合がございます。

損益チャートでリスクを可視化/通知機能

先物・オプションの既存建玉のほか、未約定の注文や仮想の建玉を損益チャートに加えることが可能です。また、証拠金の毀損状況に応じて、部分的に色合いが変化する等、ポジションのリスクが把握し易いようになっています。また当社サーバ側で、全てのお客さまの全ポジションのリアルタイム管理も行なっており、ザラ場にリアルタイム評価を行い、一定の証拠金の毀損率の発生でお客さま毎にアラート通知を行なう事が可能です。

損益チャート

  • 緑色は証拠金の中でポジションが管理できる安全圏を表し、黄色は評価損が発生している状況であり、証拠金の毀損率が60%を超えると薄赤色となり、100%を超えると赤色となり、不足金が発生する状況を的確に示します。
  • 画面は開発中のものであり、今後変更される場合がございます。

日経平均やポジションの状況に応じたナビ機能

日経平均の今後の予想に基づく代表的なストラテジーを現在の日経平均の価格に合わせ、自動的に表示します。また、現在のポジションリスクに応じて、ポジション調整を自動的に表示するナビ機能により、今後のリスクを把握しながら、先物・オプション取引の戦略を立てることができます。

損益チャート

  • 画面は開発中のものであり、今後変更される場合がございます。

導入の背景

ちょうど1年前の3.11の東日本大震災によって、日経平均の大幅下落を招き、その結果、オプション売建を中心としたお客さまの決済損が発生しました。その結果、お客さまの預かり証拠金を超える不足額が約39億円発生し、当社業績にも重要な影響を及ぼしました。先物・オプション取引はあくまで一定のリスクを想定する、SPAN®に基づき、計算を行ないますが、震災後の3.14以降では通常の証拠金基準を大幅に超過する事態が発生したことを踏まえ、お客さま毎に保有するポジションリスクを速やかに把握いただき、値動きに応じた証拠金毀損状況を可視化するためのシステム開発に着手しました。ソフトウェアの企画段階では、原資産である日経平均の値動き幅を限定せず、そのリスクを毀損額として計算する事としました。具体的には、日経平均を10円刻みで変動した場合の、先物・オプションの論理価格を全て算出し、当社の全てのお客さまのポジションを評価する方式としました。しかしながら、それらの計算には、相当のCPU処理能力が必要でした。最新のサーバ機をもってしても30分程度掛かるものであり、リアルタイム評価が行えず、システム設計は難航しました。一方、機関投資家は高速な大型計算機を利用し、独自の証拠金計算を行い、また、月額数十万円もする高額な金融専門サービスを利用しており、投資額も大きく、個人投資家向けのソリューションとしては圧倒的に不利である状況でした。しかし、今回投入するGPU(Graphic Processor Unit)は「パーソナルスーパーコンピュータ」と言っても過言ではなく、大量の演算を高速かつ安価に行え、比較的廉価なIT投資で、機関投資家向けのソリューションを個人投資家に無償提供する事が可能となりました。

パーソナルスーパーコンピュータ(GPU)導入によるリスク計算の高速化

GPUはパソコンの画像描画に使われている半導体チップの一つであり、高速な浮動小数点演算に長けています。特に昨今は3D動画や高精彩な画像処理のニーズが高まっており、GPUの性能もここ1年で飛躍的な向上を遂げています。パソコンのCPUはコア(処理を行う人に相当する)数が2~8個が一般的ですが、今回導入したGPUは、512コアという数を持ち、大量の反復計算という仕事に向いています。今回、日本ヒューレットパッカード社の最新鋭GPUサーバ(HP ProLiant SL390s G7 2U/NVIDIA Tesla M2090)を導入しております。このサーバの計算能力は、単精度浮動小数点計算において、1.5テラFLOPS(1秒間に1.5兆回の演算)の能力を持ち、1年前のCPU(2.4GHz・4コア) 40台分に相当します。グラフィックチップである、GPUそのものは手のひらに載るサイズですが、非常に高性能であり、「パーソナルスーパーコンピュータ」と呼ぶにふさわしいものです。これによって、当社のサーバで、取引時間中はほぼリアルタイムで当社の先物・オプション口座全顧客のリスク計算を行う事が可能となりました。

