【わかりやすく解説】関税の基本とその影響について 【わかりやすく解説】関税の基本とその影響について

【わかりやすく解説】関税の基本とその影響について

執筆者:カブヨム編集部

関税とは?投資家も知る必要がある?

関税とは、外国から輸入される商品に対して課される税金のことで、国内産業の保護や政府の収入源として利用されています。 消費者や企業にとって重要であるだけでなく、投資家にとっても、関税は企業業績や株価を左右し得る要素です。
本記事では、関税の基本的な仕組みと、その影響を投資家の視点も交えながら整理します。

関税の仕組みとは?

関税は、商品が輸入される際に輸入業者が支払う税金で、その分がコストに上乗せされます。

<関税が発生する仕組みの簡略図>


※上の図は当社が作成。
※あくまで輸入を簡易なイメージに置き換えたものであり、実際にはその過程で様々な手続きが生じます。

各国は、自国の産業構造や経済状況に応じて関税率を決めています。
関税の主な目的は以下の通りです。


  • 国内産業の保護:輸入品に税をかけることで、国内製品との価格差を縮め、国内企業が競争しやすい環境をつくります。これにより、国内の労働市場を安定させ、技術革新を促そうとする一面もあります(ただし、保護が長期化すると競争圧力が弱まり、必ずしも技術革新につながらない場合もあります)。

  • 政府の収入:関税は国家財政の一部として、インフラ整備や教育・医療など様々な公共サービスに使われます。

  • 貿易バランスの調整特定の品目の輸入を抑えたり、貿易赤字の是正を意図して関税が利用されることもあります(ただし、必ず貿易赤字が是正されるというものではありません)。貿易赤字が続くと国際収支が悪化し、長期的な経済成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

関税はどう決まる?計算の基本的な仕組み

関税は、通常、商品の価値(課税価格)に一定の税率をかけて計算されます。例えば、輸入品の価格が高いほど、支払う関税も高くなる傾向にあります。関税率は国や商品によって異なり、特定の産業を保護するために高く設定される…というケースもあり得ます。
関税を計算する際には、商品の原産国や輸入者の申告内容が重要な役割を果たします。自由貿易協定の対象品目であれば、一定の条件(原産地規則など)を満たすことで、関税が軽減・免除される場合もあります。国際貿易では、複数の国が関与するため、関税の計算は複雑になる点に留意が必要でしょう。

関税の具体的な種類は?

関税にはいくつかの種類があります。


  • 従価税:商品の価値に対して一定の割合で課される関税です。これは、商品の運賃や保険料を含む「課税価格」を基に計算されるため、価格の変動に応じて関税額も変わります。

  • 従量税:商品の量や重量に基づいて課される関税です。これは、商品の物理的な特性に基づいており、価格に関係なく一定の税額が適用されます。

  • 混合税:従価税と従量税の両方を組み合わせた関税です。これは、特定の産業や商品に対して、より柔軟な税制を提供するために使用されます。

これらの関税の影響は、消費者、企業、そして国の経済全体にそれぞれ異なる形で現れます。

関税が消費者に与える影響

関税は商品の価格に影響を与えるものと言えます。関税が高いと、輸入品の価格が上昇し、結果として消費者の支払額も増えます。生活費の上昇につながるほか、輸入品が割高になることで、選択肢が狭まる場合もあるでしょう。

また、特定の輸入品の関税が引き上げられると、消費者はより安価な代替品を選ぶようになります。その結果、ブランドの選好やライフスタイルが変化することもあり得るでしょう。

関税が企業に与える影響

関税は企業のサプライチェーン管理(※)にも影響を与えます。企業は、関税コストを最小限に抑えるために、製造拠点や流通ルートを最適化する必要があります。これにより、企業はグローバルな競争環境での生存を図ることが求められます。

(※サプライチェーン管理とは、原材料の調達から製造、輸送、販売まで、製品が消費者に届く一連の流れを管理することです。)

輸出企業か輸入企業かによっても、関税の影響の仕方が変わってきます。

輸出企業の場合

輸出企業は、輸出先の国で課される関税を考慮する必要があります。関税が高いほど現地価格は上がり、競争力の低下や売上減少につながるリスクが高まるでしょう。
一方で、国内市場では、関税によって海外の安価な製品との価格差が縮まり、国内企業は自国市場でシェアを維持しやすくなる側面もあります。

