ブル型・ベア型ファンドとのつきあい方 ブル型・ベア型ファンドとのつきあい方

ブル型・ベア型ファンドとのつきあい方

「ブル(レバレッジ)型」「ベア(インバース)型」とは?

投資信託やETFの中には、「ブル型」「ベア型」と呼ばれる商品があります。ブル型は相場の上昇局面、ベア型は下落局面で利益を狙うことを目的とした商品です。

「ブル」「ベア」とは、株式市場などにおいて相場の強気、弱気を示す言葉で、ブルは雄牛を意味し、角を下から上へ突き上げる仕草から「強気・上昇相場」を表します。

一方、ベアは熊を意味し、前足を上から下へ振り下ろす動きや背中を丸めた姿から「弱気・下落相場」を表します。

ブル型は上昇局面で利益を狙うものなので、イメージしやすいでしょう。一方、ベア型は、相場が下落したときにどのように利益を得るのか、不思議に思うかもしれません。

ベア型商品では、先物取引やオプション取引などのうち、対象となる株価や指数が下落した場合に利益が見込まれる取引を活用することで、下落局面でも利益を狙います。

また、ブル型・ベア型には、指数の「1日あたり」の値動きに対して、一定の倍率の値動きを目指す商品もあります。

例えば、指数の値動きの2倍、3倍の値動きを目指すタイプです。指数と同じ方向に値動きを増幅させるタイプは「レバレッジ型」、指数と反対方向の値動きを目指すタイプは「インバース型」と呼ばれます。

ブル型・ベア型商品は、相場環境に応じて利益を狙える一方で、一般的な投資信託とは異なる特徴や注意点もあります。では、商品の魅力と留意点、さらに値動きの仕組みについて見ていきましょう。

ブル(レバレッジ)型とベア(インバース)型のメリット

ブル型・ベア型ファンドは、株式指数などの対象指数に日々の騰落率に対して、あらかじめ決められた倍率の値動きを目指すファンドです。

ブル型は指数が上昇した時、ベア型は指数が下落した時に基準価額が上昇するよう設計されています。ブル型・ベア型ファンドには、その特徴を生かしたメリットがあります。

・短期で大きなリターンを狙える

ブル型・ベア型ファンドの最大の魅力は、短期で大きなリターンを狙える可能性がある点です。

指数の値動きに対してレバレッジを効かせ、2倍、3倍程度の値動きを目指す場合、相場が予想どおりに一方向へ動けば、短期間で大きな収益を得られる可能性があります。

・下落相場でも利益獲得のチャンスがある

ベア型ファンドは、先物取引やオプション取引を活用し、対象とする指数などの値動きに対して反対方向の値動きをするファンドです。

通常の投資信託は対象とする株価指数などが下落すると基準価額も下がる傾向がありますが、ベア型ファンドは逆方向に動くことを目指すため、対象指数などの下落時に基準価額の上昇を狙えます。

例えば、日経平均株価の下落が見込まれる局面でベア型ファンドを購入することで、利益を狙うことが可能になります。

・追加証拠金が発生しない

レバレッジが効く先物取引では、証拠金という一定額のお金を預けて、その何倍もの金額の取引を行います。そのため、相場が予想と逆方向に動き、証拠金が一定水準を下回ると、不足分を追加で差し入れる追加証拠金(追証)が必要になる場合があります。

一方、ブル型・ベア型ファンドは、レバレッジは効きますが、投資信託であるため追加証拠金は発生しません。そのため、損失は投資元本の範囲に限定されます。

ブル(レバレッジ)型とベア(インバース)型のデメリット

ブル型・ベア型ファンドには、短期で大きなリターンを狙える一方で、いくつかの重要なデメリットがあることも押さえておきましょう。

・リスクが高い

倍率の高いレバレッジが効いたファンドは、相場が予想と逆方向に動いた場合、損失が拡大しやすい点に注意が必要です。

・ボックス相場では目減りする

相場が上昇と下落を繰り返すと、ブル型・ベア型ともに基準価額が徐々に低下する傾向があります。
例えば、日々の値動きの3倍を目指すブル型ファンドの場合、以下のようになります。

1日目:指数+1% → ファンド約+3%(100万円→103万円)
2日目:指数▲1% → ファンド約▲3%(103万円→約99万9,100円)

指数が2日間でほぼ元の水準に戻っていますが、ファンドの基準価額は元本を下回ります。
これは、2日目の下落率(▲3%)が103万円を基準に計算されるためです。

このように、ブル型・ベア型ファンドは指数の1日ごとの騰落率に倍率をかけて連動する仕組みのため、指数が元の水準に戻っても、ファンドの基準価額は元に戻らないことがあります。

