「目論見書」とは?どんなことがわかる?
目論見書(もくろみしょ)とは、投資信託の「説明書」であり、投資信託で「損をしないために最低限チェックすべき資料」です。その投資信託がどんな商品なのか、どんなリスクがあるのか、費用はいくらかかるのかといった情報がまとめられています。
しかし、目論見書には、たくさんの説明や普段見聞きしない専門用語が並んでいるので「これ全部読まなければいけないの?」「何が書いてあるのかよくわからない」と感じる方も多いでしょう。内容は難しそうに見えますが、ポイントを押さえれば数分で重要な部分だけ確認できます。
そこで、目論見書に書かれている内容で、初心者の方が注目すべきポイントをまとめてみました。
目論見書は2種類ある
目論見書には、交付目論見書と請求目論見書の2種類が法令に基づき定められています。初心者の方は「交付目論見書」を確認することから始めましょう。
<交付目論見書>
投資信託を購入する前に最初に目を通すべき資料が交付目論見書です。投資信託の特徴やリスク、費用など、商品の基本的な情報がコンパクトにまとまっており、投資判断に役立ちます。
※三菱UFJeスマート証券ではログイン後のファンド詳細画面で確認できます。
<請求目論見書>
運用会社の情報や財務状況など、交付目論見書よりも詳しい内容が掲載されています。通常は運用会社のホームページなどで閲覧でき、希望すれば現物も入手できます。
目論見書の表紙を見ればどんな投資信託かわかります!
どのような種類の投資信託かは目論見書の表紙を見るだけでおおよその特徴を把握できます。図は人気のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(愛称「オルカン」)の交付目論見書の表紙です。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
交付目論見書(使用開始日2026年1月24日)より引用
投資信託はその商品名から大体どのような投資信託か、投資対象の傾向が分かる場合が多いです。(詳細は目論見書で確認する必要があります。)eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の場合、商品名から「全世界株式」へ投資をすることが読み取れます(①)。また、商品分類(②)、属性区分(③)を見ると、国内外にグローバルに投資をする、インデックスファンドであることや、インデックスの種類もわかります。
このように、表紙だけでもその投資信託の特徴をすぐに読み取ることができます。
初心者はここだけ見ればOK!4つのチェックポイント
目論見書にはさまざまな情報が掲載されていますが、主な内容は次の4つです。
【1】ファンドの目的・特色
どのような資産に投資して、どのような運用成果をめざしているのかが記載されています。つまり、ここを見ればどのようなファンドであるのかひと目でわかります。
たとえば、流行りのオルカンの場合、ファンドの目的には「日本を含む先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします」と記載されていて、先進国、新興国の株式市場へ投資することがわかります。
また、ファンドの特色の「1」には、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざして運用を行います」と記載されていて、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスという指標に連動する運用をすることがわかります。
<ファンドの目的・特色の記載例>

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
交付目論見書(使用開始日2026年1月24日)より引用
また、どこにどのような割合で投資しているのかという情報も確認できます。オルカンの場合、全世界株式への投資といえども、アメリカへの投資が60%以上(2026年6月時点)となっていて、アメリカの株価の影響を受けやすいということがわかります。
<投資先の記載例>

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
交付目論見書(使用開始日2026年1月24日)より引用
【2】投資リスク
投資信託は元本保証の商品ではありません。価格変動リスク、為替変動リスク、信用リスク、流動性リスク、カントリー・リスクなど、その投資信託を持っていることで想定されるリスクの種類が書かれています。
<投資リスクの記載例>

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
交付目論見書(使用開始日2026年1月24日)より引用
【3】運用実績
過去の基準価額や純資産の推移(①)、分配の推移(②)などを確認できます。また、組み入れている主要な資産(投資先の銘柄)の状況(③)や年間収益率の推移(④)なども記載されています。
<運用実績の記載例>

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
交付目論見書(使用開始日2026年1月24日)より引用
【4】手続き・手数料等
購入や換金に関すること(①)、信託期間や繰上償還(②)など、申込みにあたっての必要事項が書かれています。また、購入時手数料や換金時の費用(③)、信託報酬(④)、税金(⑤)、総経費率(⑥)などが記載されています。
これら費用は投資成果に影響するため、必ず確認しておきたい項目です。
<手続き・手数料等の記載例>

