米長期金利の動きに注目、米ドル、ユーロの投資戦略は? 米長期金利の動きに注目、米ドル、ユーロの投資戦略は?

米長期金利の動きに注目、米ドル、ユーロの投資戦略は?

市場に変化?これまでのリスク選好、リスク回避のパターンが通用しなくなってきました

2月に入り市場が少し不安定になってきました。株式市場では節分天井という格言もありますが(これも本当かなと思いますが)ちょっとヒヤットする場面も出てきました。
米国ではバイデン大統領が正式に就任し、上院の2議席も民主党が獲得し、政権、上下院が民主党となりトリプルブルーとなりました。事前にはトリプルブルーを危ぶむ見方もありましたが株式市場はそれでも上昇を続けました。
ここにきて市場の動きに少し変化が出てきました。これまではリスク選好であれば株高、ドル安、リスク回避であれば株安、ドル高でした。しかしここしばらくはこの関係が崩れてきて株価が下落しようが、上昇しようがドルが堅調に推移しています。
株価は日米ともに1月中旬に高値まで上昇しましたが、1月27日ぐらいから下落をはじめ2月1日に安値まで下落しました。指数は3%ほど下落しましたが、その後はあっさり戻してしまいました。
この間はドルの水準を示すドルインデックスは1月22日ごろの90ポイントを安値に91.30付近までずっと上昇を続けました。ドルが堅調なことでドル円は103円台中盤から105.20付近まで上昇し、ユーロドルは1.22付近から1.20付近まで下落しました。

ドルが堅調な理由は?長期金利の上昇が原因ではないか?

米国政治は、一時は議会に暴徒が乱入するなど混乱しまししたが、バイデン政権が発足し順調に機能しだしました。直近の課題は追加経済対策を議会で通過させることができるのかどうかがポイントになっています。
バイデン大統領の追加経済対策は1.9兆ドルと巨額ですが、共和党の主張する6000億ドル規模の対策と開きがあります。
しかし民主党は財政調整制度を利用して上院での共和党の議事妨害をけん制して法案を通過させる可能性が高まってきました。
このように民主党案の大型の経済対策通過の可能性が高まってきており、そうなると経済対策の財源確保のために米国債の大量発行が懸念されます。米国債の大量発行による需給悪化を予想してここのところ米長期金利がジワリと上昇してきています。
1月末に1%ほどであった米10年債利回りは2月に入り上昇を加速させ1.15%付近に上昇してきており、1月13日に付けた1.18%に近づいてきています。
ドルが堅調な理由は米長期金利の上昇があるのかもしれません。一時は長期金利の動きとドルの動きの連動性がなくなっていましたが、ここにきて金利の上昇=ドルの上昇という動きが続いています。
一般的に金利の上昇を株価は嫌いますが、それもあって一時米国株が下落した可能性もありますが、いまのところ株価は反発してリスク回避という流れではありません。
これまでとは違う米国金利上昇、株高、ドル高という流れがしばらく続くのか、一過性のものかに注目しています。
米国では強い経済指標が出ています。またワクチン接種が進み新規感染者数の増加が頭打ちしてきていることもドルの上昇に寄与しているかもしれません。
しかし経済が元に戻る前に金利が先に上昇してしまうと経済にとっても株価にとってもよくない金利上昇になってしまいます。市場は金利の上昇の限界レベルを試しに行っているのかもしれません。
そのレベルが10年債利回りで1.2%前後なのか、あるいは1.5%ぐらいまで大丈夫なのか市場の反応を見極めたいと思います
2月の第2週には米国債の入札が控えており、入札に対する投資家の需要が注目されます。

投資戦略は?ドルインデックスが重要なレベルに差し掛かっています

ちょっと前までは円安、円高の動きが注目されていましたが、今の為替市場はドルの方向性が注目されています。
ドルの強さを示すドルインデックスは1月6日に89.20まで下落しましたが、その後反発して1月18日に90.95→1月22日に90.05→2月3日に91.30と推移しています。
91.30付近に75日移動平均線が位置し短期的なレジスタンスになっています。
90.80付近に一目均衡表の雲の下限、90.70に一目転換線、90.40に25日移動平均線、90.25に一目基準線が位置しています。
現状は90~91.30のレンジで、高値圏で推移しています。91.30を完全に上抜けすれば、ユーロドルで1.2割れ、ドル円で105円台前半を上抜けすると思われます。
その場合はドルインデックスで92付近までの上昇(ここは一目の雲の上限、下落前のサポートレベルと重要なレジスタンスになりそうです)が予想されます。
その場合、ユーロドルは1.19付近まで下落、ドル円は106円付近への上昇が予想されます。
ただドルインデックスのオシレーター系のRSI、MACDなどは高値圏を示唆しています。
91.30付近が高値になれば短期的には90付近への下落が予想され、その時ユーロドルは1.22付近への上昇、ドル円は104円付近への下落を予想します。
チャートは

ドルインデックス日足 一目均衡表 5日移動平均線(単純)、25日移動平均線(単純)、75日移動平均線(単純)、RSI、MACD、スローストキャスティックス

ドルインデックス日足

ドル円日足 一目均衡表、200日移動平均線(単純)、RSI、MACD、スローストキャスティックス

ドル円日足

ユーロドル日足 一目均衡表、200日移動平均線(単純)、RSI、MACD、スローストキャスティックス

ユーロドル日足

TradingViewのチャートを基に筆者が作成

YEN蔵こと田代岳

YEN蔵こと田代岳
株式会社ADVANCE 代表取締役


米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。
その後、独立し個人投資家として為替、株のトレードを行うとともに、投資情報配信をセミナー、メルマガ、YouTubeなどで配信している。
為替を中心に株式、債券、商品、仮想通貨と幅広くマーケットをカバーして分かりやすい解説を行っている。
長期のファンダメンタルズ+短期のテクニカルを組み合わせて実践的なリポート、セミナーを展開。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨を始めとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。
また海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。

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