海外投資ばかりで大丈夫?
日本国内だけでなく海外の成長性に目をむけて、海外株式に投資する方も多いですね。
ネット証券での投資信託販売額ランキングを見ると、海外株式を組み入れたものが上位に来ています。
<投資信託の週間販売金額ランキング>
※2023年10月5日時点、各証券会社のHPにて発表されたものより筆者作成
auカブコム証券で1位の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と2位の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、基本的には投資対象が海外です(オール・カントリーは約5%ほど日本株への投資あり)。
円で購入しますが、実際は海外資産を持っていることになり、為替ヘッジを行わない投資信託のため、為替の影響を大きく受けることになります。
為替ヘッジとは、為替の先予約をすることにより為替変動の影響を抑える取引を行うことです。為替ヘッジを付加した投資信託もありますが、為替ヘッジにはコストがかかるため、費用対効果を考えた上で選択する必要があります。
投資の方法や出口を工夫しよう
為替のリスクをあまりとりたくない、でもコストもかけたくないという場合、どのように投資をしていったらよいのでしょうか。
まず、現在の為替レートが高いのか安いのか(円高なのか円安なのか)は、いつを基準にするかによって変わってきます。
ここ10年程度の期間で見ると、1米ドルが80円割れのときもあり、この期間を基準にすれば現状の140円前後というのは円安の状態です。しかし、1980年代は200円以上の水準であり、その水準から見ると現在の140円前後というレートは円高の水準といえます。つまりこれからもっと円安が進むことも十分に考えられるわけで、今、米ドルを購入しておいたほうがよいという可能性もあります。
もちろん円高に進む可能性もあり、為替の動きを予測することは不可能です。
<過去のドル円相場の推移>
※日本銀行 主要時系列データをもとに筆者作成
投資のタイミングを計るのは難しいので、購入方法を積立てにすればタイミングを考えずにすみ、平均コストを下げる効果も期待できます。
注意したいのは出口の部分です。いくら積立てで購入しても、急激な円高になった場合資産がかなり目減りしてしまいます。
ただ、資産が目減りしたとしても、すべてをその場で円に戻す必要がない状況にしておけばよいのです。為替の影響で一時的に資産の評価額が下がったとしても、そこで売却をしなければ損失が確定することはありません。
ただし、為替のサイクルは決まっていません。円高の時期が長引く可能性もありますので、円建て資産、ドル建て資産、ユーロ建て資産など資産の分散もしておくことが大切です。