2022年秋にオープンAIが生成AI(人工知能)「チャットGPT」をリリースして以降、AIブームとなっています。
質問したいことをテキストで入力すると、それに対する回答が短時間で返ってくるのは、もうおなじみですね。
そこからさらに進化してきていますが、生成AIの普及には膨大な計算を行うデータセンターが不可欠となっているのです。
マイクロソフトやアマゾン、グーグルなどのハイパースケーラー(膨大なサーバーリソースを保有する企業)と呼ばれる企業は、データセンター投資をさらに拡大しています。
例えばAIがデータを学習し、推論するための計算能力はデータセンター内のサーバーが供給します。
サーバーとは利用者の要求に対して、それに応答したデータを提供するコンピュータやプログラムのことを意味します。
生成AIなど膨大な情報を短時間で処理する「頭脳」的な役割が高まっています。
いわば、データ処理の専門施設というわけです。
AIデータセンターの増加は、電力需要の伸びに直結します。
大手調査機関では生成AIの回答は、グーグル検索の約10倍の電力を消費すると試算しています。
IEA(エネルギー機関)のリポート「エレクトリシティ2024」によると、データセンターなどの電力需要(暗号資産を含む)は460テラワットアワーで2022年の世界の電力需要の約2%を占めるそうです。
2026年には中央値で800万テラワットアワーまで増加すると予想していいます。
AIデータセンターの拡大を加味すればさらに伸びる可能性がありそうです。
なお、大手のシンクタンクによれば、世界のデータセンターの3分の1が米国に集中しているとのことです。
ハイパースケーラーなどは電力の確保のため、電力会社との長期契約を行なったりしますが、環境を考慮し再生エネルギー調達も進めています。
また、電力インフラの老朽化による停電リスクを回避するため、自前で電力を調達するケースもあるようです。
また、米大統領選挙が接近していますが、株式市場ではハリス副大統領、トランプ前大統領のどちらが当選するかによって、政策のテーマが変わるとの見方があります。
しかし、生成AIやデータセンターなどの需要拡大は、いずれが大統領になっても変わることはないとみられます。
そこで今回は、電力関連企業をピックアップします。
北米最大級の電力・エネルギーインフラ企業。
風力や太陽光など再生可能エネルギー分野では世界トップクラス。
生成AI普及によるデータセンターの電力需要増に対応。
全米有数の電力企業。
拠点のテキサス州を軸にカリフォルニアなどで発電・電力小売りを展開している。
2023年には原子力発電所を擁する同業を買収。
米でのAIデータセンター増は追い風。
ルイジアナ州ニューオリンズが拠点のエネルギー企業。
アーカンソー州、ミシシッピ州など4州に電力を供給。
4か所に原子力発電所を保有。
ネクステラ・エナジーと太陽光発電・貯蔵プロジェクトで合意。
データセンター開発者に信頼性の高い電力を供給。
コンステレーション・エナジー CEG コンステレーション・エナジー CEG
米国最大のクリーンエネルギー企業。
原子力、天然ガス、再生エネルギーに展開。
発電容量のうち、約9割がカーボンフリー。
2040年までに100%を引き上げる意向との報道。
データセンター企業にとってもカーボンフリー電力は魅力的。
ブルックフィールド・リニューアブル BEPC ブルックフィールド・リニューアブル BEPC
カナダの電力会社。
カナダのほか、米国、欧州、ブラジルなどでも事業を展開している。
再生可能エネルギーが中心。
分散電源、バイオマスなどエネルギー転換施設も手掛ける。
M&Aに積極的。
AIデータセンターの需要増を取り込み、長期契約を推進しているもよう。