人が買う前に先回りするチャンスの見つけ方
株式市場では、旬の話題により注目されるテーマや企業に人気が集中することがあります。
人気のテーマといえば、玩具やゲームもその一つです。
玩具最大手のバンダイとゲーム大手のナムコが2005年に経営統合して発足したバンダイナムコHLD。総合エンタメ企業として、キャラクター活用力と開発力を強みに根強い人気があり、株価も伸ばしてきました。
ただ、注目される銘柄の後を追って買いにいくよりも、その銘柄に関連する企業をチェックしてみてはいかがでしょうか。注目が集まる企業の株価が上昇する際には、関連する企業にも買いが入るという波及効果が見られます。
業界全体が盛り上がっている場合には、同業他社とも比較してみます。企業の仕入先や取引先、また新規にどのような分野に力を入れているのかなどを調べてみます。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあるように、ある出来事によって、思わぬところに影響が出ることもあり得ます。株価が上昇している銘柄の周辺に連想力を働かせながら調べ、他の投資家より先回りして買うチャンスを探ってみましょう。
株価が上昇している企業からつながりを辿っていく
玩具では首位の座を保つ総合エンタメ企業から経済への波及効果や関連銘柄を見ていきましょう。
バンダイナムコホールディングス(7832)<その他製品>
国内外で知名度の高いIP(※)を強みに多数展開し、ゲームも営業増益が続く。傘下にアニメ制作会社、映像音楽コンテンツ企画・製作会社があり、東映グループとも連携。今後もIPごとのメタバースを製作予定。中期計画によると24年度までに新規IP創出やメタバース開発などに400億円投資。販売先は「ハピネット」。
※IP:Intellectual Property(知的財産)。「機動戦士ガンダムシリーズ」などの作品タイトルを指す。
ハピネット(7552)<卸売業>
玩具卸で首位、ゲーム流通でも有力。玩具等の自販機運営2社。音楽・映像ソフト卸大手、タカラトミー系のゲーム卸を買収し積極的なM&Aにより事業拡大。15年にはブロッコリー(2706)と資本業務提携。配当は20年3月期から最低でも1株50円、配当性向4割方針。販売先はコンビニが好調。仕入先には、バンダイの他、「任天堂」がある。
任天堂(7974)<その他製品>
家庭用ゲーム最大手。海外シェアも高い。1983年発売の「ファミコン」の大成功から家庭用ゲームの世界的企業へ。「ニンテンドーDS」と「Wii」「ニンテンドースイッチ」が大ヒット。スマホ向けゲームはスマホゲーム専業メーカーとも手を組む。任天堂の仕入先には、「ホシデン」と「ミネベアミツミ」がある。
ホシデン(6804)<電気機器>
スマートフォンやタブレット端末に搭載するマイク、スピーカー、スイッチなどの部品を製造する。取引先は韓国大手の携帯電話メーカー。次世代車用の開発にも注力する。23年3月期は好採算のスマホ部品や自動車向けが順調。
ミネベアミツミ(6479)<電気機器>
ベアリング大手でミニチュアベアリングは世界首位。ハードディスク駆動装置(HDD)向けを主軸に、自動車・OA機器・医療向けなどへ展開。航空機用のベアリングユニット部品や、小型モーター、LEDバックライトなど収益源が多く、アジアを中心に約9割を海外生産。
このように一つの企業から関連企業を辿っていくと異業種の企業につながり、経済が回っていることにも気づかされます。また企業が積極的に新しい分野の開発に投資する計画などに着眼し、その分野(例えば、メタバース)をテーマに連想を続けてみてください。
<上記企業の株価等>
- 適合性、有用性、正確性、完全性を保証するものではなく、あくまで考え方を参考にしていただくことを目的としたもので投資勧誘を意図するものではありません。
- 情報は四季報オンライン(2022年6月)より。(株価のみ2022年8月17日終値)