米国ではヘルスケア関連銘柄への関心が高まりつつあるようです。
FRB(米連邦準備理事会)による金融引き締め強化の長期化によりインフレーション(物価高)の収束が進みそうな一方で、景気の失速懸念が浮上してきていることが背景にあります。
ヘルスケア関連は病気などで薬や医療などの分野であり、景気の影響を受けにくいディフェンシブな業界といえます。
また、高齢化の進展で需要が増加する企業も少なくありません。
さらには、科学や製品のイノベーション、デジタル化の活用により、医療は常に高度化してきているので、成長性も高いといえるでしょう。
データは少し古いですが、米調査機関によれば米医薬品産業の市場規模は3,396億ドル超で世界一の市場で、米医療費総額の対GDP(国内総生産)の比率は16.9%で、OECD36カ国平均の8.8%を大幅に上回っているそうです。
それだけ、市場も大きいといえます。
こうした環境下で、米国企業の研究開発力は高く、かつ開発のスピード感も世界有数といえます。
日本の厚生労働省に相当し、薬の承認などを行うFDA(米食品医薬品局)によれば、2021年の新薬承認件数は50件と、過去15年の中で3番目の多さとなっています。
バイオテクノロジーの発展により、従来治療が困難とされていた新薬が登場してきています。
一方、食生活が豊かであることから、糖尿病や高血圧症など慢性的な病気も増加傾向にあります。
こうした中で、健康的に長生きするための予防医学などへの関心も高くなっています。
国連の予測では、欧州・北米では2050年には4人に1人が65歳以上になる見込みとのことです。
米国は日本のような皆保険制度がなく、民間企業が保険を担っています。
そこで今回は、ヘルスケア関連企業をピックアップしてみました。
米国ヘルスケア関連8銘柄
世界最大級の総合ヘルスケアカンパニー。
医薬品を中心に医療機器、消費者向け製品にも展開。
医薬品では関節リウマチ治療薬「レミケード」、消費者向けでは絆創膏「バンドエイド」など。
世界60カ国超にグループ企業を有している。
世界トップクラスの製薬企業。
循環器、中枢神経、鎮痛・抗炎症領域など幅広い分野で新薬を開発。
新型コロナウイルス感染症ワクチン、経口治療薬にも展開。
医療機器や消費者向け医療製品も手掛ける。
製薬の世界大手。
1891年創業。
2009年に同業シェリングプラウを買収しメガファーマ(巨大製薬)の仲間入り。
がん、循環器領域などに強み。
がん免疫治療薬「キイトルーダ」が主力商品。
新型コロナの経口薬「モルヌピラビル」を手掛ける。
バイオ製薬大手。
ヘルスケア大手のアボット・ラボラトリーズから製薬事業を分社化。
免疫疾患、HIVなどの領域に強い。
関節リウマチ薬「ヒュミラ」などを展開している。
20年5月に同業のアラガンを買収。
バイオ医薬品メーカー。
遺伝子組み換えや細胞培養などのバイオ技術を活用し、大型新薬を相次いで開発。
専業としては世界有数。
循環器、がん、骨、神経領域などに強い。
乾癬治療薬「オテズラ」が業績に寄与。
米国の医療保険最大手。
世界各地で事業を展開している。
企業や個人向けに展開。
企業向けでは雇用主に対し、従業員の福利厚生プログラムの立案・管理するリソースを提供。
22年に在宅医療のLHCホールディングスを買収。
分析機器・試薬で世界最大級。
細胞培養、電子顕微鏡などのアプリケーションや機器、消耗品などを幅広く扱う。
遺伝子合成、ゲノム編集といったライフサイエンス分野での受託サービスも提供。
新型コロナウイルス感染症検査キットも手掛ける。