ETFと現物では税金が違う!?ゴールド投資の前に知っておくべきこと
株式や債券と異なる値動きをすることで分散投資の効果が期待できる金(ゴールド)。
金に投資するには、金地金(きんじがね)や純金積み立てなどで金の現物を売買する方法のほか、株式市場を通じて金ETFを売買する方法などがあります。
いずれの方法も同じ金を対象としていますが、金の現物に投資するのと、金ETFを通じて投資するのでは、利益に対する税金の取り扱いが異なります。
金(ゴールド)の現物における税金上の取り扱い
金の現物に投資して得た利益は、譲渡所得となり、給与などの他の所得と合わせて総合課税の対象となります。税率は、累進課税が適用されます。
金の保有期間が5年以内の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得となり、それぞれの所得金額は次のように計算されます。
・短期譲渡所得(保有期間5年以内):売却益-購入額-譲渡所得の特別控除50万円
・長期譲渡所得(保有期間5年超):(売却益-購入額-譲渡所得の特別控除50万円)÷2
金ETFにおける税金上の取り扱い
一方、金ETFに投資して得た利益は、株式や投資信託と同様に、分離課税の譲渡所得となります。
税率は20.315%です(2024年9月末現在)。
現物とETF、金(ゴールド)の税金上の違いから見る選び方
金の現物の場合、売却して利益が出た際に50万円の特別控除を利用することができる一方で、損失が出た場合は、株式や投資信託などとの損益通算はできません。しかし、金ETFの場合は損益通算ができます。
こうした課税の違いから、特別控除を利用して、50万円までの売却益には税金がかからない点に魅力を感じるなら、金の現物に投資をするといいでしょう。
しかし、大きな利益が出たときに給与などの税率が上がってしまう可能性があるのは困る、株式などとの損益通算に魅力を感じるなら、ETFを介して金に投資するといいでしょう。
このように、投資方法の使い分けも可能です。
もっと詳しく!金ETFの注意点
金ETFは金価格に連動することを目指して投資を行う上場型投資信託です。
東京証券取引所には4銘柄の金ETFが上場しています(2024年9月末時点)。
証券口座を持っていれば、数千円から購入でき、手軽に金投資をスタートすることができます。
<金関連のETF・ETN>
SPDRゴールド・シェア (1326)
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 (1328)
純金上場信託(現物国内保管型) (1540)
WisdomTree 金上場投資信託 (1672)
税金以外も違う!金の現物と金ETFの商品上の扱い
金ETFと金の現物は、税金以外の面でも次のような商品上の違いがあります。
<金の現物と金ETFにおける、金融商品としての違い>
特に先物取引を利用して投資をするETFの場合、実物の金を保有していないため、現物の金を資産とする裏付けがありません。
このため、先物取引は流動性の低下や投機家の参入などによって、取引価格が不安定になることがあり、実際の金価格とETFの基準価額との間に大きな乖離が発生する可能性があります。
現在は、金融商品も多様化し、「金に投資する」と一口に言っても、さまざまな商品を介して金に投資することができるようになっていますが、商品によってそれぞれの特性があります。
特に、税金面については、納税する時になって「こんなはずではなかった」とならないように、投資を始める前に確認しておきましょう。