計算速度比較表(当社にて評価用プログラムにて検証)

データ型 OS 言語 実行時間[sec]
倍精度浮動小数点演算 windows C# 570.6
C++ 412.786
GPU専用言語 3.952
Linux C++ 944.16
GPU専用言語 5.4
単精度浮動小数点演算(参考) windows C# 1531.8
C++ 2327.91
GPU専用言語 1.659
Linux C++ 832.96
GPU専用言語 3.12
  • 当社アプリケーションは倍精度浮動小数点演算にてリスク計算を行なっております

今後の展開

今後は先物OPナビ™の機能向上を図るだけではなく、口座毎の投資スタイルを把握しリスクを数値化します。これを基に先物・オプションの口座監視を強化するとともに、計量的かつ合理的な与信基準の導入を検討してまいります。

株価指数先物・オプション取引の概要

  株価指数先物取引 株価指数オプション取引
取扱商品 日経225先物
日経225 mini
TOPIX先物
ミニTOPIX先物
東証REIT指数先物
TOPIX Core30
CME日経225先物
(夜間取引)
日経225オプション
取引手数料 約定1枚あたり
日経225先物 462円
日経225 mini 48.3円
TOPIX先物 462円
ミニTOPIX先物 48.3円
東証REIT指数先物48.3円
TOPIX Core30 48.3円
約定1枚あたり
987円
約定代金の0.21%
最低手数料210円
注文受付時間 24時間
取引時間 取引所の取引時間の通り
(日中/ナイト・セッション)
日本時間の20:00~翌6:15
(米国夏時間は5:15)
取引所の取引時間の通り
(日中/ナイト・セッション)
取扱注文 買建、売建
出合注文 日中・日通し(日中とナイト・セッションの連携注文):最大3週間
ナイト・セッション:当日のみ
必要証拠金額 SPAN®証拠金×100%-ネットオプション価値の総額
  • SPAN®証拠金の掛け目は、取引所の規制や指数の変動状況などを考慮のうえ、原則100%~200%の範囲内で当社独自の判断により変更する場合があります。
両建取引拘束金 両建総枚数×0.25×SPAN®証拠金
証拠金
代用掛目
  • 現金100%
  • 株券 前々営業日の最終価格(気配)の原則70%
    (※銘柄ごとに個別の代用掛目が設定される可能性があります。)
  • 投資信託 前々営業日の基準価額の70%
建玉制限
  • 日経225先物、TOPIX先物
    買建、売建
    各々100枚
    (合計200枚)まで
  • 日経225mini,ミニTOPIX先物
    東証REIT指数先物
    TOPIX Core30先物
    買建、売建
    各々1,000枚
    (合計2,000枚)まで
50枚
(国内建玉とは別途で)
売建玉の上限枚数は
20枚~最高1,000
  • オプション口座開設当初は売建玉上限枚数を20枚で設定。買建玉は上限なし
建玉上限の変更 別途個別審査により建玉上限の変更が可能な場合があります。お客さまの属性、お預かり資産、金融資産、取引スタイル等をもとに当社で審査を行います。審査の結果、ご意向にそえない場合の理由については開示できません。
口座開設料 無料
チャネル インターネット、iモード、Yahoo!ケータイ、EZweb、スマートフォンkabuステーション™
  • CME日経225先物は、インターネット(WEB)のみ

先物・オプション取引口座開設のお申込みはWEBにて原則24時間365日受付

先物・オプション取引口座開設のお申込みは、当社に証券取引口座をお持ちであればWEBでのお手続きでスピーディーにお手続きいただけます。原則24時間365日受け付けております。

  • SPAN®はThe Standard Portfolio Analysis of Risk の略称で、Chicago Mercantile Exchange が開発した証拠金計算方法です。

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