「含み益」に踊らされないために知っておきたいこと 「含み益」に踊らされないために知っておきたいこと

「含み益」に踊らされないために知っておきたいこと

含み益とは?

購入した株の価格が上昇したら、ワクワクしますよね。購入時の株価よりも現在の株価が上昇したぶんの差額が、「含み益」です。
「含み益」は、投資家をワクワクさせると同時に、「この株をいつ売却すればいいのだろうか?」、「上昇分には税金がかかるのだろうか?」といった悩みも生じさせるかもしれません。投資家が「含み益」に一喜一憂することなく、冷静に投資を続けるために知っておきたいポイントについてご説明します。

「含み益」とはどういう意味?

「含み益」とは、購入時の株価よりも現在の株価が高い状態あるものの、まだその株を売却していないため実利益が発生していない「未確定の利益」のことです。

例えば、100万円で購入した株の価格が、現在110万円になっていたら、「含み益」は10万円です。
しかし、売却をしなければ「含み益」は実際に利益を受け取ったことにはなりません。いわば、「含み益」は幻想の利益であり、単なるデータ上の数字に過ぎません。株価は日々変動するため、株を売却して利益確定するまでは、「含み益」は消滅する可能性もあります。

<含み益のイメージ>


図は筆者作成

本当に重要なのは「トータルリターン」

「含み益」が生じていることに気づくとワクワクしますが、株式投資を行う上で本当に重要なのは「トータルリターン」です。トータルリターンとは、投資で得た全ての利益(売却益、配当金、それらを元手に増やした利益など)を合計したものです。

トータルリターンを算出するには、手数料や税金などのコストも考慮に入れる必要があります。そのため、仮に「含み益」が大きくなっても、トータルリターンで考えると最終的に手元に残る利益は少なくなっている可能性もあります。
「含み益」だけに目を奪われず、定期的にトータルリターンを確認する冷静な姿勢が重要です。

「含み益」は課税される?確定申告は必要?

「含み益」が生じただけの段階では、一切課税されることはありません。
「どのようなときに課税されるのか」、そして「確定申告は必要なのか?」という疑問についてお答えします。

課税のタイミングは「売却」した時

株を売却して実際の利益を得た時、つまり利益確定したときに初めて課税されます。その実際の利益に対して、原則として20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)が課税されます。

知っておきたい確定申告の要否

実際の利益が出た時に課税されるということは、「確定申告は必要なのか?」と考える方もいらっしゃるでしょう。
投資を行う口座の種類によって、確定申告が必要か否かは異なります。非課税メリットや投資目的など、総合的に判断して口座を選びましょう。
NISAや、源泉徴収で納税が完了する特定口座(源泉徴収あり)であれば、納税に関する手間や不安を軽減することができます。

NISA
非課税制度であるNISAを活用して投資を行っている場合は、利益確定しても課税されません。つまり、確定申告をする必要はありません。

iDeCo
iDeCoは、運用中についていえばNISAと同じく課税されませんので、確定申告は不要です。ただし、受け取り時についていえば、公的年金等として雑所得扱い または 退職所得扱い となり、確定申告が必要になる場合があります。

特定口座
特定口座とは、証券会社が投資家の税金計算と納税の手間を簡単にするために、譲渡損益(株の売買で出た利益や損)を計算し、年間取引報告書という税金の書類を作成してくれる証券口座をいいます。特定口座は、源泉徴収の有無によって2つの種類があります。

源泉徴収ありの特定口座
証券会社が口座内で自動で譲渡損益を計算し、源泉徴収して納税まで行ってくれます。そのため、源泉徴収ありの特定口座において得た利益についての確定申告は原則不要です。
ただし、他の口座との損益通算を行う場合、損失の翌年以降への繰越控除を利用する場合など、確定申告を行う方がよいケースもあります。

