配当のしくみと配当利回り
株式投資は、キャピタルゲインと呼ばれる値上がり益だけでなく、インカムゲインと呼ばれる配当から得られる利益があるのも魅力のひとつです。
下表のように、配当利回りランキングの上位銘柄などは、年利回り5%以上の配当が得られるため、興味がそそられますね。
<配当利回りが高い銘柄の例>
銘柄 | 株価(円) | 1株 配当金(円) | 配当利回り |
---|---|---|---|
明和産(8103) | 855 | 118 | 13.80% |
商船三井(9104) | 7820 | 800 | 10.23% |
郵 船(9101) | 8120 | 800 | 9.85% |
JFEHD(5411) | 1407 | 120 | 8.53% |
乾汽船(9308) | 2240 | 157 | 7.01% |
QUICKのデータをもとにauカブコム証券が作成
2021年12月10日終値時点で調査
東証1部上場銘柄を配当利回りが高い順に表示
配当とは、会社が株主に利益の一部を還元するものです。
ですから、利益が増加すれば増配といって配当(普通配当といいます)が増えたり、普通配当に加えてボーナスのような特別配当が出ることもあります。
一方で、利益が減れば減配・無配といって配当が減る、または配当がなくなることもあります。
配当利回りは、次の式で計算されます。
1株当たりの年間配当金(円)÷現在の株価(円)×100=配当利回り(%)
例えば現在の株価が1,000円で配当金が年15円であった場合、配当利回りは1.5%となります。
配当利回りは、あくまでも現在の株価に対して、今までの実績をもとに会社が発表した内容を加味した配当金が出た場合での予測の数字となります。
そのため、将来の業績の悪化を見越して株価が下がっている場合、計算上配当利回りは高く表示されます。
先ほどの配当利回りの例で、株価が1,000円から500円に下がった場合、年間配当金が15円のままであれば、配当利回りは3%と高くなります。
しかし、実際に業績悪化となれば、今後は配当も下がる可能性があり、配当利回りは修正されていくことにもなりかねません。
配当利回りだけを見てすぐに飛びつくのは危険と言えます。
買付のポイントは?
東証1部上場株式の平均配当利回りは、2021年11月現在、1.69%(月中平均)、配当がある会社のみの平均は1.92%(月末)です。
※出典:日本取引所グループ 統計資料より
個別銘柄の配当利回りがこの平均よりかなり高い場合はなにか特別な理由があるのではないかと確認することをおすすめします。
例えば、A社 は株価が1,311円で、配当利回りが7.62%となっているのですが、配当の実績がありません。
そこで、A社HPのIR情報を確認すると、「配当予想のお知らせ」が記載されていました。
<A社の配当実績等>
配当(実) | 0.00円 | |
---|---|---|
配当利回り | 7.62% | |
配当権利付き最終日 | 2022/1/27 | |
配当落日 | 2022/1/28 |
<A社のHPのIR情報>
年間配当金 | |
---|---|
前期実績 | 今期末 |
0円00銭 | 100円00銭 (普通配当 30円00銭) (記念配当 70円00銭) |
A社は、今期末から初めて配当を出す予定で、普通配当30円に加えて、上場5周年の記念配当70円が出る予定です。
この記念配当を含めた100円の配当金で計算された配当利回りが7.62%なのです。
上場5周年記念ということは、来期からは記念配当はなくなり、普通配当の30円のみとなりますので、現在の株価での配当利回りは、計算上、
30円÷1,311円=約2.28%
となることが予想できます。
このように、高配当株式については、配当が一時的なものではないか、株価が急激に下がったのではないか、そして、今後も配当が続きそうかなど、株価の推移や業績予想を見て買付するかどうかの判断をする必要があります。