昨年までの動きはリスクオン
昨年1年間を通じてドルは下落し、世界的に株価指数は上昇しました。
年間を通じて日経平均は17.7%の上昇となり、ダウの6.9%、SP500の15.7%を上回りました。
ちなみにナスダックは44%の上昇となりました。
コロナウイルスの感染拡大で3月にはリスクオフの動きとなり、株安、ドル高、円高が進行しましたが、その後は株高、ドル安、円安の流れとなり、特に11月の大統領選挙後はその流れが加速しました。
今年の流れは昨年を踏襲?
世界各国の中央銀行が大規模な金融緩和を行い、先進国の政策金利はほぼゼロかマイマス金利です。
また資産買い入れの量的緩和を行っています。
その中で米国の実質金利はマイナスです。
米国のインフレ率(物価)はどの指標を使うかにもよりますがおおむね1.5~1.7%ほどです。
これに対して政策金利のFFレートは0~0.25%で、実質金利はマイナス1.25~1.45%となっています。
これは日本や欧州に比べてマイナス幅が大きいということで、このことがドル安の材料の一つとなり、そうであればドル安は今年も継続するでしょう。
ドル安の流れの中で、株価の上昇、商品価格の上昇、新興国通貨の上昇が昨年末に加速しましたが、その流れは今年も継続するのではないかと思っています。
昨年末から新興国通貨の上昇が加速したことや、年末年始のビットコインの上昇などはドルから他の資産に資金がシフトしていることが材料で、この傾向は今年も続いていく予想します。
リスク要因は何か
とはいえ適応相場にも死角はあります。
前提条件としてはコロナワクチンの接種が順調にすすみ経済活動が正常な方向に向かうことが前提条件になります。
多くの人たちにワクチンがいきわたるのは5~6月ごろになるかもしれませんが1~3月に接種が広がる中である程度の予想ができるのではないかと思われます。
また1月5日に米ジョージア州で上院選挙の決選投票が行われます。
現状の上院は48対50で共和党が優勢です。残り2議席を民主党にとると50対50になり、様々な採決では副大統領が1票を入れますから上院も民主党優勢で大統領、上院、下院が民主党になりブルーウェーブとなります。
そうなると民主党リベラル派の政策を受けて増税などがやりやすくなるために株式市場はそこを嫌ってリスクオフになる可能性はあります。
注目する通貨は
まずはドルの強さを示すドルインデックスの動きに注目したいと思います。
ドルインデックスは節目の90を割り2018年2月の安値88.25に近づいています。
このレベルは重要なサポートレベルになっており、2015年からこのレベルがサポートされドルインデックスは88~104のレンジで推移していました。
ここがサポートできないと84付近への下落を予想します。
昨年1年間を見るとドルに対して上昇して先進国の通貨は豪ドルでした。
資源国通貨としてメリットもあり豪ドルは引き続き注目通貨です。ただ短期的には豪ドル、ニュージーランドドルは急ピッチの上昇だったのでユーロドルが良いのではないかと思います。
ドルインデックスの88付近がサポートされるようであればユーロドルは1.23~1.24付近がレジスタンスになり1.2~1.24のレンジで推移すると予想します。
1.2の節目は重要なサポートで、ユーロドルはしばらく1.2~1.24のレンジを予想します。
YEN蔵こと田代岳
株式会社ADVANCE 代表取締役
米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。
その後、独立し個人投資家として為替、株のトレードを行うとともに、投資情報配信をセミナー、メルマガ、YouTubeなどで配信している。
為替を中心に株式、債券、商品、仮想通貨と幅広くマーケットをカバーして分かりやすい解説を行っている。
長期のファンダメンタルズ+短期のテクニカルを組み合わせて実践的なリポート、セミナーを展開。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨を始めとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。
また海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。
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