損切りできない!心の癖が「塩漬け株」を作る 損切りできない!心の癖が「塩漬け株」を作る

損切りできない!心の癖が「塩漬け株」を作る

株式の塩漬けをしてしまう4つの心理

個人が株式投資をしている時の失敗の一つに「塩漬け」があります。「塩漬け」とは、買った株式が値下がりしたにもかかわらず、損切りできずにそのまま保有を続けた結果、含み損を抱えた状態を言います。なぜ「塩漬け」をしてしまうのでしょうか? そこには4つの心の癖が関係しています。

心の癖を知るためにまずは、行動経済学のプロスペクト理論について見てみましょう。

・損を回避しようとする「損失回避性」
プロスペクト理論には、主観的な価値の感じ方を表した「価値関数」というグラフがあります。価値関数によると、得をした時の嬉しさよりも損をした時の苦痛のほうが人は2倍以上大きく感じるとのことです。そのため、できるだけ損を回避しようとする「損失回避性」という心の癖が生まれ、損を確定する行為である損切りがなかなかできないと考えられます。

<プロスペクト理論 価値関数>

プロスペクト理論 価値関数

・満足や苦痛の感覚が麻痺する「感応度逓減」
価値関数からはもう一つ心の癖がわかります。それは、利益や損失の金額が大きくなればなるほど満足や苦痛といった感覚が麻痺をしていく「感応度逓減」という心の歪みです。株式投資で損が出ると最初はすごく落ち込みますが、損失が拡大していくと次第に鈍感になってしまい、大きな含み損を抱えながらそのままにしてしまうのはこのためです。

・手放したくない「保有効果」
さらに、自分が保有しているものには愛着を感じることで価値を高く評価してしまうという「保有効果」という心理が追い討ちをかけます。一度保有をすると手放すことが惜しくなるため、根拠なく上がると信じて株式を持ち続けてしまうのです。

・都合の良い情報しか入らない「追認バイアス」
そして、保有効果を裏付けるのが、自分にとって都合が良い情報しか入らない「追認バイアス」と言われる心の歪みです。無意識に良い情報だけを集め、悪い情報を排除する心の歪みにより冷静な判断ができなくなるのです。これによって「塩漬け」している株式の売却が難しくなると思われます。

心理的に難しい損切りをするためには

このように私たちの心の癖は、損失を確定する「損切り」をすることを難しくしています。
そのため、塩漬け株を作らないためには、「損切り」のルールを決め、徹底的に守ることにつきます。例えば、買値から10%下がったら有無を言わずに売却すると決めて、自動的に売却するように設定をしておくのも一つの手段です。

株式の将来性を信じて持ち続けることが悪いわけではありませんが、保有効果や追認バイアスにより根拠なく持ち続けるのは資産運用をするうえで効率が良くありません。
自分の心の癖を知り、ルールを決めることで上手に資産運用をしていきましょう。

秋山友美

執筆者:秋山友美


湘南・藤沢・茅ヶ崎の家計コーチ代表。
2005年よりファイナンシャルプランナーとしての活動を開始。
湘南に相談室を構え、20代から80代までの幅広い世帯に家計のアドバイスをおこなう。特に子育て世帯からの相談が多く、コーチングスキルも活かして女性の働き方や子育てなど総合的に相談にも乗っている。
家計相談、住宅購入相談、教育資金プランニング、退職後の人生設計、資産形成、保険見直しなど地域密着型の情報提供、アドバイスをしている。
男女共同参画センターや市町村主催の講座依頼が多数あり、家計管理やライフプラン、人生100年時代の資産形成、キャッシュレス決済などのテーマで講師としても活動中。また、地域情報誌にて「家計簿コーチング」連載中。

<保有資格>
CFP®(日本FP協会認定)(財)生涯学習開発財団認定コーチ
1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

ホームページ
ブログ
インスタグラム

最短10分で申込み完了!
無料口座開設はこちら

ページの先頭へ戻る