株の「ナンピン買い」とは
保有している株の価格が下落したとき、慌てて売ってしまったり、そのまま売り時を逃して「塩漬け」状態にしてしまったりという経験はありませんか? そんな株価の下落時に、あえて同銘柄を買い足すことをナンピン買いといいます。
ナンピン買いにはメリットもデメリットもありますので、実践する場合はよくポイントを理解しておくことが重要です。
ナンピン買いのメリット・デメリット
ナンピン買いのメリットは、取得価格の平均額を引き下げる点にあります。
例えば、1,000円で100株購入した株の平均取得価格は1,000円です。しかし、株価が700円に下落したときに100株追加購入した場合、株の平均取得価格は、850円になります(下図参照)。これがナンピン買いです。
ナンピン買いをする前は、株価が1,000円を超えなければ利益はでませんが、ナンピン買いをした後は、株価が850円を超えれば利益がでることになります。
つまり、平均取得価格を下げるだけでなく、利益の出るハードルも引き下げることができます。
<ナンピン買いの効果イメージ>
ただし、株価が下落したからといって、安易にナンピン買いをすればいいというものではありません。ナンピン買いした後もその株が下落し続けた場合、大きな損につながるケースもありますので、その点はデメリットであると言えます。理想を言えば価格の下げ止まりのタイミングでナンピン買いをするのが望ましいですが、そうしたタイミングを見極めるのはなかなか難しいでしょう。
ナンピン買いに適したタイミングとは?
ナンピン買いを検討してもいいのは、「積立による中長期的な投資を計画しているとき」や、「株価下落の要因が明らかで、一時的なものであると判断したとき」です。
【積立による中長期的な投資を計画しているとき】
毎月決まった金額で株の積立投資を行っている場合、その株が高値の時にはより少ない株数を、安値の時にはより多い株数を積み立てることになります。そのため、時として意図しないうちにナンピン買いをしているケースもあるでしょう。これはスポットで購入している株の価格が下落したときに買い足すナンピン買いとは異なり、ドルコスト平均法(※)での中長期的な投資といえます。(※ドルコスト平均法:株価にかかわらず一定の金額で株を購入し、平均単価を下げる方法)
【株価下落の要因が明らかで、一時的なものであると判断したとき】
株価はさまざまな要因で下落する可能性があります。しかし、下落要因が明らかで、かつ一時的なものであると考えられるときにはナンピン買いを検討する余地があります。ただし、価格の変動には複合的な要因が絡みますし、「絶対株価が回復する」という保証はありません。そのため、このときの判断は単なる勘ではなく、できるだけ客観的な根拠に基づくことが大切です。
なお、ナンピン買いは、損失を大きくしてしまうリスクもありますので、マイルール(〇回までなど)を決めておくのも一案です。
いずれにしても、株価が下落を続けている局面では「損切り」の判断も必要です。判断を誤らないためには、日頃から株価の値動きに一喜一憂せず、株価の推移について定点観測を行ったり、その動きの要因について情報収集したりといった姿勢が大切なことは言うまでもありません。