ソフトウエア業界に関心が集まっています。
ソフトウエアとは、非常にわかりやすく言えば「コンピューターに対して命令を出すプログラム」のこと。パソコンやスマートフォンなどの身近な製品が簡単に使えるのも、ソフトウエアのおかげです。
この業界は製造業のような巨額な設備投資を必要としないので、キャッシュフロー(純現金収支)が潤沢になる傾向があります。
SaaS(クラウドを経由したソフトウエアの提供)が台頭してきたことで、インターネットを介して、どのデバイスからでもユーザーがサービスを利用できる利便性を背景に、市場が拡大しています。
最近では潤沢なキャッシュを活用するために、成長著しい生成AI(人工知能)関連への投資を行うソフトウエア企業も出てきています。
対話AIとして急成長している「Chat(チャット)GPT」を手掛ける研究開発型企業オープンAIと世界最大のソフトウエア開発企業であるマイクロソフトは23年1月に、提携の拡大を発表しました。
アナリストは「これはマイクロソフトの潤沢なキャッシュに基づく投資余力の高さが背景にあると考えられる」と指摘しています。
破壊的なイノベーションの恩恵を受ける企業を対象としたETF(上場投資信託)である「アーク・インベスト・マネジメント」ARKKを率いる著名投資家のキャシーウッド氏は、外資系通信社とのインタビューで「今後AIブームの恩恵を受けるのはソフトウエア提供企業だ」と述べたと伝わっています。
全てのソフトウエア企業がAIを目指すものではありませんが、業績が好調でキャッシュを生み出す力を有するソフトウエア企業への関心は、今後さらに高まる可能性がありそうです。
そこで今回は、主要なソフトウエア企業をピックアップしてみました。
世界最大のソフトウエア開発会社。クラウドの「Azure(アジュール)」が急拡大している。
同社の検索エンジン「ビング」に対話のできるAIを搭載すると発表。オープンAIの技術を使う。
23年1月にオープンAIに数十億ドルの追加出資を発表し、一層の関係強化を進める方針。
写真や画像編集ソフトのパイオニア。文書データのファイルツールAcrobatPDFを考案。
この分野で業界トップシェア。23年6月にAIに対応した新サービスを発表。
生成AIが要望に沿った画像やプレゼン資料など、デジタルコンテンツの作成を補助するという。
ソフトウエアの世界大手。データベース管理システムである「オラクル・データベース」に強みがある。
ソフト開発のほか、サポート、保守、運用管理サービスも提供。M&Aで電子カルテなどにも展開している。
半導体設計開発のエヌビディアと22年10月に協業関係の拡大を発表。
エヌビディアのAIを「オラクル・クラウド」に搭載。
クラウドベースのCRM(顧客管理システム)ソフトウエアで世界首位。SaaS、クラウドでのパイオニア的な存在。
販売やマーケティングを支援。大企業から中小企業まで顧客基盤が強固。
世界各地で事業を展開している。
半導体設計・検証用のEDA(Electronic Design Automation=電子設計自動化)ソフトの世界大手。
特定用途向けICやSoC(システムオンチップ=1枚の基板<チップ>上に各種素子を実装したもの)用などを扱う。