執筆者:Global X Japan
各国の政策がEV普及を後押し
昨今、世界中で気候変動対策に関心が集まっており、135カ国以上が経済全体でのネットゼロエミッション目標を掲げています。
世界の部門別二酸化炭素排出量において、自動車などの輸送セクターは2020年時点で約23%を占めており、EV(電気自動車)は気候変動対策として極めて重要です。
そのため、国ごとにガソリン車など内燃機関車の禁止および電動化の目標を設定する動きが始まっています(図1)。
世界で最もEVの普及が進んでいるのはノルウェーです。
ノルウェーでは2021年時点で、販売された自動車の86%がEVでした(図2)。
同国ではガソリン車の販売を2025年で終了させることを計画しており、付加価値税(VAT)や自動車購入税の免除といった積極的な政策で、EVへの転換を加速させています。
一方で、ノルウェーと比較すると、世界各国のEVの普及率は低く、今後の成長が期待されます。
注目すべきは、自動車販売台数世界2位の米国の動向です。中国・欧州などの主要な自動車市場では、補助金などの政策によりEVのシェアが10%を超えましたが、米国では取り組みが遅れていました。
2022年8月、米国議会は画期的ともいえるインフレ抑制法案を可決しました。この法案は、米国政府が気候変動対策として、過去最大規模の総額3,750億ドルの予算が組まれています。
自動運転・EV市場は高成長が期待
自動運転車とEVは開発と普及の初期段階であるにもかかわらず、急速に進歩しています。
これらはモビリティを一変させる100年に一度の変革となる可能性があります。EVはバッテリーのコストがさらに低下し、技術や性能も向上し続けるでしょう。
また、自動運転車の技術も進歩し続けており、ドライバーを必要としない配車サービスやロボタクシーが登場する可能性があります。
EVの年間販売台数は2022年の1‚000万台から2035年には6‚310万台に達すると予測され(図3)、バッテリーEV(BEV)やプラグインハイブリッドEV(PHEV)を含むEVは、2035年までに自動車販売台数の55%近くを占める可能性があります。
また、自動運転車に関して、2030年に新車販売台数(乗用車)の約12%がレベル3(条件付自動運転)以上の高度な自動運転技術を搭載する可能性があると推定されます。
さらに2035年には同約37%が自動運転車となり、最大4‚000億ドルもの収益機会が生まれると予測されています。
関連銘柄のご紹介
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また、EVの主要部品は動力源となるバッテリーです。EVバッテリーのサプライチェーン全体への投資を目指す、グローバルX リチウム&バッテリーテック ETF(LIT)も候補に挙げられます。
一般的な消費者にとって自動車は技術的進歩が最も目に見える分野のひとつです。
近い将来、官民双方からの投資によって、EVは贅沢品から比較的安く買える商品への変化が予想されます。今後10年間において、電子化および自動化の技術により、ほぼすべての移動手段が完全な変化を遂げることになるでしょう。
投資家としては、今目にしている自動車はまさに一考に値するものではないでしょうか。
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