米国の企業決算が一巡しました。
外資系通信社などによると、S&P500種採用銘柄の1~3月期の純利益は前年同期比で0.7%減になったと伝わっています。
減益ではありますが、当初の3%減予想からは健闘したともいえそうです。
また、一時は成長神話が揺らいだGAFAM(グーグル=アルファベット、アップル、フェイスブック=現メタ、アマゾン、マイクロソフト)もまずまずの内容でした。
そこで今回は、このGAFAMの決算をチェックしてみました。
ネット検索サービス大手のグーグルの持ち株会社です。
2023年1~3月期の売上高は前年同期比3%増の697億8,700万ドル、純利益は同8%増の150億5,100万ドル、いずれも市場予想を上回りました。
主力のインターネット広告事業は前年同期比微減、ただし、顧客企業サイドの需要が増加しているグーグルの検索連動型広告は同2%増となりました。
同社が次の事業の柱と期待するクラウド事業の売上高は同28%増の75億ドル、営業損益も2億ドルの黒字に転換しています。
また、取締役会が自社株買いプログラムを700億ドルに拡大することを承認しました。
設備投資は4~6月からデータセンターなどへの投資を積み増す意向です。
1月には1万2000人の人員削減を発表しており、関連経費は26億ドルを計上しています。
世界最大のテクノロジー企業でパソコンやスマートフォンなどで存在感を示しています。
1~3月期の売上高は前年同期比3%減の948億3,600万ドルとなり、市場予想を上回りました。主力のiPhone(アイフォーン)は予想外の増収となってます。
また、アプリ販売や音楽配信などのサービス部門の売上高同5%増となり、過去最高を更新しました。
iPhoneは南アジアやインド、中南米で売り上げを伸ばしています。
パソコンMac(マック)、タブレットのiPad(アイパッド)は大きく落ち込みましたが、スマホやサービス部門の伸びで補っている格好です。
一部アナリストは「今後もサービス部門の伸びが加速していくことが期待される」としています。
旧フェイスブックのSNS大手です。
1~3月期の売上高は286億4,500万ドル(前年同期比3%増)でした。1株利益は2.20ドルと、市場予想2.00ドルを上回っています。
売上高は4四半期ぶりの増収となりました。
フェイスブックの落ち込みなどで減収が続いていましたが、広告表示数が同26%増となり、広告単価(同17%減)を補っての増収となりました。
フェイスブックの3月のDAU(日次稼働会員数)は同4%増の20.4億人、注力しているリアリティラボ(拡張・仮想現実)は引き続き環境が厳しいものの、本業の健闘で株価は年初から大きく上昇しています。
インターネット通販、クラウドサービス(AWS)の大手です。
1~3月期決算は、売上高が1,273億5,800万ドル(前年同期比9%増)、本業の儲けを示す営業利益は47億7,400万ドル(同30%増)となり、いずれも市場予想を上回っています。
収益柱のクラウドコンピューティング事業が減速したものの、経費削減などで増益を確保しました。クラウド(AWS)は同16%の増収でしたが、前四半期(同20%増)からは鈍化しています。
Eコマース事業の売上高は横ばい(前四半期は同2%減)でした。商品販売点数は8%増と高い成長を維持しています。
1~3月期の経費削減はコロナ禍で巣ごもり消費が増えて拠点を増加させましたが、経済が正常化する中で新設の中止・延期で投資を減らしました。
健康管理端末「ヘイロー」サービスの中止など不採算分門からの撤退も目立ちました。
4~6月期の会社計画は売上高が1,270億ドル~1,330億ドルと、市場予想1,298ドルとほぼ一致しました。
営業利益は20億ドル~55億ドルで、市場予想43億ドルの範囲内です。
市場ではAWSの成長率鈍化に警戒感があります。
世界最大のソフトウエア開発会社です。
1~3月期の売上高528億5,700万ドル(前年同期比7%増)で、市場予想の510億ドル前後を上回りました。
純利益は182億9,900万ドル(同9%増)、1株利益は2.45ドル(同10%増)でした。
クラウド基盤「アジュール」などに売上高は同27%と快調に見えるが伸び率の縮小が継続しています。
会社側では対話型AIである「Chat(チャット)GPT」を次の成長の起爆剤にしたい考えです。
4~6月期の売上高計画(中央値)は553.5億ドル(市場予想548.4億ドル)、営業利益233億ドル(市場予想225.5億ドル)といずれも市場予想を上回っています。