著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが11月3日に決算を発表し、14日に米証券取引委員会に提出した「フォーラム13F」で、2024年9月末(第3四半期末)時点での保有有価証券の内容が明らかになりました。
今回のポイントは(1)アップル、バンク・オブ・アメリカの売却、(2)ドミノ・ピザ、プールの新規購入、(3)キャッシュ比率の高まり、の3つです。
特にアップル株の9月末の保有時価は699憶ドルと、6月末から17%減少となっています。
株数ベースでは同25%減です。
かつて投資先の約半分を占めていた同社株は、今回のポートフォリオの26%にまで低下しました。
それでも、依然首位となっています。
バンク・オブ・アメリカの保有株数も同23%減となっています。
一方、買い付け額は大きくありませんが、ピザチェーンのドミノ・ピザ(ポートフォリオ構成比0.2%)、スイミングプール卸業務のプール(同0.1%)を新規購入。
今後買い増しに進むかどうかの関心も高いです。
注目を集めたのはキャッシュの積み上がりです。
債券を含めた広義の手元資金は前年同期比でおよそ2倍の3,252憶ドル(約50兆円)となっています。
バークシャーの総資産の3割を占めています。
手元資金の大半は換金性の高い米財務省短期証券(Tビル)という、短期国債の一種です。
市場関係者によれば、キャッシュ比率の高さはいわゆるドットコム・バブルが崩壊した2001年~2002年以来22年ぶりのことだそうです。
見方によっては、魅力的な投資先がないと判断している可能性もありそうです。
保有上位5銘柄と新規購入の2銘柄をチェックします。
2024年9月末時点の保有上位5銘柄(保有時価総額順)
世界最大のテクノロジー企業。
スマートフォン、パソコン、ウェアラブル端末などの設計、生産、販売を手掛ける。
スマホのiPhoneが稼ぎ頭。
音楽配信や決済のApple Payなどにも展開。
アメリカン・エクスプレス AXP アメリカン・エクスプレス AXP
クレジットカード大手。
世界で初めてトラベラーズチェックを発行。
会員向けに旅行関連サービスや、保険、カードローンなどの総合サービスを提供している。
カード発行枚数は1億4,000万枚超。
法人向けのほか、プライベートバンクなどの銀行業務も手掛ける。
バンク・オブ・アメリカ BAC バンク・オブ・アメリカ BAC
米国の銀行で最大級。
全米50州のほか、世界30カ国超に拠点がある。
個人・中小企業向け銀行業務のほか、投資、資産管理業務、市場取引業務などを幅広く提供。2009年のリーマンショック時に、経営危機だった証券・投資銀行大手のメリルリンチを買収。
世界最大級のノンアルコール飲料メーカー。
ボトラーや小売業者を含む配送ネットワークに強み。
「コカ・コーラ」のほか、「ファンタ」、「スプライト」など炭酸系飲料が主軸。
「ミニッツメイド」、「アクエリアス」など果汁、スポーツドリンクにも展開している。
石油メジャーの一角。
石油・天然ガスの探査・開発などの川上から精製・販売などの川下までを一貫して手掛けている。
採掘は米国のほか、オーストラリア、カザフスタンなどでも展開。
ガソリンスタンドも運営している。低炭素ビジネスに注力。
新規購入
世界最大級のピザ宅配企業。
世界90カ国超で展開し、運営する店舗は2万店を超える。
ほとんどがフランチャイズで、売上高に応じたロイヤリティ収入や手数料が収益源。
米国では公園やビーチなどに配達するサービスも提供している。
文字通りスイミングプールに関連する企業。
卸売り専門で、取引先はプールを作る業者や管理する業者、小売店など。
関連用品の卸売りで世界首位。
北米のほか、欧州、オーストラリアなどに展開している。