半導体とは、あるときは電気を通したり、あるときは電気を通さなかったり、条件によって「2つの顔」をもつ物質です。 パソコンなどのコンピュータは、半導体が電気を通したり、通さなかったりすることで「0」と「1」の情報を伝え、 0と1だけの数字による組み合わせ(二進法)で、様々な計算や情報をあつかうことができるのです。(出典:一般社団法人電子情報技術産業協会半導体部会)
半導体は携帯電話やテレビなどの家電、パソコンなどのデジタル製品、自動車、電車などなど、現在ではあらゆるものに組み込まれています。今後も5G通信、人口知能(AI)、IOT、ロボットと需要の増加が続くことが見込まれる産業です。一方でコモディティ化が進みやすい面もあります。また、短期的には需要の増減を繰り返しており、価格のぶれもあることから、景況感に左右されやすい業界といえます。
かつては日本が世界的に圧倒的なシェアを握っていた時代もありましたが、現在シェアは縮小しています。しかし、まだまだ技術的優位性を持っている企業もたくさんあります。
今回の半導体関連銘柄紹介では以下の条件で銘柄を選定しました。
auカブコム証券のテーマ株アプリ、PICK UP!株テーマの「半導体」から
・関連度「強」の銘柄選定
・当社の銘柄分析ツール「株スコア」にて企業スコア総合のスコア順位TOP10をランキング
早速結果を見てみましょう。
■企業スコア
トムソン・ロイターが各銘柄に対してトムソン・ロイターの株価や財務、収益予想データを使用して、トムソン・ロイターが定義した定量分析により算出した数値です。スコアは、成長性、割安性、企業規模、テクニカル、財務健全性の各スコアの合計から算出されています。株価分析は 「ベータ」や「150日移動平均からの乖離」などから算出されます。原則として、スコアが高いほど「評価が高い」とされますが、その後の株価の値上りを約束するものではないということにご注意ください。
1位 レーザーテック(6920)
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半導体検査・計測装置が柱のメーカーです。回路焼き付けに使うマスクと呼ばれる部材の欠陥検査技術に強みを持ち、マスクの材料となるマスクブランクスの検査装置ではシェア100%を握っています。
従来の会社予想では、今期増収増益で飛躍する年となったはずですが、今後、修正の可能性もあるかも知れません。
「割安性」は低いものの、高い「収益性」と「成長性」でスコアを獲得し、「企業スコア総合」で1位となりました。
2位 信越化学工業 (4063)
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半導体シリコンウエハーで世界首位の化学メーカーです。他にも塩化ビニル樹脂でも世界首位となっており、収益の7割強を海外で稼ぐグローバル企業です。
「財務性」や「規模」で高いスコアを獲得し、2位となりました。
シリコンウエハーで3割強のシェアを握っているため、顧客との契約条件にも有利に働いているようです。この数年の半導体需要が高く、顧客が数量確保を優先した時期に、価格が段階的に上がる契約を結でいました。08年には競合他社の増産と金融危機が重なり需給バランスが崩れたことで、ウエハーの利益が大きく落ち込んだ経験がある同社だけに、今回はどのように業績が推移するのか注目です。
3位 アドバンテスト (6857)
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半導体試験装置大手です。半導体を電気試験することで、半導体の品質・性能・信頼性保証を行う装置を開発しています。
主力であるメモリー半導体向けで、スマートフォン向けや「5G」向けの需要が今後どのように推移するかに注目が集まります。従来であれば今年は投資拡大が予想されていたため、昨年は大きな株価上昇となっていました。
「財務性」「規模」「収益性」で高いスコアを獲得しています。
はたして足元の下落が押し目買いの好機となるのかどうか・・・
4位 ルネサスエレクトロニクス (6723)
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車載マイコンの世界大手になります。マイコンとは、電気製品の中で、構成要素である電気回路や機械部分を制御する半導体チップです。同社の車載マイコンは主に自動車向けですが、汎用エンジン、サービスロボット、宇宙・航空などでも引き合いがあるようです。
自動車は生産台数が減少傾向にあるものの、1台辺りの搭載半導体数は増加しており、データセンター向け半導体も好調に推移していました。「成長性」「株価分析」「規模」で高スコアを獲得しています。
5位 東京エレクトロン (8035)
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半導体製造装置で世界3位、アジア圏首位の大手になります。5.7兆円の市場規模をもつ、半導体前工程製造装置市場に強みを持っています。
「5G」が普及期を向かえ、スマートフォン、データセンター向けに需要が拡大しているさなかでした。2020年の新型コロナウイルス騒動の影響が業績にどのような影響を与えるのか、注意深く見守りたい企業でもあります。
いかがでしたでしょうか。
景気減速や後退のタイミングでは大きく売り込まれることの多い半導体関連銘柄ですが、次のサイクルでは再び浮かび上がることが多いように思います。半導体業界に特有の構造的な景気循環はシリコンサイクルなどと呼ばれており、約4年の周期で繰り返すという説もあります。
また、このシリコンサイクルを抜けて半導体需要が長期的に大きな上昇を続けるスーパーサイクル論も一時もてはやされましたが、現在ではなりを潜めています。
今後もシリコンサイクルを繰り返しながら徐々に需要が伸びていくとすれば、相場の下落時にはぜひ注目いただきたい銘柄群かもしれませんね。