インバウンドとはいわゆる訪日外国人観光客のことです。2020年は東京オリンピックを控え、本来であればインバウンド消費が盛り上がる可能性の高い年でした。
しかし、新型コロナウイルスの世界的な拡大を受け、足元では急速に冷え込んでいると推測されます。
今回はこのインバウンド関連銘柄を紹介いたしますが、以下の2つの点から注目いただければと思います。
①今後感染が更なる拡大を続けた場合、売り圧力に要警戒
②感染拡大が収まり、終息に向かうのであれば買い戻し期待
もし②のパターンになるのであれば、本来のオリンピック等による需要増加が期待できるため、株価は大きく戻す可能性もあるかもしれません。
そこで今回は次の方法で銘柄を選定しランキングを作成しました。
auカブコム証券のテーマ株アプリ、PICK UP!株テーマの「インバウンド」から、関連度「強」の銘柄を株価データを基に2020/3/4終値を2019年末の終値と比較し、下落率の大きい順にランキング化
なお、上記条件では本来、GFA(8783)が下落率1位でしたが、継続企業の前提に関する注記の付く銘柄であるため除外します。
結果は下表のようになりました。
1位 共立メンテナンス(9616)
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独立系の寮運営大手です。ドーミーインの名称でホテルを運営しており、訪日外国人の宿泊も多いようです。また、前期は収益の半分近くをホテル事業が占めていました。インバウンド需要の高まりを受けて順調な業績の推移を続けていましたが、1-3月期は大きく落ち込む可能性もありえるため、株価は大幅に下げ、下落率1位となりました。
2位 フェスタリアホールディングス(2736)
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宝飾品の製造および小売チェーンを展開しています。百貨店やショッピングモール等で全国に出展しています。銀座の旗艦店を中心に訪日客向けにも注力していました。
訪日外国人の落ち込みだけでなく、国内消費の落ち込みやブライダル事業の減退の可能性も考えられるため、こちらも昨年来、大きな株価下落となっています。
3位 ラオックス(8202)
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従来は国内家電量販店でしたが、中国企業の傘下に入り、家電を中心とした免税店の運営を行っています。また、日本製品の中国での販売も育成中です。『爆買い』が話題になった時期に大きく上昇した銘柄でもあり、インバウンド、特に中国向けのイメージが強い銘柄です。
それだけに今回の感染拡大はダメージも大きく、株価も下落しています。
4位 エイチ・ツー・オーリテイリング(8242)
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阪急、阪神百貨店を中心としたグループで、スーパー等も展開しています。 中国人観光客への依存の大きい関西インバウンド消費は足元大きく落ち込んでいるとの予想もあります。関西主要百貨店の2月売上高も総崩れとなっており、関東以上に影響が大きいのかもしれません。下落率は主要百貨店の中では1位でした。
5位 セイコーホールディングス(8050)
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腕時計国内首位で、世界的にも知名度の高いJapanブランドです。電子部品も手がけますが、収益の過半を腕時計が稼いでいます。
訪日外国人消費の減少や高額品の買い控え、電子部品のサプライチェーンへの影響など、様々な要因が考えられ株価が大きく下落しています。
いかがでしょうか。全体相場も下落する中ではありますが、インバウンド関連銘柄は2019年終値比で大きく下落している銘柄が多数あることが分かりました。
もし感染拡大が続くのであれば、インバウンド関連銘柄は相対的に日経平均などの指数の下落よりも大きく下げる可能性があります。指数買い、インバウンド関連銘柄売りのロングショート戦略を組んでも良いかもしれません。
もちろん感染が終息する可能性もあります。カブヨムチームでもそうなることを願っております。その場合にはインバウンド関連銘柄は戻りが期待できそうです。
いずれの場合でもしばらくは変動率が大きくなることが予想されるため、ロングショート戦略やマーケットニュートラル戦略を使い相場にエントリーすることが望ましいと考えております。