「鈴木一之のHOTな銘柄、COOLな銘柄」2020年10月号(後編) 「鈴木一之のHOTな銘柄、COOLな銘柄」2020年10月号(後編)

「鈴木一之のHOTな銘柄、COOLな銘柄」2020年10月号(後編)

株式アナリストの鈴木一之です。今月から「鈴木一之のHOTな銘柄、COOLな銘柄」というコーナーを担当することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
このコーナーは、過去1か月間を通して株式市場で大きく上昇した銘柄、あるいは下落した銘柄をリストアップして、その理由や背景を探るものです。
HOTな銘柄」とは、大きく値上がりした銘柄を指します。
COOLな銘柄」とは値下がりの目立った銘柄です。値下がりはしているものの、その分だけ次の反転上昇のタイミング、投資のチャンスに近づいていることを意味します。
「COOLな銘柄」という名前にはそのあたりのニュアンスも含まれています。

前編では9月の振り返りと「HOTな銘柄」をご紹介しました。
今回の後編では「COOLな銘柄」をご紹介します。

9月相場のCOOLな銘柄

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第2位: enish(3667)▲35.6%、ソーシャルゲーム開発
第3位:ハイアス・アンド・カンパニー(6192)▲33.1%、住宅業界のコンサル
第4位:ペッパーフードサービス(3053)▲24.0%、ステーキチェーン展開
第11位:アトラ(6029)▲17.4%、接骨院チェーン

業績がかんばしくなくて赤字を継続している企業、もしくは不適切な会計処理で決算修正を迫られた企業が名を連ねています。

コロナ危機に直撃されて、上場企業といえども業績は非常に厳しい状況にあります。
その中でも特に厳しいところの企業が株価を大きく下落させています。

別の角度に立つと、精密、電機、造船など大手製造業の一角の下落も目立っています。

ニコン(7731):第22位(▲14.9%)
コニカミノルタ(4902):第32位(▲13.7%)
シチズン時計(7762):第38位(▲12.7%)
リコー(7752):第59位(▲10.9%)

精密セクターはかつての名門企業がずらりと並んでいます。
HOYA(7741)オリンパス(7733)は医療機器の分野で頭ひとつ抜け出しましたが、それ以外の精密企業は次の主軸となるヒット製品がなかなか生み出せない苦しみが、株価の現状からも伝わってくるようです。

電機ではパナソニック(6752)が▲9.1%の値下がりで第91位に位置づけています。

パナソニックは電気自動車のリチウムイオン電池で、テスラと合弁会社を設立してテスラ車に搭載されています。
テスラの株価は5月以降、9月に至るまで記録的な騰勢を示しましたが、その脇で合弁相手のパナソニックはほとんど存在感を示すことができないままです。

パナソニック6752

テスラと言えば、日本の自動車セクターの下落も目立ちます。

日産自動車(7201):第28位(▲13.8%)
マツダ(7261):第70位(▲10.1%)
三菱自動車(7211):第86位(▲9.4%)
ホンダ(7267):第88位(▲9.3%)

自動車産業は長年にわたって新興国に製造拠点を分散してきましたが、コロナ危機ではそれが裏目に出て、サプライチェーンが寸断されて工場の生産停止を余儀なくされました。
徐々に生産は再開されているものの、新車販売が元の水準に回復するには相当の時間がかかると見られています。

その一方で温暖化ガスに対する排出規制は強まる一方で、エコカーの開発から手を緩めるわけにはいきません。
収入は減少する一方で、研究開発をはじめ支出は膨らむ一方です。
いずれ近いうちに自動車業界では大きな再編が再開されるとの予想も出始めています。

逆の面で見れば、自動車業界の復調こそ世界がコロナ危機を克服した証となります。
このセクターの株価と業績の推移には目を凝らしておく必要があります。

9月値下率上位銘柄

9月値下率上位銘柄

「HOTな銘柄」と「COOLな銘柄」に注目しよう!

「HOTな銘柄」と「COOLな銘柄」を追いかける理由は、そこにマーケットのトレンドが表れているためです。
トレンドとは、ある一定の動きがしばらくの期間、継続する現象です。

株式投資はギャンブルではありません。
なぜならそこにはトレンドが発生しているからです。ギャンブルにはトレンドは基本的に関係ありません。

たとえば、サイコロを2回投げるゲームを考えてみると、出てくる2つの目の間には関連性はありません。
「1」の次に出る目は「1」でもあり「4」でもあり、「6」でもあります。

1回目に「1」が出たあとの目の出方は、「1」から「6」まで6通りあります。
それらの目の出る確率は等しいものです。
そこには関連性やトレンドは存在せず、サイコロを2回投げるゲームは明らかにギャンブルです。

しかし株式市場は違います。
ある銘柄の今日の動きと明日の動きとの間には、ある程度の関連性があります。

今日と明日との間には、イレギュラーな動きもありますが、
基本的には何かしらの連動性が存在します。数日、数週間、数か月にわたって連動した動きがあるとすれば、そこにはトレンドが発生していると考えられます。

なぜ株価にはトレンドが発生するのでしょうか。
それは産業構造の変化であったり、法律や税制の変更、改正であったり、世の中の流行であったりします。それが人々の行動に変化をもたらします。

そのような世の中のあらゆる動き、変化、流れがトレンドを生み出し、株価の動きをある程度の期間にわたって決定してゆきます。

マーケットの動きの中から最近のトレンドを見つけ出す作業、それがここでの「HOTな銘柄」と「COOLな銘柄」の抽出です。
それは「明日は今日の延長線上にある」という、ごく当たり前の法則性に基づいています。

このコーナーで毎月見つけてゆく「HOTな銘柄」と「COOLな銘柄」が、少しでも皆さまの株式投資のお役に立てば、この上ない喜びでございます。

前編では2020年9月のHOTな銘柄を紹介!

鈴木一之

鈴木一之

株式アナリスト

1961年生。1983年千葉大学卒、大和証券に入社。
1987年に株式トレーディング室に配属。
2000年よりインフォストックスドットコム、日本株チーフアナリスト
2007年より独立、現在に至る。
相場を景気循環論でとらえるシクリカル投資法を展開。


主な著書
「賢者に学ぶ 有望株の選び方」(2019年7月、日本経済新聞出版)
「きっちりコツコツ株で稼ぐ 中期投資のすすめ」(2013年7月、日本経済新聞出版社)

主な出演番組
「東京マーケットワイド」(東京MXテレビ、水曜日、木曜日)
「マーケット・アナライズplus+」(BS12トゥエルビ、土曜13:00~13:45)
「マーケットプレス」(ラジオNIKKEI、月曜日)

公式HP
http://www.suzukikazuyuki.com/
Twitterアカウント
@suzukazu_tokyo

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