FOMC、FRBとは?
最近、経済ニュースのみならず一般のニュースでも耳にするようになったFOMCやFRBとはそもそも何なのでしょうか?
FOMCとは連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)の略で、日本でいうところの「日銀金融政策決定会合」にあたり、米国の金融政策を決定する重要な会合です。
FOMCは年に8回開かれ、そのスケジュールはFRBのHPで公開されています。市場の急変時には臨時会議が開かれることもあります。
一方、FRBは連邦準備理事会(Federal Reserve Board)の略で、米国の中央銀行の制度であり、日本における日本銀行の役割にあたるものです。金融政策の策定と実施、銀行の監督と規制、金融システムの安定維持を主な役割としています。
FRBは12の地域連邦準備銀行と連携して、地域ごとの経済状況を考慮しながら全国的な政策を決めます。このFRBが定期的に(年8回)開催する会合がFOMCです。
FRBは政治から独立しており、経済の安定を最優先にしています。議長や理事は大統領が指名しますが、理事の任期は14年と長いため、政権の影響を受けにくいといえます。
また、金融危機の際には緊急措置を講じることができ、例えば2008年の金融危機では大規模な資産購入を行い、市場の安定を図りました。
要するに、FRBはアメリカの経済を安定させるために重要な役割を果たしている機関といえるでしょう。
FOMCにおける注目ポイントとは?
FOMCで決められた内容については全世界が重要視しています。
基本的には、FOMCの最終日に声明文が公表され、議長による記者会見が行われます。ここでは、FOMCでの決定事項に関しての説明などがおこなわれます。
その後、3週間以内に議事要旨が公表されます。議事要旨には、声明文では公表されていない議論の内容なども記載されます。
これらの公表内容が事前予想と異なった場合、市場が大きく動くことがありますので、事前予想と実際の決定にずれがないか、注目する必要があります。
FRBは7人の理事で構成され、FOMCでは、そこに5名の米連邦銀行総裁が加わり、このメンバーが米国の金融政策を決めることになります。
ですから、議長であるパウエル氏の発言はもちろんのこと、メンバーである他の理事や連銀総裁が講演や対談などで話す内容にも注目が集まります。特にFOMC直前の発言などは、今後の金利動向を占うヒントになります。
<参考:2024年のFOMCのスケジュールとメンバー>
2024年スケジュール | 1月30日~1月31日 | |
3月19日~3月20日 | ||
4月30日~5月1日 | ||
6月11日~6月12日 | ||
7月30日~7月31日 | ||
9月17日~9月18日 | ||
11月6日~11月7日 | ||
12月17日~12月18日 | ||
2024年メンバー | Jerome H. Powell | 理事、議長 |
Michael S. Barr | 理事 | |
Michelle W. Bowman | 理事 | |
Lisa D. Cook | 理事 | |
Philip N. Jefferson | 理事 | |
Adriana D. Kugler | 理事 | |
Christopher J. Wall | 理事 | |
John C. Williams | ニューヨーク連銀総裁、副議長 | |
Thomas I. Barkin | リッチモンド連銀総裁 | |
Raphael W. Bostic | アトランタ連銀総裁 | |
Mary C. Daly | サンフランシスコ連銀総裁 | |
Beth M. Hammack | クリーブランド連銀総裁 |
※上の表はFRBのHPを参考に当社が作成
※2024年11月22日現在の情報をもとに作成
FRBやFOMCは、株価にどう影響する
では、このFRBやFOMCは具体的にどのように市場に影響を与えているのでしょうか。
FOMCでは米国の政策金利であるFFレート( Federal Funds Rate )の誘導目標が決定されます。このFFレートは、アメリカの銀行同士が短期間(通常は1日)で資金を貸し借りする際の金利のことで、FFレートを調整することで、資金供給量をコントロールします。具体的には、景気減速局面ではFFレートを下げて資金供給量を増やしお金を借りやすくし、景気過熱局面ではFFレートを上げて資金供給量を抑制し過剰な設備投資などを抑えます。
以下に2022年1月から、足元の2024年11月までのFFレートの推移をまとめました。
2022年初頭の低水準から急速に上昇し、2023年にピークを迎えた後、2024年にかけて徐々に引き下げられていることがわかります。これにより、FRBがインフレ抑制と経済成長のバランスを取るために金融政策を調整していることが読み取れます。
<2022年1月から2024年11月までのFFレートの推移>

※2024年11月22日時点の情報をもとに作成
※「フェデラルファンド金利」を元に当社作成
消費者にとっては、2022年から2023年にかけてのFFレートの上昇によりローン金利が上がっていました。通常、ローン金利が上昇すると車や家などが購入しにくくなるため、国としてはこの金融政策により景気の過熱を抑える、急激なインフレを抑えるといった狙いがあったものとみることができそうです。
これが2024年になると、上昇した金利が徐々に引き下げられるフェーズに推移し、借り入れコストが再び低下し、消費支出回復を狙うような動きになっています。
一方、企業にとっては、2022年から2023年にかけての利上げにより、借入をする際の金利が上がり、利払いが増えることにより企業業績の悪化が懸念されました。一般的にそうした要因は、株式市場にとっては悪材料になる可能性があるものです。
2024年になると、金利が引き下げられているため、企業の借り入れコスト低下が見込まれ、投資や事業拡大が再び活発化する可能性がうかがえます。
また、日本においては、米国の金利が上がると日本の金利との差が広がり、日本円よりも米ドルのほうが魅力的ということになります。
そうすると円が売られてドルが買われる、つまり円安ドル高になります。為替は日本の株式市場にも大きな影響を与えることは言うまでもないでしょう。
反対に、米国の金利が下がると、一般的には日本円の魅力が回復する材料のひとつになり得ます。
このように、FOMCの決定内容、FRBの議長や理事・連銀総裁の発言などが市場に与える影響は大きいため、特にFOMCの会合前後は市場の動きにも注意してください。