未来の予測が難しいVUCA時代の資産形成
VUCAの時代と言われています。VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語で、変化のスピードが加速し、未来の予測が難しく、困難になった状態を表しています。1990年代の米軍の軍事用語として使われ始め、2010年代に経営やマネジメントの分野においても取り上げられるようになりました。
<VUCAとは>
度重なる自然災害やコロナ禍、世界各国の政情不安、AI(人工知能)など技術の急速な進化による生活の変化など、数年前には全く想定できなかったことが起こり、数年先の未来の予測も難しくなっています。資産形成においても「長期・積立・分散投資」など、これまで基本とされていた投資手法だけでは対応できなくなるかもしれません。
予測困難な変化に対応しながら資産形成をするスキル
VUCAの環境下では、過去の経験や成功パターンに依存するのではなく、変化に対応できる柔軟性のある資産形成が必要となります。そのためには3つのスキルが求められます。
1.情報収集・活用力
インターネットやSNSの普及により情報が溢れている現代、情報の信ぴょう性を見極め、正確な情報を入手する力が必要になっています。情報の出どころを確認する習慣を身につけ、一つの情報だけでなく、複数の情報を偏りなく収集することが大切になります。たとえば、雑誌でおすすめされた商品に興味を持った場合、その商品のデメリットや反する意見もネット等の別の媒体で調べて判断材料にする、というように、常に複数の情報源から情報を得るようにします。
さらに、膨大な情報の中から自分に必要な情報を取捨選択する力も必要となります。
2.自分で考えて判断をする力
情報を取捨選択するためにも自分の考え(自分軸)を持つことが大切です。
たとえば、経験や自分の成長にはお金や時間をかけるというように、自分が大切にしている価値観や、何のために資産形成をするのかという目的、ライフプランや将来必要なお金の具体的な貯蓄計画などを明確にし、一般論に惑わされずに自分に合った資産形成をおこなうことがより大切となります。
3.臨機応変に対応する柔軟性
情勢が変われば正解も変わってきます。不確実で変動が大きい時代には、臨機応変に対応する柔軟性は必須のスキルです。特にデジタル技術が急速に進化することで、AI、フィンテック、EC(電子商取引)など次々と新たな投資機会が生まれています。資産形成においてもロボットアドバイザーなどのAIを活用したサービス、ChatGPTを用いたデータ分析など新しい技術やサービスを柔軟に活用していくことも求められるでしょう。
投資経験が長ければ長くなるほど、これまでの経験や常識にとらわれがちになります。過去の成功パターンが役に立たない予測不可能なVUCA時代だからこそ、あらためて3つのスキルに意識を向け、これからの時代にあった資産形成をおこなっていきましょう。