リスクオンの動きがドル安に

大統領選挙を通過して待機していた資金はリスク資産に向かいました。
結局は選挙結果にかかわらず(正式には12月の選挙人の投票まで大統領は決まっていませんが)資金は株式、新興市場などに向かいました。
大統領選挙以降、日経平均は23,000円台中盤から26,000円台後半に3,000円以上上昇しました。
そしてドルインデックスは94から90.50付近まで下落しました。
サポートされていた92付近を下抜けして2018年4月以来のドル安水準に低下しました。
それではドルから資金はどこに向かっているのでしょうか?

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TradingViewのチャートを基に筆者が作成

先進国通貨ではユーロ、豪ドル、ニュージーランドの上昇が目立ちました。
また新興国市場にも資金が流れ込みました。

IIF(国際金融協会)の発表によると11月に新興国の株式は398億ドル、債券は367億ドルの買い越しとなり765億ドルと月間では過去最大の資金流入となりました。
原油価格など資源価格の上昇なども新興国にとっては追い風となりましたが東アジアの国への資金流入もありました。
オフショアのドル人民元は6.51元と2018年5月以来の元高レベル、韓国ウォンも1,083ウォンと2018年5月以来のウォン高レベルになっています。
ヘッジファンドなどの短期資金もこれらの通貨を買っていたようです。
ドル安の受け皿だったゴールドは1,800ドル割れまで下落する一方で、ビットコインは20,000ドル近くまで上昇しドルの下落により様々な資産が上昇しました。

今月は金融政策が注目材料に

月末を控えて12月10日にECB理事会、12月15~16日にFOMC、12月17日に英中銀金融政策委員会、12月17~18日に日銀金融政策決定会合が行われ来週は中央銀行の週になります。
これ以外にも12月17日にスイス中銀、ノルウェー中銀、メキシコ中銀の会合も開かれます。
ECBは追加緩和、FOMCでも何らかの緩和姿勢が打ち出されるのではないかとの予想があります。
まずFOMCですが、量的緩和に関しての指針を強化するのではないかと予想されています。
ここら辺もドルが下落する材料になっています。

11月下旬に公表された11月4日5日に開催されたFOMCの議事要旨で量的緩和に関して多くの時間を割いて討議し、先行きを示す指針をかなり早期に強化することがコンセンサスになりました。
米議会で追加経済対策の決定が遅れる中で感染の再拡大で経済活動が鈍化すると金融政策による対策が求められます。
しかし株価が史上最高値に上昇する米国で、ここからさらに緩和を強化する必要があるのかという意見もあります。
一方で米長期金利はじわりと上昇し10年債利回りは0.97%と1%に迫っています。
せっかく金融緩和を行っているのに経済が回復する前に長期金利が上昇してしまっては経済にとっても株価にとっても悪い材料になります。
長期金利の上昇を抑えるためには量的緩和を強化する指針を出したり、あるいはより積極的に債券買い入れを復活させるなどの政策を取り入れるかもしれません。
いきなり債券買い入れの増額はないでしょうが、FOMCにとっては強い株価と上昇する長期金利の間で難しいかじ取りを迫られています。

一方でECBは11月11日にラガルトECB総裁は追加緩和を示唆しています。
予想される緩和策としてはPEEP(パンデミック緊急購入プログラム)の規模の拡大と期間の延長です。
現状は1兆3500億ユーロ規模で6月までとなっています。
予想では5000億ユーロの増額、期間に関しては年末までから1年延長というものもあり様々な予想がでています。

もう一つの緩和策としてはTLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)の期間(来年6月まで)の期間延長が予想されます。
すでにここまでの緩和予想が出ており、予想通りであればユーロ高をけん制する材料にはならないかもしれません。
緩和の規模や期間が予想を上回ったり、ラガルトECB総裁が会見で強くユーロ高をけん制するようであればユーロドルが1.2付近まで下落する可能性はあります。
しかしそれがなければユーロ高は続行するものと思われます。

ドルの下落は続く

結局はFOMCでもECBでも緩和姿勢が示されればドルの下落は継続するものと思われます。
ただECBは緩和がほぼ織り込まれていますがFOMCではまだそこまで緩和姿勢を示せるかは微妙なところです。
ラガルトECB総裁がユーロ高を強くけん制した場合は1.2割れを試す動きになるかもしれませんが、ユーロドルは節目の1.2がサポートとされれば1.2~1.22のレンジ、1.22を上抜けする場合は1.25付近への上昇が予想されます。

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TradingViewのチャートを基に筆者が作成

オセアニア通貨も堅調に推移していますが豪ドルはGDPや住宅建設許可件数などが強い数字が出ています。
0.7付近がサポートされ0.74付近まで上昇しています。
0.74付近は5年の移動平均線が位置し長期的に重要なレベルです。
0.74を完全に抜けると0.7650付近までの上昇を予想しますが、抜けなければ0.72~0.74のレンジを予想します。

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TradingViewのチャートを基に筆者が作成

執筆者:守屋史章

YEN蔵こと田代岳
株式会社ADVANCE 代表取締役


米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。
その後、独立し個人投資家として為替、株のトレードを行うとともに、投資情報配信をセミナー、メルマガ、YouTubeなどで配信している。
為替を中心に株式、債券、商品、仮想通貨と幅広くマーケットをカバーして分かりやすい解説を行っている。
長期のファンダメンタルズ+短期のテクニカルを組み合わせて実践的なリポート、セミナーを展開。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨を始めとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。
また海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。

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