債券ETFの基本〜リスクを知って賢く分散投資 債券ETFの基本〜リスクを知って賢く分散投資

債券ETFの基本〜リスクを知って賢く分散投資

債券ETFとは

債券投資と聞いて思い浮かべるのは、日本の国債や社債への投資、個人向け国債ではないでしょうか?

債券は株式に比べて比較的値動きが穏やかであり、なかでも個人向け国債は少額から投資することができて元本保証であることなどの理由から、人気の商品です。株式とは異なる値動きをする傾向があるため、株式と組み合わせることにより、値動きのリスクを軽減する効果が期待できます。

債券とは、国や企業が資金を調達のため、お金を借りるときに発行する「借用証書」のようなものです。投資家は債券を購入することで、その発行体である国や企業にお金を貸すことになり、その対価として定期的に利子を受け取り、満期時(償還時)には、元本の金額(額面金額)が払い戻されるという仕組みです。

この債券をETFにしたのが債券ETFです。ETFとは上場投資信託(Exchange Traded Fund)のことで、一般の投資信託とは異なり、取引所に上場しているため、市場が開いている時間帯であればリアルタイムに売買できます。

ETFには、日経平均株価やTOPIX、S&P500といった株式指数に連動するものや、REIT(不動産投資信託)指数に連動するもの、コモディティ(金やプラチナ等の貴金属や原油などの商品)の指数に連動するものなどがあり、債券ETFも含め、指数連動型のETFが一般的です。
もちろん、一般の投資信託と同じく株式や債券、REITを投資対象に、あらかじめ決められた運用方針に沿ってファンドマネージャーが積極的に運用するアクティブ型のETFもあります。

債券ETFには、大きく分けて「国内債券型」と「外国債券型」の2種類があります。国内債券型は、日本国債や日本企業の社債などに投資するタイプで、比較的値動きが穏やかなことが特徴です。
一方、外国債券型は、米国債などの海外の債券に投資するタイプで、為替ヘッジなしの商品では為替変動の影響も受けます。

値動きの安定性を重視するなら国内債券型、利回りの高さも狙いたいなら外国債券型など、ご自身の目的に応じて選ぶとよいでしょう。

ETFの種類
※上の表は筆者が作成
※種類別に簡易に説明したものであり、投資対象によって異なります。

債券ETFに投資するメリットとは?

債券ETFに投資するメリットをまとめてみました。

●資産の分散効果が得られる

債券同様、比較的値動きが穏やかであり、株式とは異なる値動きをする傾向があることから、株式あるいは株式ETFと組み合わせることにより、分散投資の効果が期待できます。

●少額で長期分散投資ができる

個人向け国債は1万円から、新規発行の国債は5万円単位で購入できますが、一般的な社債などを購入するには10万円単位、100万円単位など、ある程度まとまったお金が必要になります。その点、債券ETFなら数千円程度から購入することができます。さらに、1つのETFを購入するだけで、満期や発行体の異なる債券に自動的に分散投資できるのも大きな魅力です。
また、個別の債券は、償還まで保有すれば額面金額が戻ってきて終了しますが、債券ETFには基本的に満期がありません(満期日を定めた「満期(ターゲットイヤー)型」の債券ETFもあります)。組み入れている債券を入れ替えながら運用が続くため、長期的に債券市場へ投資し続けることができます。

●選択の手間を軽減

個別の債券を自分で選ぶ場合には、発行体の財務状況や格付けなどを自分で調べて見極める必要があります。債券ETFはあらかじめ定められた運用方針や対象指数に沿って運用されるため、発行体の財務状況や格付けなどを一つひとつ調べる手間を抑えやすく、ビギナーでも比較的はじめやすいといえます。

●定期的な収益が得られる

債券投資では定期的に利子を受け取ることができます。
債券ETFの場合、ETFが保有する債券から生まれる利子などを原資として、ETFを保有する投資家へ「分配金」を支払う商品もあります。コツコツと分配金を受け取れる商品があることも、債券ETFの特徴のひとつです。
(※分配の有無や頻度、分配金の水準は商品ごとに異なるため、事前に確認しましょう。)

●売買しやすい

ETFは債券型に限らず株式と同様、指値注文や成行注文で取引時間中であればリアルタイムの価格で売買できるのが特徴です。多くの投資信託は、1日1回算出される基準価額での取引になるのに対し、「この価格になったら買いたい」など、細かい注文ができるのもETFならではです。個別の債券は証券会社との相対取引が基本であるため仕組みが異なります。

債券ETFの特徴
※上の表は筆者が作成
※一般的な傾向を簡易に説明したものであり、実際の投資対象や商品性によって異なる場合があります。債券ETFには満期日を定めた商品や、分配を行わない商品もあります。また、指数連動型ETFは、原則として対象指数に沿って運用されます。

債券に投資するリスクは?

