押し目買い好機の可能性も??
日経トレンディ2020年ヒット予測でも1位を獲得し、経済的にも株価的にも期待が大きかった東京オリンピック。3月24日夜に残念ながら延期が決定しました。安倍晋三首相とIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長が遅くとも2021年夏までの開催を確認していることから、中止ではないのが救いでしょうか。
東京オリンピックで需要が伸び、業績の拡大が期待されるような関連銘柄は、既に株価が大きく調整しています。しかし、中止ではなく延期であれば需要が先送りされただけとの見方も可能かもしれません。もちろん2020年の業績には多大な影響を与える可能性があり、油断は禁物です。しかし、2021年の見通しを考えれば株価が大きく調整している今こそ投資対象として検討しても良いのではないでしょうか。
そこで今回は改めて東京オリンピック関連銘柄を紹介したいと思います。
関連銘柄を下落率でランキング
今回は以下の条件で銘柄を選定しました。
auカブコム証券のテーマ株アプリ、PICK UP!株テーマの「東京オリンピック」から
・既に東京オリンピックに絡む需要の大部分が終了していると考えられる東証33業種「建設業」を除外
・同じく既に東京オリンピックに絡む需要の大部分が終了していると考えられるため建築現場施工管理の夢真ホールディングス(2362)を除外
・関連度の高い順に10銘柄を選定
・2020/3/24終値を2019年末の終値と比較し、下落率の大きい順にランキング
早速結果を見てみましょう。
参考に当社の銘柄分析ツール「株スコア」を記載しています。(2020/3/25現在のスコア)
■企業スコア
トムソン・ロイターが各銘柄に対してトムソン・ロイターの株価や財務、収益予想データを使用して、トムソン・ロイターが定義した定量分析により算出した数値です。スコアは、成長 性、割安性、企業規模、テクニカル、財務健全性の各スコアの合計から算出されています。株価分析は 「ベータ」や「150日移動平均からの乖離」などから算出されます。原則として、 スコアが高いほど「評価が高い」とされますが、その後の株価の値上りを約束するものではないということにご注意ください。
1位 アシックス (7936)
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競技用シューズ国内最大手です。「アシックス」「オニツカタイガー」ブランドが柱でランニングシューズは東京オリンピック特需もあり日本市場が牽引していました。今回の延期を受け、特需やインバウンド需要の先送りが考えられそうです。また、同社は東京オリンピックのスポーツ用品カテゴリーで唯一のゴールドパートナーですので株価の下落率が大きくなった可能性もあります。
2位 ヒビノ (2469)
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「音と映像のプレゼンテーター」というコンセプトの下、音響と映像の分野に販売とサービスの事業を展開しています。コンサートやイベントで運用する音響・映像機材を保有し、演出や進行を舞台裏で操る同社は2020年の東京五輪・パラリンピックでは開閉会式や各競技会場の設備・設営などで特需が期待されていました。特需が先送りされることや、一部イベントが休止や延期していることでも業績に影響が出そうです。
3位 サニーサイドアップグループ (2180)
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販促支援や企業PRが柱です。スポーツビジネスにも強みを持っており、「スポーツマーケティング」「スポーツイベント」「スポンサード・ソリューション」「アスリート・エージェント」「アスリートマネジメント」などのスポーツビジネスを展開しています。また、パンケーキやスクランブルエッグが人気のレストラン、「bills(ビルズ)」も展開しています。やはり特需が先送りされることでの株価が下落になっているようです。
4位 デサント (8114)
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伊藤忠(8001)傘下のスポーツウェア大手です。収益の過半を海外で稼ぎ、韓国での「ルコック」「デサント」ブランドの販売が柱ですが、韓国経済の低迷と日韓関係の悪化から、厳しい状況が続いていました。ここにきての新型コロナショック、東京オリンピック延期は業績に与えるインパクトは大きくなるかもしれません。
5位 翻訳センター (2483)
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企業向けの産業翻訳が柱の翻訳大手になります。通訳事業にも子会社が本格参入しており、様々な国の人が日本を訪れる東京オリンピックは、言葉の壁を取り払う同社にとって大きなビジネスチャンスとなる可能性があります。今回の延期や新型コロナウイルス拡大等を受け、通訳案件のキャンセルも出ており厳しい環境となっています。
いかがでしょうか。冒頭で申し上げている通りですが、今回の東京オリンピックはあくまで「延期」であり「中止」ではありません。先送りされた需要がまた戻ってくる可能性はあります。実際にこの記事を執筆している3月25日には、前日の延期決定を受けて株価が大きく上昇している関連銘柄も散見されます。一方で消失してしまった需要もあることでしょう。
銘柄ごとの特性、内容を吟味いただき、みなさまの投資の一助にしてもらえれば幸いです。