ローソク足から読み解く「買い時・売り時」のサイン ローソク足から読み解く「買い時・売り時」のサイン

ローソク足から読み解く「買い時・売り時」のサイン

ローソク足の基礎の基礎

株式投資に興味がある方であれば、チャートをご覧になったことがある方も多いでしょう。チャートの中にはさまざまな要素が表示されています。
ローソク足はその要素の一つで、ローソクのような形をしており、特定の期間における株価の動きを示しています。

ローソク足の構成

ローソク足は、下図のように実体とヒゲという2つの要素で構成されています。

※画像は筆者が作成

【実体】
実体は、始値と終値の間にある太い四角い部分です。
始値より終値が高かった場合は、実体が白色や赤色など明るい色で表示され、「陽線(ようせん)」と呼ばれます。
始値より終値が低かった場合は、実体が黒色や青色など暗い色で表示され、「陰線(いんせん)」と呼ばれます。

【上ヒゲと下ヒゲ】
ヒゲは、実体から上下に伸びている細い線の部分を指します。

実体の上から伸びる線は「上ヒゲ」といい、その期間の最高値を示します。上ヒゲの長さは実体の高値(始値・終値のうち高い方)との差を表します。
例えば、上ヒゲが長い場合は、一度は大きく株価が上昇したもののその後売り圧力が高まり、終値は下がったことを意味します。

実体の下から伸びる線は「下ヒゲ」といい、その期間の最安値を示します。下ヒゲの長さは実体の安値(始値・終値のうち安い方)との差を表します。
例えば、下ヒゲが長いときは、一度は大きく株価が下落したもののその後買い圧力が強まり、株価が戻ったことを意味します。

ローソク足の特徴が示す「投資家の心理」

ローソク足は、価格の動きを表すだけでなく、投資家の心理や市場の勢いを映し出しているとも言えます。形状の特徴に注目することで、単なる騰落だけでは捉えにくい「相場のサイン」を読み取ることができます

※画像は筆者が作成

【十字線】
始値と終値がほぼ同じ位置にあるローソク足です。実体が非常に小さく、まるで十字架のように見えることから、「十字線」と呼ばれます。
十字線は、その期間に「買いと売りの勢力が拮抗している状態」を示し、相場に迷いが生じていると解釈されることがあります。
高値圏や安値圏で出現すると、それまでの傾向が転換するサインとなる場合があります。

【カラカサ】
長い下ヒゲと短い実体を持つ陽線または陰線です。ローソク足が傘の柄のように見えることから「カラカサ」と呼ばれます。
カラカサが安値圏で現れると「これ以上下がらない(安心感)」を、高値圏で現れると「利益確定の売りが出始めた(警戒感)」といった、投資家の心理の転換を示していると解釈されることがあります。

【トンカチ】
長い上ヒゲと短い実体を持つ陽線または陰線です。ローソク足がトンカチに似ていることから「トンカチ」と呼ばれます。
トンカチが安値圏で現れると下落が続く中で、そろそろ底値だと考えて買い始める投資家の心理が働いていると解釈されることがあります。
また、高値圏で現れると上昇が続く中で、そろそろ下落傾向に転換するのではないかという投資家の警戒心が強まっている心理を示していると解釈されることがあります。

チャートの「窓」にも注目!

チャートの「窓」とは、隣り合うローソク足の間にできる空白部分をいいます。
買いまたは売りの勢いが強いことを示しています。
その銘柄に関する重要なニュースや出来事によって、一斉に買い(または売り)が出た結果、株価が大きく動くとチャートの「窓」が現れます。

このチャートの「窓」に関連して、「明けの明星」「宵の明星」という株価の騰落のサインがあります。

明けの明星と宵の明星

※画像は筆者が作成

【明けの明星】
下落トレンドの終わりに出現することが多く、3つのローソク足による転換サインです。相場が上昇に転じる可能性が高いことを示しています。

長く下降トレンドを形成してきた中で、強い大きな陰線が出現します。これは、まだ売り傾向が強いことを示しています。
その翌日、低い株価で取引がスタートした後、売買の勢いが拮抗して、あまり値動きのない小さなローソク足が現れます。
さらに、その翌日、「窓」を開けて前日より高い株価で取引がスタートした後、前日の株価下落の半分以上を取り戻すほどの大きく上昇する陽線が現れます。