源泉徴収なしの特定口座
証券会社が年間の損益を計算した「年間取引報告書」を作成しますが、納税は自分で行う必要があります。投資家は、この報告書の内容を確定申告書に転記するだけで済むため、申告書作成の手間は大幅に削減されます。ただし、年間の利益が少額(給与所得者で20万円以下など)である場合には確定申告が不要となる可能性もあります。

一般口座
一般口座は、税金に関する手続きを全て投資家自身が行う必要がある口座です。投資家が年間の全ての取引記録を管理し、利益が出た場合は自分で損益を計算し、確定申告書を作成して税務署に提出する必要があります。

※確定申告に関する最新の情報については必ず国税庁等の情報をご参照ください。

「含み益」最大の壁!利益確定のタイミング

「含み益」が生じると、さらなる株価の上昇を期待して、いつ利益確定をすればよいのか迷うものです。

利益確定を迷わせる正体とは?

「含み益」が生じているときに売却し、利益確定をすれば損をしないはずなのに、なぜ私たちは利益確定を迷ってしまうのでしょうか?
それは、人は利益が確定する喜びよりも利益を逃す損失を大きく感じる生き物であるからです。この心理によって私たちは不合理な意思決定をする傾向があるということは行動経済学における「プロスペクト理論」でも実証されています。

「含み益」が生じているとき、もっと株価が上昇するのではないかという欲が生まれます。そして、今よりも株価が上昇する可能性があるのに、今、利益確定をしてしまったらさらに大きな利益を得られないのではないか? 損をしてしまうのではないか? という感情に揺さぶられてしまいます。その結果、「含み益」が出ているのにもかかわらず、不合理な意思決定をし、利益確定のタイミングを逃しがちになると考えられます。利益確定を迷わせる正体はこのような私たちの感情です。

冒頭で触れたとおり「含み益」は言わば幻想の利益です。「含み益」は株価の動きによっては消滅する可能性もありますから、感情に流されてしまうと得られたはずの利益を失う結果にもなりかねません。投資において重要なのは、「感情を排除した機械的な行動」です。

利益確定のタイミングを逃さないために考えておきたいこと

「感情を排除した機械的な行動」のために、投資を始める際には、長期投資にするのか、短期投資(中期投資)にするのかなど、株式を保有する目的を決めておきましょう。

長期投資は、株式や投資信託の積立などを活用して、10年、20年といった長い時間をかけて資産を増やしていくことを目的とします。原則として売却をせずに、一定額をコツコツと積み立てていきます。「含み益」を資産が成長している証拠と捉えて、目標とする時期まで利益確定をしないという姿勢を原則とします。そのため、感情が入り込む余地は少なくなります。

一方、短期投資(中期投資)は数週間~数年程度の期間で市場の株価変動から短期的な利益を狙うことを目的とします。短期投資(中期投資)を成功させるためには「感情を排除した機械的な行動」がより重要になります。その行動をおこすための「具体的な基準」を考えておきましょう。

利益確定の「具体的な基準」とは?

利益確定の「具体的な基準」には、下表に挙げた達成率基準などがあります。そのうちの「どれが正解」というものはありません。自分の投資スタイルや目標に合ったものを見つけて、その基準に従って淡々と実行することが重要です。

<具体的な利益確定の基準例>


表は筆者が作成

「含み益」に踊らされないための心構え

「含み益」はゴールではありません。最終的な投資の成果は、「含み益」ではなく、税金やコストも考慮したトータルリターンで考える姿勢が重要です。
そして、投資における最大の敵は、市場の変動に一喜一憂する自分の感情であることを知っておきましょう。投資の方針や具体的な利益確定の基準を考えて、「含み益」に踊らされない冷静な投資家へ成長していきましょう。

キムラミキ

キムラミキ

ファイナンシャルプランナー 社会福祉士

日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けする他、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。

また、ライフワークとして障がい児・者の親なき後の経済準備についての啓発活動を行う上での課題研究を行うため、放課後等デイサービスや学習に困り感のある子供の学習支援教室にて、障がいのある子供たちの学習支援にも取り組んでいる。

株式会社ラフデッサンHP
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