インフレは株式市場にはマイナス?
一般的に株式は、「インフレに強い資産」といわれています。 なぜなら、販売しているモノやサービスの値段が上がれば企業の収益が増加し、株価は上昇しやすい環境になるからです。
ところが、ここ最近では、インフレ警戒感から株価が下がる傾向にあります。
これはなぜでしょうか?
理由の一つに、金利の上昇が挙げられます。中央銀行は急激なインフレを抑えるために、金融政策として金利を上げます。金利の上昇は株価にとってはマイナス要因となります。
【金利上昇と株価の関係】
そして、インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があるといわれます。
緩やかなインフレで、企業が物価の上昇を商品やサービスに転嫁することができ、その結果企業の収益が増加します。働く人の賃金も上昇し、消費が増えれば、経済が活性化され景気も良くなります。これは、株式相場にも良い影響を与えることになります。このような状況が「良いインフレ」です。
一方、原油価格の高騰などにより物価が急激に上昇してしまい、賃金の上昇にうまくつながっていない場合、人々は消費を控え、景気も冷え込んでしまいます。これが「悪いインフレ」です。
特に今の日本では、なかなか賃金が上がらないため、企業側も商品やサービスを値上げすると業績が下がるという懸念があり、値上げしている企業は一部です。このような状況では、インフレで企業業績が良くなり、株価が上がるとは考えにくいでしょう。
インフレに負けない運用を考えよう!
では、急激なインフレに備えるには、どのような運用を考えたらよいのでしょうか。
【インフレに負けない運用】
まずは、株式ではなく、実質的なモノを所有する(実物資産へ投資する)ことによって、物価上昇のメリットを享受する運用方法です。
具体的には不動産や資源への投資です。ただし実質的なモノを持つことは固有の知識や手間、コストなどがかかることが多く、例えば、不動産を購入するには多額の資金が必要になります。そこでREIT(上場不動産投資信託)を利用して少額から投資をする、資源であれば、すでに開設済みの証券口座で売買できる資源関連ETF(金や原油)などを利用し、手軽に投資をしてみるとよいでしょう。
また、株式での運用なら、インフレの影響を受けにくい企業に投資しましょう。
例えば、独自の製品やサービスを持っており、その業界で確固たる地位を築いている企業や、市場シェアがかなり高い企業などです。個別の企業を研究することがむずかしければ、成長企業をファンドマネージャーが選択して運用してくれるアクティブ運用の投資信託を選択するのもよいでしょう。
賃金の上昇を伴った「良いインフレ」下であれば、金利の上昇で一時的に株価が下がることはあっても、長期的に見れば経済は上向きで、株価の上昇につながることになります。短期的な視点で慌てて売ってしまったりせず、政府の方針(例えば、賃上げ政策の内容や進行度合い)を確認したり、投資先がインフレに強い体質のものかどうかなどを確認することが大切です。