昨年まで、株式市場では生成AI(人工知能)の普及からデータセンターの需要増加が話題となり、特にハイパースケーラー(大規模クラウド業者)と呼ばれる企業の株価が上昇し、時価総額が拡大しました。
データセンターとは、サーバー(一種のコンピュータ)やネットワーク機器を設置し、それらを効率よく運営するために作られた施設のことです。
また、ハイパースケーラーは、世界規模でデータセンターを運営し、膨大な計算資源やデータ保管量を提供する事業者を指します。
今年に入ってもデータセンターの市場規模が拡大しているものの、先行きのピークアウト懸念、簿外取引など財務上の問題点や、中国企業の台頭などを背景に、株価が調整してきました。
一方、先ごろ発表されたマイクロソフトなど主要ハイパースケーラーの決算がおおむね良好だったことで、底入れ感が浮上しつつあります。
AI開発に必要なデータセンターが急増していますが、建設には最大で数百億ドル規模の投資が必要となります。
この際にリース契約などを活用するのですが、バランスシート(BS、貸借対照表)に載せない取引が増加しているといいます。
まだ始まっていないデータセンターのリース契約やサーバーの購入契約はBSに載せずに注記での開示や簿外(BS不記載)になっていることが多いとされ、これを簿外債務といいます。
不正ではないものの、需要増加で急速に取引規模が拡大する中で、簿外債務も膨らんでいます。
ハイパースケーラー5社のバランスシート(貸借対照表、BS)に記載されていないAI(人工知能)関連投資の債務を警戒する向きが増加しています。
簿外債務が5社合計で1兆6,500億ドル(約268兆円)に達しているとの報道もありました。
一方、大手で争うようにデータセンターの建設を進める中で、いずれ需要が供給を下回るようになるとの見方が時折浮上します。
この場合、当然ながら業績がピークアウトする懸念があります。
また、市場の拡大が止まれば、簿外債務が表面化するリスクが高まる可能性もあります。
一方、中国企業の脅威も警戒されます。
2026年7月に中国新興企業のムーンショット社がAI最新モデル「Kimi K3」を発表しました。
米国のオープンAIや、アンソロピックの最先端モデルに匹敵、ないしは上回る性能を見せたのです。
市場の評価で首位を獲得するスコアをたたき出しました。米関連企業の業績を脅かすとして「ムーンショット・ショック」ともいわれました。
また、7月28日には中国半導体メモリー大手のCXMTが上海の新興企業向け市場に新規上場しました。
上場資金で短期の記憶を担当するDRAMの増産投資をするとし、脅威になるとの声が出ています。
かつて2025年1月にも「ディープシーク・ショック」がありました。
中国AIスタートアップのディープシークが新モデルを公開しました。
「低コストで先端GPU(画像処理半導体)なしでも高性能LLM(大規模言語モデル)を作ることができる」と伝わり、データセンターも安価になり、米ハイパースケーラーの地位が脅かされるとの見方が広がったものです。
関連企業の株価も売られました。
ただ、一過性の懸念に終わっています。
むしろ、AIモデルの作成が安価になったことで、世界でAI開発が加速しました。
今回のムーンショット・ショックも市場規模の拡大でクリアできる可能性があります。
データセンターの市場規模も着実に拡大、そして加速しています。
ハイパースケーラー各社の4~6月期決算もおおむね良好でした。
関連銘柄をピックアップします。
パソコン向けOS(基本ソフト)の「ウィンドウズ」とビジネス向けソフトウェア「オフィス」で圧倒的なシェア。
世界最大のソフトウェア企業。
クラウド基盤用「アジュール」が拡大中。
2026年6月期の第4四半期(4~6月)の営業利益は前年同期比18%増。
成長の柱であるアジュールは同43%増で、1~3月期の同39%増から伸びが加速している。
注目されるのは、2027年6月期の投資額が前年に比べて増加するとした一方で、2026年暦年では従来と変わらず。
効率性重視の姿勢を見せたことで、財務不安が後退した。

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価格はNYSEBQT参照
アマゾン・ドット・コム AMZN アマゾン・ドット・コム AMZN
EC(電子商取引)の世界最大手。
クラウドサービス「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」が利益の約6割を稼ぐ収益柱。
4~6月期のクラウド事業の売上高は前年同期比37%増の422億ドルと市場予想を上回り、1~3月期(同28%増)からも加速した。
2026年の投資額を前回予想比200億ドル増の2,200億ドルとした。
しかし、データセンター投資の回収予想時期を分野別に丁寧に説明するなど、コストや効率性を重視する姿勢を示したという。
2026年8月3日に時価総額が初めて3兆ドル(約470兆円)に乗せた。
「3兆ドルクラブ」入りはエヌビディアやアルファベットなどに続き5社目。

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価格はNYSEBQT参照
IT大手。
ネット検索大手「グーグル」を中核とする企業グループ。
クラウド事業の前年同期比増収率は1~3月期の63%から4~6月期は82%へと大きく加速した。
ブロードコムと共同開発するAI半導体「TPU」も伸びている。2026年の設備投資計画を従来から150億ドル引き上げ1,950億ドル~2,050億ドルに修正した。
2025年比で約2倍。
AI向けデータセンター整備などに充当する。

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メタ・プラットフォームズ META メタ・プラットフォームズ META
旧フェイスブック。
SNSで世界首位。
近年はAI技術への投資を強化。
基盤モデル開発を進めている。
4~6月期の純利益は前年同期比14%減の158億ドル(約2兆6,000億円)だった。
研究開発費が増加したほか、訴訟関連費用を計上したことが要因。
売上高は同28%増の608億100万ドルと好調で、四半期ベースとして過去最高を更新している。
設備投資は同83%増。
ザッカーバーグCEOは「AIへの投資は成果を上げている」と巨額投資に理解を求めたと報じられている。
140億ドルを投じるデータセンター事業について、資産運用会社との共同出資に移行すると公表。
投資負担が増す中、オフバランス(簿外)に切り替えるものとみられる。

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