特に、相場が一定の範囲内で上昇と下落を繰り返すボックス相場では、ブル型・ベア型ともに基準価額が徐々に目減りする傾向があります。

・長期保有には向かない

相場は常に変動しており、一方向への値動きが長期間にわたって続くとは限りません。そのため、ブル型・ベア型ファンドは、一般的に長期保有には適していない商品とされています。

一つのファンドを長期保有し資産形成を目指す方にとっては、必ずしも適した選択肢とはいえません。

ブル型・ベア型ファンドの値動きのイメージ

では、ブル型・ベア型の値動きをグラフで確認してみましょう。

下図では、基準日を100として、指数(株式市場)、2倍のブル型、2倍のベア型の値動きを示しています。

1日目は指数が5%上昇したため、2倍のブル型は約10%上昇し110となり、2倍のベア型は約10%下落して90となります。2日目以降も同様に、その日の騰落率に対して倍率をかけて値動きします。

ここで注目したいのは、4日後には指数が100まで戻っているにもかかわらず、ブル型は98、ベア型は95となり、どちらも元の水準には戻っていないという点です。

グラフからも、相場が上下を繰り返す局面ではブル型・ベア型は目減りしやすい一方、相場が一方向に動く局面では、商品の特徴を生かしやすいことが分かります。

<ブル型・ベア型商品の値動きのイメージ例>

<ブル型・ベア型商品の値動きのイメージ例>
※値動きの特徴を説明するためのイメージ図です。(図は筆者作成)

<相場が一方向に上昇した場合の値動きのイメージ>

<相場が一方向に上昇した場合の値動きのイメージ>
※値動きの特徴を説明するためのイメージ図です。(図は筆者作成)

<相場が一方向に下落した場合の値動きのイメージ>

<相場が一方向に下落した場合の値動きのイメージ>
※値動きの特徴を説明するためのイメージ図です。(図は筆者作成)

ブル型・ベア型ファンド購入の注意点

ブル型・ベア型ファンドは、短期売買向けの商品であり、購入にあたってはいくつかの注意点があります。

・短期取引向けの商品であることを理解する

ブル型・ベア型ファンドは、数日から数週間程度の投資期間で、一方向に相場が動く短期トレードに適しています。多くの金融機関でも「中長期の投資には向かない金融商品」と明記されています。

比較的短期売買向けの商品であり、値動きが大きいため、保有中はマーケットの動向をこまめに確認することが重要です。

・申し込みの締切時間に注意する

購入や換金の申し込みには締切時間が設定されています。希望するタイミングで取引するためには、あらかじめ締切時間を確認しておくことが大切です。

・コストに注意する

ブル型・ベア型ファンドは、信託報酬などの運用コストが通常のインデックスファンドより高い傾向があります。また、多くの商品は先物取引を利用して運用しており、先物の乗り換え(ロールオーバー)に伴うコストなどが運用成績に影響する場合があります。

そのため、長期間保有するとコスト負担が積み重なり、期待どおりの運用成果にならないことがあります。

ブル型・ベア型ファンドの活用ポイント

ブル型・ベア型ファンドは、市場の方向感が明確な局面で活用される短期運用向けの商品です。

相場が一方向に動く局面ではその特徴を生かしやすい一方、相場が上下を繰り返す局面や長期間保有した場合には、期待どおりの値動きにならないことがあります。

資産形成の基本となる長期・積立・分散投資とは役割が異なるため、仕組みやリスクを十分に理解したうえで活用することが重要です。

ご注意事項

執筆者:村松祐子

村松祐子


ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士)。金融・証券インストラクター。1987年より、大手証券会社において外国株式の東京証券取引所上場に際し、販売促進に携わる。資料作成、および、顧客向け株式セミナー、社内勉強会の運営に従事。1990年より富裕層向け資産運用コンサルティングに従事したのち、株式調査部に転籍、経済・株式の調査を経験、機関投資家向け週間マーケットレポートの作成に携わる。資産運用の相談、経済・市場調査の経験を踏まえ、それらを総括したサービスを提供するFPへ転身。現在、資産運用・株式投資の個人レクチャー、セミナーのほか、ライフ&マネープラン相談を実施している。一人ひとりに合った資産形成の提案には定評があり、自立した個人投資家の育成にも力を入れている。『FPコスモス』代表。

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