相場の全体感を確認するには、株価指数をチェック!
株式相場の全体感を判断するには個別銘柄の値動きではなく、株価指数の動きを見ることが一般的です。
日本に株価指数は数多くありますが、代表的な株価指数といえば「日経平均株価(以下日経平均)」と「東証株価指数(以下TOPIX)」ではないでしょうか。
この2つの指数に関しては、「どちらもよく聞くけれど、違いが分からない」「どちらを見るべきなのか分からない」などの疑問を持った方も多いと思います。
この記事では「日経平均」と「TOPIX」特徴と違い、どのようなときにどちらを見るべきかをご説明します。
日経平均とTOPIXの違い
まず初めに、日経平均とTOPIXの特徴、違いの比較を表にまとめました。
日経平均 | TOPIX | |
---|---|---|
対象銘柄 | 東証プライム市場に上場の代表的な225銘柄 | ・東証プライム市場の銘柄 ・旧東証一部上場銘柄のうち、2022年4月以降、グロース市場、スタンダード市場に区分変更された銘柄 ※いずれも2024年10月現在。 |
算出方法 | 株価の単純平均をベースに算出 | 東証プライム市場の時価総額を基準日の時価総額で割って算出 |
特徴 | 株価の高い銘柄の影響を受けやすい | 時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすい |
TOPIXと日経平均はどちらも株価指数ですが、構成銘柄や計算方法異なります。
実際に投資にこの指数を活用しようとする場合、それぞれの違いを理解することが重要です。具体的に見ていきましょう。
日経平均とは
おそらく報道等で最も目耳にする機会の多い株価指数が、日経平均ではないでしょうか?
注目度も高く、株式先物取引や株式オプション取引でも代表的な指数として利用されているこの指数を、詳しく解説していきます。
日経平均の特徴①構成銘柄
日経平均(日経平均株価)とは東証プライム市場に上場している銘柄のうち、市場を代表する225銘柄を対象とした株価指数です。相場全体の流れをつかむ株価指標として最も利用されているのではないでしょうか。
戦後、東京証券取引所が再開された1949年5月16日の単純平均株価176円21銭より算出されており、投資家だけでなく一般の人にも親しまれています。
日経平均の特徴②計算方法
日経平均は東証プライム市場の225銘柄を構成銘柄としており、それらの銘柄の株価の単純平均をベースに新株落ち分を修正して株価に連続性を持たせています(日経225=225銘柄の株価合計÷除数)。
その修正方式がアメリカのダウ・ジョーンズ社の開発したものなので、かつては日経ダウと呼ばれていましたが、1985年5月にその権利を日本経済新聞社が買い取り、株価の算出と発表をするようになりましたので、日経平均株価となっております。
日経平均は、以下の手順で採用銘柄の除外及び定期見直しを行っています。
定期見直し、見直し手順
- ① 市場流動性の計測
- ② 高流動性銘柄の採用と低流動性銘柄の除外
- ③ セクターバランスによる採用・除外
臨時入れ替え対象事由
- ・整理銘柄または特設注意市場銘柄への指定
- ・被合併、株式移転、株式交換など企業再編に伴う上場廃止
- ・プライム市場以外の市場への異動
その為、採用銘柄にはある程度の信頼が担保されているといえるでしょう。
日経平均の特徴③日経平均は一部の銘柄の影響を受けやすい?
日経平均の特徴をみる上で注目したいのは次の2つの点です。
- ・対象銘柄は225銘柄
- ・株価の単純平均をベースに算出している
日本を代表する株価指数がわずか225銘柄を対象にしていることに驚く方もいるかもしれません。
東京証券取引所に上場している銘柄は4000銘柄以上あります。そのうちの1割にも満たない銘柄の動きを参照して算出しているのが日経平均なのです。
また、株価の単純平均をベースに算出しているため、株価の高い銘柄の影響を大きく受けることになります。
表1は日経平均の動きに影響を与える上位10銘柄です。
<表1 日経平均株価採用銘柄の寄与度上位10銘柄>
なんと上位10銘柄で日経平均に占めるウエートが約41%にもおよぶことが分かります。
そして1位のファーストリテイリング(9983)だけでも1割以上ものウエートを占めています。
このことから日経平均は一部の銘柄の値動きに影響を受けやすい株価指数といえるかもしれません。
TOPIXとは
TOPIXとは、「Tokyo Stock Price Index」の略で、東証株価指数とも呼ばれます。日経平均と並ぶ日本を代表する株価インデックスの1つであり、東京証券取引所が1969年7月1日から公表している株価インデックスです。
TOPIXの特徴のなかで注目したい点は以下の3つです。
詳細を順に解説していきます。
TOPIXの特徴①構成銘柄
かつては、「東証第一部に上場しているすべての銘柄」が対象でしたが、2022年4月に、東証が市場区分を「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3つに分類したことで、TOPIXの構成条件は次のように変更となりました(2024年10月現在)。
・プライム市場に上場している銘柄・2022年4月の新市場区分再編成当時のTOPIX構成銘柄のうち、スタンダード市場・グロース市場を選択した銘柄
なお、TOPIXは将来的には全市場区分(プライム市場、スタンダード市場、グロース市場)を対象とし、流動性をより重視して銘柄の定期入れ替えを実施していくなど、投資対象としてより機能性を高めるための見直しを段階的に実施する方針です。
TOPIXの特徴②計算方法
TOPIXは、構成銘柄の毎日の時価総額(全上場株をある日の終値で評価したものの合計額)を基準日の時価総額で割って算出されます。
基準日とは1968(昭和43)年1月4日です。
この日の時価総額8兆6,020億5,695万1,154円)を100として、現在のTOPIX構成銘柄の時価総額がどれくらい増減しているのかということを表しています。
TOPIXの基本計算式=
比較時の時価総額
―――――――――――― ×100
基準日の時価総額
TOPIXの特徴③全体相場の状況をより反映している?
また、株価の平均ではなく、時価総額合計を計算対象にしているため、時価総額の大きい銘柄の影響が大きくなります。
そのため、日経平均と比較したときにより全体相場の動きを反映しやすい、つまり「体感株価」に近いのはTOPIXなのかもしれません。
表2はTOPIXの動きに影響を与える上位10銘柄です。
<表2 東証株価指数(TOPIX)の寄与度上位10銘柄>
それぞれ時価総額が大きく、なじみのある銘柄ではないかと思います。
また、1位のトヨタ自動車でもウエートは約3.8%です。
上位10銘柄を合せたウエートは約21%です。
日経平均10位銘柄のウエートが約41%であることを考えると、TOPIXは一部の銘柄による影響は相対的に小さいといえるでしょう。
株価指数にも投資できる!?インデックスファンドとは
ここまで日経225とTOPIXについて特徴をチェックしてきました。こうした株価指標を参考に、個別株式の投資判断の参考にするというのもよいでしょう。
またさらに、「株価指数に連動した商品に投資をする」という方法もあります。選択肢としては、投資信託、ETF(上場投資信託)、先物取引、オプション取引などが考えられます。
投資信託の中でも、特に株価指数に連動した商品を「インデックスファンド」と呼んでいます。 日経平均やTOPIXに連動したインデックスファンドへの投資は、「指数に連動するため、値動きがわかりやすく、初心者にも適している」という点が魅力です。
ただし、ある意味では、指数に連動するために「指数を大幅に上回るリターンは得にくい」という傾向にありますので、特徴を理解して投資先を検討することが大切です。