海外投資で迷いやすいのが「為替ヘッジあり・なし」です。
この記事では、「ヘッジとは何か?」や「どちらを選べばいいか?」など、為替ヘッジについて初心者でもわかるように解説します。
海外へ投資するファンド、注意点は?
三菱UFJ eスマート証券での投資信託販売額ランキングを見ると、海外株式を組み入れたファンドが多数ランクインしています。
<投資信託の週間販売金額ランキング>
| 順位 | 三菱UFJ eスマート証券 (販売金額ランキング) | 主な投資対象 |
|---|---|---|
| 1位 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 全世界株式 |
| 2位 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 米国株式 |
| 3位 | eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 国内株価指数 |
| 4位 | eMAXIS Slim 国内債券インデックス | 国内公社債 |
| 5位 | 楽天日本株4.3倍ブル | 国内株価指数 |
| 6位 | eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 全世界株式 |
| 7位 | iFreeNEXT FANG+インデックス | 米国株式 |
| 8位 | eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 国内株価指数 |
| 9位 | eMAXIS 日経半導体株インデックス | 国内株価指数 |
| 10位 | SBI 日本株4.3ブル | 国内株価指数 |
- 2026年7月7日時点、三菱UFJ eスマート証券の投資信託販売金額ランキング(週間・全取扱ファンド対象)をもとに筆者作成
- 主な投資対象は代表的なものを記載
三菱UFJ eスマート証券で1位の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と2位の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、基本的には投資対象が海外です(オール・カントリーは一部日本株への投資あり)。
6位の「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」や7位の「iFreeNEXT FANG+インデックス」も同様で、少なくない投資家が海外への投資に関心を持っていることがわかります。
これらのファンドは「円」で購入できますが、実際は「外貨建て資産」を保有している状態です。そのため、ファンドによっては為替の影響を大きく受ける点に注意が必要です。
為替の影響度合いが変わる「為替ヘッジ」とは
為替の影響を大きく受けるのは、「為替ヘッジ」を行わないファンドの場合です。
為替ヘッジとは、為替の先予約をすることにより為替変動の影響を抑える取引を行うことです。将来の為替レートをあらかじめ固定することで、為替変動の影響を抑える仕組みと言い換えてもよいでしょう。
ただし、ヘッジにはコストがかかるため、単純に「ヘッジありの方が良い」と言い切れるものではありません(日米の金利差などが影響します)。費用対効果を考えた上で選択する必要があります。
もっと詳しく!為替ヘッジあり・なしの違いとは?
為替ヘッジのあり・なしの違いをまとめると、次のようになります。
| 為替ヘッジあり | 為替ヘッジなし | |
|---|---|---|
| 為替の影響 | 為替の影響を受けにくく、円高局面でも比較的値動きが抑えられる | 為替の影響を受けやすく、円高・円安で評価額が変動しやすい |
| コスト | 日米金利差などの影響を受ける「ヘッジコスト」がかかる | 「ヘッジコスト」がかからない分、コストが低い傾向 |
| 円安時の影響 | 恩恵を受けにくい | 円安時には利益が上乗せされる場合がある |
- あくまで簡略化したイメージであり、確実な動向を保証するものではありません。
- 上の表は筆者作成
では、実際に為替が動いた場合の違いを簡単な例で見てみましょう。
たとえば、1ドル=160円のときに、1万ドル分(約160万円)の海外資産に投資したとします。
その後、購入した資産の価格には動きはなく、為替が1ドル=140円まで円高に進んだ場合はどうなるでしょうか。
為替ヘッジ「なし」の場合、1万ドル × 140円 = 約140万円となり、為替の影響だけで約20万円の評価減となります。
