【特集】2021年をヨム/YEN蔵氏 【特集】2021年をヨム/YEN蔵氏

【特集】2021年をヨム/YEN蔵氏

ドル下落トレンドは継続か

今年1年を振り返ると新型コロナウイル感染拡大で3月に世界的に株価が大きく下落した後に反発。為替は株価の下落でドル高、その後の反発する局面ではドル安の流れとなりました。
これまでの株価と為替の関係は、リスクオン(リスク選好)局面では株高、円安になりやすく、リスクオフ(リスク回避)局面では株安、円高になりやすいというのが市場の動きでした。それが今年はリスクオンでは株高ドル安、リスクオフのでは株安ドル高という関係がマーケットの動きのパターンになりました。
円主導の動きからドルが為替市場の王様に復権した年なのかもしれません。このパターンは2021年のマーケットでも続くであろうと予想します。
現在金融市場は各国中央銀行の緩和マネーでじゃぶじゃぶの状態です。このマネーがどこに向かうかによって株や債券や通貨の強弱が決まります。そしてこの緩和状況は先進国では少なくとも2022年末ぐらいまでは続くのではないかと考えられています。それは各国の中央銀行がそのような見通しを出しているからです。また現状のワクチンの開発、接種状況からすると順調に行っても世界にワクチンがいきわたるのは2021年いっぱいぐらいかかりそうです。ワクチンの接種による集団免疫の獲得によって経済活動が戻れば現在の実体経済の悪化と株価上昇のギャップが埋まります。そうなれば株高ドル安の流れは来年のいっぱいぐらいは継続しそうです。一方で実体経済の戻りが弱く株価との乖離が広がれば株安ドル高になりそうです。
ここまでの急ピッチな株価の上昇はスピード違反気味なので、どこかで株価調整の局面もあるかと思いますが、中央銀行の緩和姿勢が続く限りは2020年3月のような暴落局面は訪れないと思います。引き続き緩和マネーがどこに向かうかというのが投資を考えるときのテーマになりそうです。
そのような中で一番大きな緩和を行っているのはFRBです。そのような状況を考えると現状のドル安は理にかなっています。現在FRBは債券買い入れを一時スローダウンさせており、今後経済状況や市場が急落する局面では緩和を拡大させる余地は残っています。

ドル円の動きは
(図1)

TradingViewのチャートを基に筆者が作成

そうなるとドルの下落に対して何の通貨を買えばよいかということになります。
ドル円に関してはドル安の流れは続いていますが、日本株も含めて世界的に株価が上昇していますから円安の流れも続いています。そうなるとドル円ではやや円高でもクロス円では円安という状況となり、ドル売りと円売りの綱引きで動きづらくなってしまいその状況は2021年も続いていくと思われます。
ドル円は103円が重要なサポートとして機能しています。103円を維持できれば103~107円のレンジとなり、ここを下抜けした場合は100円付近への下落を予想します。
100円付近は2011年10月の安値75.50から2015年6月の高値125.85の50%戻しに当たり長期的に重要なレベルです。2016年のブレグジットを決めた英国の国民投票時に一瞬われましたがすぐに戻って、それ以降維持されています。

2021年の注目通貨

2021年の注目通貨はオセアニア通貨(豪ドル、ニュージーランド)を上げたいと思います。ドルに対してどの通貨が上昇したか見ると先進国ではニュージーランドドル、豪ドルが目立ちます。

(図2)

TradingViewのチャートを基に筆者が作成

ニュージーランドドルは感染の拡大を抑え込んでいることなどが好材料になっています。2011年の高値0.8840から2020年の安値0.5470から0.71付近まで戻していますが0.7170がこのレンジの50%戻しになっています。ここを上抜けできれば61.8%戻しの0.7560、78.6%戻しの0.8付近への上昇を予想します。

(図3)

TradingViewのチャートを基に筆者が作成

豪ドルは資源価格の上昇が追い風になっています。豪州の代表的な輸出品である鉄鉱石は、ここのところ鉄鋼の生産の増加でかなり値上がりしています。鉄鉱石価格の上昇は豪ドルにとっては上昇材料です。特に豪州産の鉄鉱石は品質が良く、最大の消費地のアジアに近いというメリットもあります。経済回復が起これば真っ先に恩恵を受ける国になるでしょう。
豪ドルは2011年7月の高値1.1080から今年3月の安値0.5510の38.2%戻しが0.7640で現状は0.7550付近で推移しています。0.7640付近を上抜けできれば50%戻しが0.8280、61.8%戻しの0.8950付近への上昇が予想されます。

執筆者:守屋史章

YEN蔵こと田代岳
株式会社ADVANCE 代表取締役


米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。
その後、独立し個人投資家として為替、株のトレードを行うとともに、投資情報配信をセミナー、メルマガ、YouTubeなどで配信している。
為替を中心に株式、債券、商品、仮想通貨と幅広くマーケットをカバーして分かりやすい解説を行っている。
長期のファンダメンタルズ+短期のテクニカルを組み合わせて実践的なリポート、セミナーを展開。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨を始めとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。
また海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。

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2021年をヨム

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