おしえて神戸先生~人生100年時代をあなたはどう生きる?~
第八話 つくろう!「じぶん年金」⑤投資は怖いものじゃない!
iDeCoについて、理解が深まってくるとだんだんやってみようという気持ちが出てきたのではないでしょうか。
ところで、多くの人が持っている「投資」のイメージとは?
・ハイリスク・ハイリターン
・安く買って高く売るために、株価を始終チェック
・金融の知識が必須
こんな感じかもしれません。しかし、それでは「投資を行うのは無理!」という人が多いというのもうなずけます。
実はこのイメージは、投資の一つのスタイルについてのものでしかありません。一般的には、投資先選びが楽しいので行う、あるいは経済に関心がある人が行う投資スタイルで、このスタイルの投資を私は「趣味としての投資」と呼んでいます。趣味にはお金がかかるのが一般的ですから、このスタイルの投資では見込みが外れて損失が発生しても、それは趣味にかかったお金と考え、失っても耐えられる範囲内で行うのが基本といえるでしょう。また、知識も経験もないし、「やっぱり私には無理!」と思ってしまう方も多いでしょう。
私が皆さんにお勧めしたいのは、それとはまったく異なる「仕事としての運用」という投資スタイルです。
自分や家族の将来のライフプランの実現のために資産を形成していこう、あるいは人生百年時代に備えて、今ある資産をできるだけ減らさないようにしたい、というようなニーズの方にとっては、ある程度はお金にも働いてもらうという「仕事としての運用」のスタイルが適しています。
このスタイルではお金に働いてもらいやすい環境を整える労務管理のような作業も求められ、どちらかと言えば退屈で面白みがなく、面倒な運用といえますが、相場観やタイミングはあまり重要ではなくなるため、投資に関する知識や経験がない人でも、基本的な考え方や方法さえ身につければ、ほとんどの人がすぐにでも始められる投資スタイルといえます。
「仕事としての運用」では、できるだけ着実にお金に働いてもらうために、もうけようとして値上がり益(上ブレ)を狙うのではなく、リスク(ブレ)をコントロールしていくのが最大の特徴です。そのために重要になるのが、「長期投資」「分散投資」「積立投資」なのです。
次回からは「仕事としての運用」の基本スタンスといえる「長期投資」「分散投資」「積立投資」のそれぞれが、なぜ重要なのかについて説明して行きましょう。
神戸 孝(かんべ たかし)
FPアソシエイツ&コンサルティング代表取締役。三菱銀行、日興證券を経て、1999年FPアソシエイツ&コンサルティングを設立。CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師、日本FP学会会員。日本FP協会理事、金融庁金融経済教育研究会メンバー、同金融審議会専門委員、同「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」委員などを歴任する。
資産運用に強いFPとして評価が高く、著書・執筆先多数。