輸入企業の場合

輸入企業にとっては、輸入品に対する関税が製品価格に直結し、消費者の購買意欲にも影響します。そのため、関税水準を踏まえながら、価格設定や調達先、在庫方針などの戦略を見直す必要が生じることもあるでしょう。

関税が投資家に与える影響

投資家の視点から見ると、関税政策は投資判断に影響を与える重要な要素です。
先ほどの輸入企業を例にとると、関税が引き上げられれば輸入コストが増加し、企業のコスト構造が変化します。これにより、特定の企業や産業が利益を伸ばす一方で、別の企業は競争力を失い、利益が圧迫される可能性もあるでしょう。投資家は、どの企業・産業が恩恵を受け、どこが打撃を受けるのかを見極め、場合によってはポートフォリオを柔軟に調整する姿勢も必要になるかもしれません。

また、関税は市場全体の動きにも影響し得る要素のひとつです。貿易摩擦が高まると、経済の先行き不透明感が強まり、市場のボラティリティが高まることがあります。こうした局面では、投資家はリスク水準を見直し、特定の地域やセクターへの投資を抑えるなど、防御的な姿勢を取ることが一般的です。

さらに、国際的な貿易協定の見直しや新たな関税政策の導入は、長期的な産業構造やサプライチェーンにも影響する可能性があります。投資家は、こうした政策動向を踏まえつつ、中長期的な収益機会とリスクのバランスを考えた投資戦略を組み立てる必要があるでしょう。貿易協定については次の章で詳しく述べます。

国際貿易と自由貿易協定

高い関税はいわゆる貿易摩擦を招き、国際関係の緊張を高めることがあります。また、関税が高すぎると貿易量が減少し、経済成長の鈍化や国際市場での競争力低下につながるおそれがあります。

一方で、適切に設計された関税は、国内産業の育成や技術革新を後押しし、結果として国全体の競争力向上や持続可能な経済成長につながる場合もあります。

関税は国際関係においても重要なツールです。多くの国が自由貿易協定(FTA)を結び、関税を削減・撤廃することで貿易を促進しています。これにより、各国は相互に経済的利益を享受しやすくなります。また、関税は国際交渉の場で重要なカードとなり、国家間のパワーバランスにも影響し得ると理解しておくと良いでしょう。

自由貿易協定(FTA)とは

自由貿易協定は、関税を削減または撤廃し、貿易を活発にすることを目的としています。このような協定により、消費者はより多くの選択肢を持ち、企業は新たな市場に進出する機会を得ることができます。

また、自由貿易協定は国際的な協力を促進し、国家間の緊張を緩和する役割を果たします。これにより、経済的なつながりが強化され、政治的な安定が図られることがあります。

関税は時に貿易摩擦の原因となりますが、貿易摩擦の解決には、国家間の継続的な対話と協力が欠かせません。各国が共通の利益を見出しながらルールづくりを進めることが、持続可能な経済成長につながっていきます。

将来的な関税の展望

関税の役割は、国際貿易や経済情勢の変化に応じて変わっていきます。とくに、テクノロジーの進化と環境問題への対応は今後の重要な論点と言えるでしょう。
デジタル化が進む中で、デジタル製品やサービスにどのように税を課すか、新たなルールづくりが進んでいます。また、手続きの電子化により、関税手続きの効率化や透明性の向上も期待されています。

さらに、環境配慮型の製品に対する関税の優遇といった「グリーンな関税政策」も議論されている点にも注目です。環境に優しい製品を普及させることで、経済成長と環境保護の両立を目指す動きが望まれるでしょう。

≫参考:第3節 グリーン移行と貿易:通商白書2025年版 (METI/経済産業省)

まとめ

関税は、商品の価格だけでなく、企業の収益構造や国際関係にまで影響を及ぼす重要な制度です。 その仕組みと影響の基本を押さえておけば、ニュースや政策変更が、自分の生活や投資先にどのようにつながるのかを考えやすくなります。
今後も、関税政策や自由貿易協定の動きに注目しつつ、ご自身が関心を持つ産業・企業にどのような影響が及ぶのかを意識しておくことで、より多角的な視野での投資判断につながるでしょう。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動を推奨するものではありません。

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