J-REITは会社型投資信託
J-REITは、投資家から集めた資金を、商業施設やオフィスビルなどの不動産に投資（購入等）を行い、賃料収入や売買益などを投資家に分配する、投資信託の一種です。
その仕組みは、「不動産投資法人」と呼ばれる会社の形態になっており、会社型投資信託と言います。そのため、投資家は株式会社の「株主」にあたる「投資主」になり、「株式」にあたる「投資証券」を取得することになります。この投資証券は、証券取引所経由で売買することが可能です。
ちなみにJ-REIT以外の投資信託（ETFを含む）は一般的に契約型投資信託と呼ばれる仕組みで運営されています。
＜J-REITの仕組み＞
出典：一般社団法人日本投資信託協会より、筆者加筆
さまざまな投資主優待制度
株式会社に株主優待制度があるように、不動産投資法人であるJ-REITの中にも、投資主優待制度を採用している銘柄があります。
投資主優待制度は、株主優待制度がその会社の商品やサービスを株主に知ってもらうことが目的のひとつであるように、J-REITで投資している不動産の内容を投資主に知ってもらうことが目的のひとつです。
例えば「ヘルスケア＆メディカル投資法人（3455）」の場合、主な投資先である介護施設に無料で体験入居ができたり、施設の利用料が割引になったりします。
また、「大和ハウスリート投資法人（8984）」は、投資先であるダイワロイヤルホテルなどの宿泊が、保有口数にかかわらず割引で利用することができます。
「ジャパン・ホテル・リート投資法人（8985）」では、投資先のホテルやレストランを利用する場合に、割引を受けることができますが、10口以上保有することが条件になっています。
ユニークな投資主優待制度に、「いちご（2337）」が運営している複数のJ-REIT（「いちごホテルリート投資法人（3463）」、「いちごオフィスリート投資法人（8975）」、「いちごグリーンインフラ（9282）」）があります。「いちご」は、サッカースタジアムでその名前を目にした方もいらっしゃるでしょう。Jリーグのトップパートナーのうちの1社で、いちごが運営しているJ-REITの投資主優待には（いちごの株主優待も含めて）、抽選でJリーグの観戦チケットを受け取ることができます。この抽選はランダムではなく、対象となる試合を指定することができるので、投資主が応援しているクラブの試合にエントリーすることが可能です。
＜主な投資主優待の権利確定月と優待内容＞
※表：筆者作成
※投資主優待の詳細な内容については、各銘柄のIR情報などでご確認ください。
株主優待制度に注目して、株式投資をされている方も多いと思いますが、株主優待にも負けないユニークな制度もある、投資主優待制度にも注目されてはいかがでしょうか？
なお、ETFなどの投資信託には、優待制度がありませんのでご注意ください。
松山智彦
1964年大阪市生まれ、システムエンジニアとして準大手証券会社に入社、その後、生保系システム子会社、外資系損保会社に転職。その頃、金融に携っているのに、金融の知識が乏しいことを自覚し、ファイナンシャルプランニングを学び始め、独立後の業務として携わることになった。1999年のネット証券取引の立上げブーム時に、再び証券会社に復帰した。2004年からFP&IT事務所DONAKUMACOMMITを設立して独立。独立後は、FP（相談・執筆等）、ITコンサルタント、セミナー＆資格講師として活動中。また、役者・ドナルド松山、劇作家・駒鹿日夢生としても活動をしている。千葉経済大学短期大学部、湘南工科大学非常勤講師。(一社)シニアコンシェルジュ協会理事。
＜保有資格＞
CFP認定者
1級ファイナンシャルプランニング技能士
証券外務員1種
国内旅行業務取扱管理者
貸金業務取扱主任者
第1種情報処理技術者
情報セキュリティマネジメント
メンタルヘルスマネジメント二種
環境社会検定（ECOPeople）
