為替と株価の関係を整理してみよう!
為替は株価の変動要因の一つといわれており、日経平均株価も為替に左右されることがよくあります。特に日本は輸出企業が多く、為替が円安になると株価が上昇し、円高になると株価が下落する傾向にあります。
例えば、アメリカに車を輸出している企業の場合、円高なのか円安なのかによって、下図のように、円換算したときの売上に大きな差が出ます。
《為替の売上に与える影響》
企業としては、為替によって業績が大きく左右されてしまうのは避けたいところです。為替の影響を軽減するために、為替予約などの為替リスクヘッジを行ったり、現地生産の比率を高めたりするなどさまざまな策を講じています。
そのため、為替の変動幅がそのまま業績に反映されるわけではありませんが、海外での売上比率が多い企業では、やはり為替の変動は無視できない要因となります。
企業の想定レートを知っておこう
では、個別の株式に投資するにあたって、為替の影響はどう見たらよいでしょうか。
為替の影響を大きく受ける企業の多くは、あらかじめ為替の想定レートを元に業績予測を発表しています。
トヨタ自動車(7203)の例で見てみましょう。
2021年11月時点での第2四半期(2020年4-9月期の実績を基にした)の米ドルの想定レートが107円であったのに対し、決算時の米ドルが110円であったため、営業利益は為替の変動の影響で2,550億円ほど押し上げられています。
ちなみに、この時点での通期の決算時の為替レートの見通しは米ドル110円とされているため、この110円よりも円安が続くと企業の営業利益が上振れる可能性があり、株価は上昇傾向になるというわけです。
《トヨタ自動車株式会社 決算資料》
このように個々の企業への為替の影響を見るときには、単純に円高・円安を見るのではなく、企業の決算報告などで為替の想定レートを確かめておきましょう。いくらまで円高・円安になると企業の業績予想とかけ離れてしまう=株価に影響があるのかが見えてきますので、ぜひ、企業HPなどで想定レートをチェックすることをおすすめします。
※為替想定レートは随時見直しされますのでご注意ください。