22年2月のロシアのウクライナ侵攻以来、原油やガスなどのエネルギー価格が上昇し、その調達などに関心が向かっています。
こうした中で太陽光発電などの再生可能エネルギーへの注目度が低下しがちですが、着実に進む素地が整ってきています。
それが22年8月に、バイデン大統領が署名し法律が成立した「インフレ抑制法」です。
早ければ今年から動き出し、市場の注目度が高まる可能性もありそうです。
インフレ抑制法は22年からの10年間で財政赤字を約3,000億ドル削減することでインフレの減速を狙うという法律です。
法律の名前からは環境には縁が薄そうです。
しかし、その中身は財政赤字を大幅に減らしたうえで、その原資活用してエネルギー安全保障と気候変動分野に、税控除や補助金で3,690億ドル(約50兆円)を投じる内容となっているのです。
特に主な支援対象は気候変動対策で、しかもその規模はかつてないほど大きいものとなっています。
金銭的支援で新技術を導入し、CO2など温室効果ガスを減らすことが狙いです。
米民主党政権はこの法律で、2030年の温室効果ガスが2005年に比べ約4割減るとみているとの報道があります。
15年開催の「気候変動枠組み条約締約国会議」(COP21=パリ協定)では、産業革命以前と比較して「世界の平均気温の上昇を2℃より低く保ち、かつ1.5℃に抑える」ことを目標としています。
パリ協定を巡っては地球温暖化に懐疑的だったトランプ前首相が離脱し、バイデン政権の誕生で復帰した経緯があります。
今回のインフレ抑制法では、支援額の4割強が、再生可能エネルギーで発電した電力にかかる税控除です。
税金を控除することで、導入を促進する狙いがあります。
原子力発電に対しても税控除が適用される模様です。
また、CO2の貯留・回収(CCS)についても一定期間までに建設を開始すれば税控除の対象になるそうです。
また、太陽光パネル、風力タービンの生産、EVバッテリー材料のリチウムなどの再利用にも優遇税制が適用されます。
そこで、今回は再生可能エネルギーやクリーンエネルギーを手掛けている企業をピックアップしました。
米国再生可能エネルギー関連7銘柄
世界最大級の風力・太陽光発電事業者。
持ち株会社傘下に天然ガスなどで発電を行うFPL(フロリダ州での発電事業)と風力・太陽光発電で売電収入を得るNEER(再生可能エネルギー事業)がある。
アナリストによれば2つの事業の総発電容量は原発換算で50基分を超えるという。
太陽光発電用マイクロインバーターメーカー。
同社が設計・製造するマイクロインバーターは直流を交流に変換する装置で、太陽光発電パネルに取り付けることで発電効率を上げることができる。
発電から蓄電に関する製品を一貫提供。
家庭用のシステムも提供と。
米国最多の原子力発電所を保有する電力企業。
発電量のうち約6割が原子力とみられる。
ペンシルベニア州とニュージャージー州で電力発電所を運営。
子会社を通じて米イリノイ州などにも電力を供給。