執筆者:Global X Japan
半導体はスーパーサイクル突入か?
半導体業界には3~4年周期で好況と不況が入れ替わる景気サイクルがあり、シリコンサイクルと呼ばれます。
図1は米国の主要な半導体銘柄で構成されるSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の騰落率と世界の半導体売上高の伸び率の推移(ともに前年同月比)ですが、これらは概ね連動していることが分かります。
半導体の売上高は2023年頭に底打ちし足元は伸び率が拡大している段階です。
デジタル化の進展に伴い、今後幅広い用途で半導体の需要が高まると見込まれます。
直近では生成AIの実用化が急速に進んでおり、さらなる性能向上やデータ処理効率化のため需要を押し上げるでしょう。
そのため、半導体の好況が通常より長く続く、「スーパーサイクル」に入り、関連銘柄の株価は通常の3~4年周期でなく中長期的に上昇する可能性があります。
値動きを味方につけて投資しよう
半導体銘柄は株価のボラティリティ(変動性)が大きい傾向があります。
エヌビディア(NVDA)の株価は2024年初来で約60%上昇していますが2022年は50%超も下落し、SOX指数の足を引っ張りました(図2)。
日本の半導体関連銘柄も同様です。半導体の製造装置を手掛けるSCREENホールディングス(7735)は年初来で約57%上昇しているものの、2022年は31%超の下落となっています。
このように半導体の個別銘柄への投資は銘柄選択リスクに注意が必要です。
このリスクを軽減したい方は、半導体の株式指数に投資するのが良いでしょう。
半導体セクターの高い成長期待と、株価の値動きが大きいという特徴を踏まえると、「長期積立投資」が有効だと考えられます。
一般的に毎月一定額を積立投資した場合、値動きが大きいほどドルコスト平均法による効果が大きくなる傾向があります。
SOX指数は約7年間で10回も最高値から底値まで10%以上下落していますが、その間に5倍近くにまで上昇しています(図3)。
同様に、半導体関連事業(半導体の製造や加工、製造装置、素材など)を行う日本企業で構成されたFactSet Japan Semiconductor Indexの推移を確認すると、約7年間で同7回下落を記録しましたが約4.8倍に上昇しています(図4)。
半導体の株式指数が下落したタイミングは、積立投資で多くの口数を購入できるチャンスです。
長期的に右肩上がりとなっていることから、大きく上げ下げしても動揺せず投資を継続することが大事でしょう。
世界の半導体セクターをカバーする投資戦略
SOX指数に連動するグローバルX 半導体 ETF(2243)と、FactSet Japan Semiconductor Indexに連動するグローバルX 半導体関連-日本株式 ETF(2644)が東証に上場しています。
構成銘柄を比較すると、【2243】半導体 ETFは半導体メーカーや製造を担うファウンドリ企業で約8割を占めているのに対し、【2644】半導体関連-日本株式 ETFは日本企業が高い競争力を発揮している製造装置や素材企業が約8割となっています。
特徴の異なる2つのETFを併せ持つことで、世界の半導体セクターをカバーすることができます。
(詳しくはコチラ ⇒ これだけは知っておきたい!半導体)
SOX指数投資なら東証上場ETFが便利
SOX指数に連動する米国上場ETFと国内投資信託もありますが、値動きが大きい特徴を考えると日本時間に日本円で売買できる【2243】半導体 ETFは機動性・利便性に優れています。
図5は2月のエヌビディア決算発表を受けた、SOX指数連動商品が取引可能な時間(日本基準)を示しています。22日早朝の決算発表を踏まえて、東証ETFでは当日の9:00から売買が可能でした。
一方、米国市場は23:30に開くため、米国ETFはそれ以降の売買となります。
国内の投資信託は当日の15:00までに注文を出した場合、翌営業日の26日に約定、価格は約定するまで分かりません。
ETF1口あたりの株価は、2024年2月末時点で【2243】半導体 ETFが約1,650円、【2644】半導体関連-日本株式 ETFが約4,800円、売買単位はどちらも1口と少額から投資できるため、積立だけでなく複数銘柄との分散投資にも活用できます。
ETFの詳細について以下の動画で解説しています。ぜひご覧ください。
【2243】半導体 ETF
【2644】半導体関連-日本株式 ETF