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
交付目論見書(使用開始日2026年1月24日)より引用
目論見書はいつ交付される?
交付目論見書は、投資信託を購入する前に提供されます。インターネット証券では電子交付が一般的でしょう。投資信託を購入する際、交付目論見書を閲覧して「確認しました」のチェックを求められます。
対面の証券会社や銀行では、担当者から口頭で説明されると同時に書面が渡されます。
いい商品を見つけるための注目ポイント
目論見書はその投資信託の「説明書」ですので、複数の商品を比べたいなら証券会社のサイトやファンド比較サイトの方が便利な場面もあるでしょう。
ただし、目論見書の「運用実績」に記載されている基準価額と純資産総額の推移グラフは、その投資信託の傾向を把握するうえで役立ちます。
基準価額
基準価額とは、投資信託の1口または1万口あたりの価格のことで、取引のときの基準になるものです。基準価額は運用成果によって変動します。一般的には1万口あたりの価額がよく用いられます。
基準価額は投資信託の優劣を決めるものではなく、運用成績が右肩上がりに成長しているかを確認するものです。そのため、基準価額そのものの高低ではなく、どのような推移をしてきたのかを見ることが重要です。
純資産総額
純資産総額とは、投資信託のすべての資産である総資産から未払いの費用などの負債を差し引いたものです。これが増加していれば、投資家からの資金が順調に集まっており、投資信託を安定的に運用できるといえます。(増加の要因には資金流入だけでなく、運用による評価益も含まれます。)ただし、純資産総額の大小はその投資信託の種類によって適正があり、大きければよいというものではありません。
気にしておきたい注意点の見つけ方
目論見書を読む目的は、その投資信託の特徴を知ることです。いい商品の見極めはできなくても、注意点をチェックしておくことはできます。
基準価額・純資産総額の推移をチェック
基準価額と純資産総額は市場環境で増減しますが、減少が続いている場合は、市場全体の下落によるものか、それともファンド固有の要因かに注意が必要です。ファンドの解約が続いて純資産総額が極端に小さくなると、運用効率の低下などから運用が打ち切られる「繰上償還」になる可能性があります。
一方、純資産総額が大きくなりすぎると一部のファンドでは運用上の理由から一時的に購入が制限されることがあります。投資信託は長期投資で活用されるケースが多い商品ですので、こうした理由で途中で運用が終了したり購入できなくなったりする可能性があるかを確認しておくことが重要です。
<基準価額・純資産の推移の例>

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
交付目論見書(使用開始日2026年1月24日)より引用
信託報酬や総経費率をチェック
信託報酬とは、投資信託を保有している間、継続的にかかる運用管理費用のことです。投資家はプロに運用を託しているのでその対価として信託報酬を支払います。純資産総額から日々自動的に計算され差し引かれています。
たとえば前出の「オルカン」(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は年率0.05775%(税込み、交付目論見書 使用開始日2026.1.24より)です。近年は低コストのインデックスファンドも増えており、同じような運用方針の商品であれば、できるだけ信託報酬が低い方が好ましいでしょう。
一方、アクティブファンドである「三菱UFJ 日本株グロースオープン」の信託報酬を見てみると、1.65%(税込み、交付目論見書 使用開始日2026.1.20より)と記載されています。
<アクティブファンドの信託報酬例>

三菱UFJ 日本株グロースオープン
交付目論見書(使用開始日2026年1月20日)より引用
同じ投資信託でもその内容によって信託報酬は大きく異なります。比較する場合は同じカテゴリー同士で比較しましょう。信託報酬は基準価額に反映されるため、直接的な出費としては見えにくいですが、長期投資においては大きな差になります。
さらに「総経費率」も確認しましょう。これは信託報酬以外の費用も含めた実質的なコスト総額を示すもので、信託報酬と大きく乖離している場合は別途コストが多く発生しているといえます。
たとえば日経平均に連動するインデックスファンドの場合、運用成績に大きな差が出にくい分、この総経費率によって最終的な運用成果が異なってくるため、総経費率の比較は大切です。
信託期間・繰上償還
「手続・手数料等」の欄にある信託期間(運用終了日)と繰上償還の条件は必ず確認しましょう。信託期間が設定されている投資信託の運用は、期限が来ると終了してしまいます。長期投資を目的としている場合は「無期限」の投資信託を選ぶのが得策です。
繰上償還は、純資産総額が一定額を下回った場合など、予定より早く運用が打ち切られることです。どのような条件で発生するのかをあらかじめ確認しておきましょう。
まとめ
目論見書は、投資信託の特徴やリスク、費用などを確認するための大切な資料です。ただし、一度にすべてを完璧に理解しようとする必要はありません。
- ファンドの目的や特色
- リスク
- 基準価額や純資産総額の推移
- 信託報酬や総経費率
- 信託期間や繰上償還
といった基本的なポイントを確認することが重要です。慣れてきたら他の項目にも視野を広げてみましょう。
また、目論見書は「どの商品が一番いいかを教えてくれる資料」ではなく、「その商品に投資するうえで知っておくべき情報を確認する資料」です。
目論見書を上手に活用しながら、自分に合った投資信託選びに役立てていきましょう。





