ソフトウェア株は「SaaSの死」を乗り越えられるか ソフトウェア株は「SaaSの死」を乗り越えられるか

ソフトウェア株は「SaaSの死」を乗り越えられるか

株式市場では今年初めごろから「SaaS(Software as a Service)の死」が話題となりソフトウェア関連株が売られました。
一方、影響が限定的との見方もあり、持ち直しつつあります。

SaaSとはクラウド経由でソフトウェアを提供するビジネスのことです。
SaaSの死という言葉が誕生したきっかけとされるのが、マイクロソフトのCEO(最高経営責任者)が2024年12月に、「AIエージェントの進化によって、従来型のSaaSの前提が大きく変わる可能性がある」と発言したことです。
AIエージェントとは、人がいちいち指示を与えなくても、業務を理解したAIが自ら目標を立てて、様々なツールを使い分けつつミッションに取り組む自律型ソフトウェアを指します。
この発言が市場で「SaaS is dead」と解釈され、議論が高まったという流れです。
現状では人事、経理、営業といった様々な分野でSaaSを操作・活用して業務を進めています。
AIエージェントが人の代わりに業務を遂行する時代になるのではないか、との懸念が浮上しました。

そして、この懸念が現実になったととらえられたのが米AIスタートアップのアンソロピック社(株式非公開)が2026年1月中旬に発表した「Claude Cowork(クロード・コワーク)」というAIエージェントです。
これまでもエンジニアなどプロ向けのAIエージェントはありましたが、クロード・コワークは自然言語での入力に対応し、プログラミングの知識がないユーザーでも利用できるAIエージェントに進化しました。
例えば「先月の売上データを集計して、支店別のグラフを作成して」と指示すれば、AIが自動でSaaSを操作し、リポートを短時間で完成してくれるというものです。
導入する顧客にとっては便利ですが、SaaSの企業は存在意義を問われかねません。

また、SaaSの開発には、多くのエンジニアが長い時間をかけて開発していました。
開発には多額の費用も必要だったものの、これが参入障壁となり、先行するSaaS企業が先行者メリットを享受しています。
この仕組みもAIエージェントの登場で崩壊するのではとの見方もあります。

一方、直近では過度な悲観は必要ないとの見方も浮上しています。
AIを企業で安全に活用するためには、ソフトウェアの役割が重要になるとの見方が台頭しているほか、金融や医療業界など規制が厳しいところではコンプライアンスやセキュリティへの信頼感も重要です。
また、SaaSの価値は、「道具」(ツール)の提供から、特定の業務を最後までやり遂げる「労働力」(エージェント)の提供へと広がることが強みになるとみられます。
ID管理やデータ基盤、業務フロー管理などはAIエージェントには不向きです。
例えばAIエージェントが社内のシステムにアクセスするためには、どの権限で入るのか、情報漏洩や誤作動はどう防ぐのかなどの管理が不可欠なためです。
膨大なソフトウェア資産を有していれば、それだけで優位性があります。

AIエージェントとSaaSはすみ分けながら拡大していくことが想定されます。

ソフトウェア関連銘柄をピックアップします。

セールスフォース CRM セールスフォース CRM
クラウド型の法人向けCRM(顧客管理)ソリューションを展開。
SaaSの代表的企業の一角。
同社のCRMソフトは営業やカスタマーサポートなど、企業の基幹業務などで深耕を図る。
業務プロセスを自動化するアプリケーションをクラウド上で提供。
5月29日に発表した2026年2~4月期決算では、純利益が前年同期比37%増の21億700万ドルと快走。
業務ソフトのサブスクリプション(継続課金)収入が好調に推移した。

セールスフォース CRM

週足表示、2026年7月10日まで
価格はNYSEBQT参照

ワークデイ WDAY ワークデイ WDAY
財務管理、人事管理などのアプリケーションをクラウド型で提供。
グローバル企業。
大手企業を中心に、従業員データや財務管理を管理する基盤として採用されている。
売上高の9割をサブスクリプション収入。
AI投資を強化。

ワークデイ WDAY

週足表示、2026年7月10日まで
価格はNYSEBQT参照

オラクル ORCL オラクル ORCL
ソフトウェアで世界最大手。
幅広い法人向けソフトを開発・提供。
データベース管理ソフト「オラクルデータベース」に強み。
SaaSを含むクラウドサービス収入とオンプレミス(顧客の社内保有)のライセンス収入が売り上げの柱。

オラクル ORCL

週足表示、2026年7月10日まで
価格はNYSEBQT参照

パランティア・テクノロジーズ PLTR パランティア・テクノロジーズ PLTR
データの収集・分析に特化した企業・政府向けソフトウェアプラットフォーム企業。
米政府機関が主要顧客。
ビッグデータの加工処理に強みがある。
5月に発表した2026年1~3月期決算は営業利益が前年同期比4.3倍と好調。

パランティア・テクノロジーズ PLTR

週足表示、2026年7月10日まで
価格はNYSEBQT参照

サービスナウ NOW サービスナウ NOW
企業向け業務管理プラットフォームをクラウドで提供。
企業がAIを統制・保護・管理し、業務プロセスを効率化するためのソリューションに展開。
マイクロソフトと戦略的パートナーシップを拡大。

サービスナウ NOW

週足表示、2026年7月10日まで
価格はNYSEBQT参照

マイクロソフト MSFT マイクロソフト MSFT
「Windows」、「Office 365」などを展開する世界最大級のソフトウェア企業。
「Azure」などクラウドが柱。
家庭用ゲーム機「Xbox」、パソコン・タブレット端末「Surface」にも展開。
AIインフラを支配する側との見方も浮上。

マイクロソフト MSFT

週足表示、2026年7月10日まで
価格はNYSEBQT参照

アドビ ADBE アドビ ADBE
写真・画像編集ソフトウェアのパイオニア。
PDF文書を作成・編集する「アクロバット」が著名。
クラウドベースの事業へ舵を切り、ソフトウェアの販売をパッケージからサブスク形式に切り替え。
クラウド経由で展開。

アドビ ADBE

週足表示、2026年7月10日まで
価格はNYSEBQT参照

和島英樹

経済ジャーナリスト。

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年ラジオNIKKEIに入社。
東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。
2020年6月に独立。企業トップへの取材は1,000社以上。
ラジオNIKKEI担当番組に「マーケット・プレス」など。
四季報オンライン、週刊エコノミストなどへ寄稿多数。
国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
日本テクニカルアナリスト協会評議委員。

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