債券は比較的値動きが穏やかでリスクが低いといわれますが、価格が変動する商品であることは変わりありません。債券にはどのようなリスクがあるのか知っておきましょう。

●金利リスク

市場の金利が上昇すると、すでに発行されている債券の金利の魅力が下がるので、結果として債券価格は下がる傾向にあります。反対に市場の金利が下がると債券価格は上昇しやすくなります。このように、金利の動きにより、債券の価格は影響を受けます。償還までの期間が長い債券ほど、金利変動の影響を受けやすくなるので、価格変動リスクも高まります。

●為替リスク

外国債券型のETFは外貨建ての債券に投資するものが多く、為替ヘッジなしの商品では為替変動の影響を受けます。市場金利の変動による価格の変化よりも、為替変動による価格の変化の方が大きいこともあります。「為替ヘッジあり」のETFを利用することで為替リスクを低減することが可能です。

●信用リスク

債券を発行している企業や国の財務状況が悪化すると、利子の支払いが滞ったり、元本の返還ができなくなったりする可能性があります。一般的に信用力が低い発行体の債券ほど、債務不履行(デフォルト)リスクが高まるため、利回りが高く設定される傾向にあります。

債券ETFに投資するうえで重要なこと

債券ETF選びは、リスク(値動きの振れ幅)と利回りに注目して考えることが重要です。

一般的にリスクが高くなれば、利回りが高いという傾向があります。国内債券型と外国債券型では、投資対象とする国や債券の種類などによって、リスクや利回りが異なります。さらに、同じ外国債券型であっても、為替変動の影響を抑える「為替ヘッジあり」のタイプと、為替変動の影響を受ける「為替ヘッジなし」のタイプに分かれます。為替ヘッジありのタイプは、為替変動の影響を抑えられる一方、為替ヘッジにかかるコストが運用成果に影響する場合があります。
また、新興国の債券は、政治・経済の情勢が不安定になりやすい「カントリーリスク」も加わるため、リスク・利回りともに高くなる傾向にあります。

一般に、残存期間が長い債券を多く組み入れるETFほど、金利変動による価格への影響を受けやすくなります。また、信用リスクが高い債券を組み入れるETFは、利回りが高くなる傾向があります。

このように「利回りが高い」といっても、その裏側にあるリスクは商品によってさまざまです。利回りが高いという理由だけで選ぶのではなく、なぜその利回りになっているのかという背景まで確認をすることが大切です。

このほか、ETFごとの経費率(信託報酬などの運用コスト)も、長期で保有するほど成果に影響してくるため、購入前に確認しておきたいポイントです。

3つのリスクと利回り
※上の表は筆者が作成

まとめ

債券ETFは、少額から投資ができ、1本で複数の債券に分散投資できるビギナーでも取り組みやすい商品です。株式と組み合わせることで、資産全体の値動きを安定させる効果も期待できます。

一方で、金利リスク・為替リスク・信用リスクといった値動きの要因があることも忘れてはいけません。「利回りの高さ」だけに注目するのではなく、リスクとのバランスを見ることが大切です。まずは少額から、ポートフォリオの一部に債券ETFを取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • 注:債券ETFは個人向け国債のように元本が保証される商品ではなく、市場価格の変動により、売却時に投資元本を下回る可能性があります。

ご注意事項

執筆者:石川英彦

執筆者:石川英彦


金融デザイン株式会社 代表取締役
愛知県生まれ。南山大学経営学部卒業後、北米大陸をオートバイで周遊。帰国後、保険代理店の手伝いをしたことで金融の世界を知る。その“奇妙”な世界に疑問を感じ「お金に関する情報形成」「売り手と買い手がハッピーになる金融コンテンツづくり」をミッションとした、株式会社マネーライフナビを設立(1996年)。
FP(ファイナンシャルプランナー)の実務をこなしながら多数の金融コンテンツ制作を手がける。2017年9月に社名を金融デザイン株式会社に変更。インフォグラフィックスやウェブのデザインまで領域を広げる。50代と60代からのセカンドキャリアを応援するサービス「50カラ」を展開中。

お金と仕事とライフワークの相談室「50カラ」
じぶん価値発見プロジェクト
持ち味マネーカード
金融デザイン株式会社

最短10分で申込み完了!
無料口座開設はこちら

ページの先頭へ戻る