次世代パワー半導体への関心が高まっています。
パワー半導体とは、モータや照明などの制御や電力の変換を行う半導体のことです。
一般的な半導体はロジック(演算)やメモリ(記憶)などが知られていますが、これらはスマートフォンやパソコンなどの性能向上に役立っています。
一方、パワー半導体は交流を直流にする、電圧を変換するなどして、モータを駆動させるなどの電源(電力)の制御や供給を行う半導体です。
高い電圧、大きな電流に対しても壊れない構造を有することでパワー半導体と呼ばれます。
エアコンやテレビなどにも使われていますが、今、最も注目を集めているのが電気自動車(EV)分野です。
モータを低速から高速まで精度よく回すことでEVの性能を上げ、また、効率よく動かすことで省エネ・省電力化に貢献します。
ここにきて、EVの性能を上げるために需要が高まっているのが次世代パワー半導体です。
現在主力のパワー半導体は材料にケイ素(Si)が使われていますが、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)など2つの元素を合わせることでより性能を高めるものです。
SiCを使ったものは、Siパワー半導体に比べ、EVの電費(ガソリン車の燃費に相当)を10%以上改善できるといわれています。
EV大手のテスラもSiCパワー半導体を採用しているようです。
GaNはまだコスト面の改善点があるとされますが、5G基地電源向けなどへの活用が期待されているということです。
次世代パワー半導体は加工面などでSiに比べて難点があったとされますが、徐々に解消されて普及が加速するとの見方が広がっています。
そこで今回は、次世代パワー半導体関連銘柄をピックアップします。
米国パワー半導体関連6銘柄
パワー半導体でのシェアがドイツのインフィニオン・テクノロジーズに次いで世界第2位。
米モトローラの半導体部門から独立。
M&Aを繰り返して成長している。
世界に広く製造拠点を有している点に強みがある。
世界のEVメーカー向けに高性能SiCパワー半導体を中期的に供給していく公算が大きい。
SiCやGaNが材料のパワー半導体メーカー。
特にSiC基板でシェアが高い。
現在主流の6インチウエハより生産性が高まる8インチ(200ミリメートル)ウエハ工場を2022年に稼働させている。
ドイツでも新工場の建設予定と報じられている。
半導体大手。
2022年2月にイスラエルの半導体受託生産企業(ファンドリー)であるタワーセミコンダクターを54億ドル(約6200億円)で買収すると発表。
タワー社はパワー半導体や高耐圧アナログ製品製造に強み。
インテルは自社のプロセッサー(処理装置)の電源向けパワー半導体の生産能力拡大との報道も。
世界的な半導体開発・製造企業。
主力はアナログIC。
本社はテキサス州・ダラス。
パワー半導体では次世代タイプのGaN(窒化ガリウム)を用いた製品に展開している。
生産効率の高い自社工場で生産し、価格競争力を高めていく方針。
高周波ICが主力の半導体メーカー。
5G基地局向けのGaNデバイスが有望視されている。
21年にSiCパワー半導体メーカーのユナイテッド・シリコン・カーバイド社を買収。
買収によりEVや産業向けデバイス、再生可能エネルギー分野の拡大を目指す。