一方、為替ヘッジ「あり」は、為替変動の影響を抑えることを目指した運用であるため、このような円高による大きな目減りは基本的に避けやすくなります(ヘッジコストは別途かかります)。
反対に、円安(たとえば160円→180円)に進んだ場合は、為替ヘッジなしであれば評価額が増える一方、為替ヘッジありではその恩恵は受けにくくなります。
- あくまで簡略化した資産であり、実際の運用では手数料や税金等により結果は異なります。
つまり、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」は、為替変動による値動きを抑えて安定性を取るか、それとも値動きも含めてリターンを狙うかという違いがあるのです。
結局どっち?為替ヘッジあり・なしの選び方
では、為替ヘッジはあり・なしどっちがいいのでしょうか。
結論としては、投資期間と目的によって選ぶのが基本です。
長期投資(20年以上など)を前提にする場合は、為替の上下を繰り返す中で平均化される可能性があるため、比較的低コストな「為替ヘッジなし」が選ばれやすい傾向にあるでしょう。長期間の運用において、コストの積み重ねは無視できないポイントのひとつと言えます。
一方で、数年以内に使う予定の資金など、値動きを抑えたい場合は、為替ヘッジありで安定性を重視する考え方もあります。為替の値動きが不安だという方も同様に、為替ヘッジありを検討してもよいでしょう。
ただし、為替ヘッジありの商品は少ないため、商品選択は限られてきます。外国債券ファンドに関しては比較的「為替ヘッジあり」を設定しているものもありますが、オール・カントリーを含む外国株式ファンドに関しては、「為替ヘッジなし」のものがほとんどです。為替ヘッジ「あり・なし」は、投資対象が外国の資産であれば必ず目論見書に記載があります。自分の目的にあった運用が可能かどうか、購入前に確認し商品選択を行うことが必要です。
投資方法や出口戦略を工夫しよう
為替のリスクをあまりとりたくない、でもコストもかけたくないという場合、どのように投資をしていったらよいのでしょうか。
まず、現在の為替レートが高いのか安いのか(円高なのか円安なのか)は、いつを基準にするかによって変わってきます。
ここ15年程度の期間で見ると、1米ドルが80円割れのときもあり、この期間を基準にすれば近年の1ドル150~160円台というのは円安の状態です(2026年6月時点で1ドル162円)。
しかし、1980年代は200円以上の水準であり、その水準から見ると現在の150~160円台というレートは円高の水準といえます。つまりこれからもっと円安が進むことも十分に考えられるわけです。一方で円高に進む可能性もあり、為替の動きを正確に予測することは難しいものです。
<過去のドル円相場の推移>

そこで有効なのが、積立投資です。
積立投資によって毎月一定額を投資することで、購入タイミングを分散でき、平均購入単価を平準化する効果も期待できます。
積立投資で注意したいのは出口戦略の部分です。
いくらコツコツ積立して平均購入単価の平準化を狙っても、急激な円高になった場合は資産がかなり目減りしてしまいます。そのため円高のタイミングで一度に売却してしまうと、為替の影響で資産が目減りする可能性もあるでしょう。
こうしたリスクを抑えるため、必要な分だけ段階的に売却する、もしくは売却時期を分散するといった工夫も重要です。
為替の影響で一時的に資産の評価額が下がったとしても、そこで売却をしなければ損失が確定することはありません。とはいえ、為替のサイクルは決まっていません。為替や市場環境によっては長期間回復しない場合もある点には注意が必要です。
例えば円高の時期が長引く可能性もあることを理解したうえで、円建て資産、ドル建て資産、ユーロ建て資産など、複数の通貨や資産の分散もしておくことで、為替リスクを分散することが大切です。
まとめ
為替ヘッジあり・なしには、それぞれメリットとデメリットがあります。
- コストを抑えて長期で運用したい → 為替ヘッジなし
- 為替変動を抑えて安定性を重視したい → 為替ヘッジあり
大切なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「自分の投資目的に合っているかどうか」です。仕組みを理解し、目的に合った選択をしていきましょう。
- 為替相場や市場環境によっては元本割れとなる可能性があります。
- 為替ヘッジありの場合でも、ヘッジコストや完全に為替変動を排除できない場合があります。
- 本記事は特定の商品や投資判断を推奨するものではありません。





