価値の感じ方は参照点に影響する
投資をおこなっていると、心理的な影響を受けて合理的ではない判断をしてしまうケースが度々おこります。そのようなケースでの心理状態の1つに「参照点依存性」があります。
参照点依存性とは、ものごとの価値を絶対的な評価に基づいて測るのではなく、ある特定の基準(参照点)との比較で相対的に測る心理的現象のことを言います。
例えば、300円の商品が300円ショップで販売されている時はなんとも思わないのですが、100円ショップで販売されていると高いと感じてしまいます。これは、100円ショップでは、100円が参照点になるので、それと比べて価値を測っているためにおこる現象です。
また、120円の商品が割引で100円になっているのと、元々100円の商品では、100円という価格は同じであるにもかかわらず、120円の商品の方がお得に感じるのも、この参照点が影響しています。
このように、基準をどこにするかによって同じ価値のものでも感じ方が変わってしまうことはさまざまな場面で見られます。
投資をする時には参照点依存性に注意!
投資をする時にも参照点依存性は判断に影響を与えます。
例えば、株式の売買時には自分が購入した時点の株価を基準として、高いか安いかの判断をしてしまうケースが挙げられます。
<参照点の違いによる影響例>
本来は、自分の買値との比較ではなく、企業価値をもとに株価が割高か割安かで判断すべきです。しかし、参照点依存性の影響を受けると、自分の買値を基準として、株価が買値より上がったのか、下がったのかで価値を判断してしまうのです。
保有している株価が自分の買値よりも下がった時に、下がった価格で買い増しをして平均購入単価を下げる「ナンピン買い」は、参照点依存性の影響を受ける場合があります。「ナンピン買い」で平均購入単価が下がったとしても、保有する株数は多くなります。本当に買い増しするに値するかどうかを優先して考えるべきです。
参照点依存性を避けるためにも、売買を検討する際は、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)など企業価値を測る客観的な株価指標等で判断することを忘れないようにしてください。
投資をする上では、心理的なバイアス(ゆがみ)によって合理的な判断ができないことは多々あります。自分の感覚に頼るのではなく、客観的な数値や指標等で判断する習慣を身につけましょう。