この3つのローソク足の組み合わせが、長い夜が明けた頃に見える星のように輝き、やがて太陽が昇ってくるような様子に見えることから、「明けの明星」と呼ばれます。

【宵の明星】
上昇トレンドの終わりに出現することが多く、3本のローソク足による転換サインです。相場が下落に転じる可能性が高いことを示しています。

長く上昇トレンドを形成してきた中で、強い大きな陽線が出現します。これは、まだ買い傾向が強いことを示しています。
その翌日、高い株価で取引がスタートした後、売買の勢いが拮抗して、あまり値動きがない小さなローソク足が現れます。
さらに、その翌日、「窓」を開けて前日より低い株価で取引がスタートした後、前日の株価上昇の半分以上を打ち消すほどの大きな陰線が現れます。

この3つのローソク足の組み合わせが、夕暮れの空に一番星が輝き、やがて夜が訪れて星が沈んでいくような様子に見えることから「宵の明星」と呼ばれます。

2本のローソク足のパターンで投資家の心理が分かる⁉
~はらみ線とつつみ線~

2本のローソク足で構成されるパターンで、投資家の心理や今後の相場の動きを予想することもできます。

代表的なものに、「はらみ線」「つつみ線」と呼ばれるパターンがあります。
これらは、陽線と陰線の組み合わせでそれぞれ4種類あり、このパターンがチャートに現れると、相場の傾向が強まったり、転換したりするサインを示唆します。
どちらのパターンも他のテクニカル指標や直前の相場状況と合わせて分析することも重要です。

※画像は筆者が作成

【はらみ線】
1本目のローソク足が大きく、2本目のローソク足がその1本目の実体の中に収まる大きさになっている状態を指します。
株価が大きく動いた後、値動きが小さくなるということは、投資家に迷いや様子見ムードが広がっていることを示します。高値圏で現れると上昇傾向の終わり、安値圏で出ると下降傾向の終わりのサインといわれます。
特に、上図の下段に例示した「陰線→陽線(陰の陽はらみと呼ばれる下落の勢いが弱まるサイン)」「陽線→陰線(陽の陰はらみと呼ばれる上昇の勢いが弱まるサイン)」のはらみ線は、相場の傾向が転換する強いサインとして活用されています。

【つつみ線】
2本目のローソク足が1本目のローソク足の実体をつつみこむほどの大きさになっている状態を指します。
1本目のローソク足の動きを打ち消して、さらに強い勢いで逆方向に進んだことを示しており、相場傾向が転換するサインといわれます。
特に、上図の下段に例示した「陰線→陽線(陽の抱き線や陽線つつみ足と呼ばれる上昇の勢いが強くなるサイン)」「陽線→陰線(陰の抱き線や陰線つつみ足と呼ばれる下落の勢いが強くなるサイン)」のつつみ線は、相場の傾向が転換する強いサインとして活用されています。

ローソク足から相場の「声」を聴いてみよう

チャートに現れるローソク足やその構成パターンは、株価の未来や投資家心理を読み解く大切な指標です。
ただし、ご紹介したローソク足やその構成パターンが示すサインを活用する際には、他のテクニカル指標や企業の業績、ニュースなど総合的に判断する姿勢は忘れないようにしましょう。

まずは、保有している銘柄や関心のある銘柄のチャートを眺めて、ローソク足やその構成パターンを探して、相場の「声」を聴いてみてはいかがでしょうか。
株式投資において焦りは禁物です。楽しみながら銘柄の未来を分析し、賢い投資家への一歩を踏み出してみましょう。

キムラミキ

キムラミキ

ファイナンシャルプランナー 社会福祉士

日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、中小企業の顧問業務をお受けする他、コラム執筆、セミナー講師、山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。
また、ライフワークとして障がい児・者の親なき後の経済準備についての啓発活動を行う上での課題研究を行うため、放課後等デイサービスや学習に困り感のある子供の学習支援教室にて、障がいのある子供たちの学習支援にも取り組んでいる。

株式会社ラフデッサンHP
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