そもそも「ファンド」とは
投資を検討する中で、「初心者にはインデックスファンドがおすすめ」などという説明を見かけたことがあるかもしれません。インデックスファンドについて理解する前に、まず、ファンド(Fund)とはなにか、基本を理解しておきましょう。
ファンドとは、複数の投資家から資金を集め、その資金を専門の運用会社が株式や債券、不動産などに投資して運用する金融商品です。投資家はファンドを購入することで、間接的に多様な資産に投資することができます。
ファンドには、インデックスファンドやアクティブファンドといった運用手法の違いや上場しているファンド(ETF)などさまざまな種類があります。
また、ファンドには次のような特徴があります。
特徴①分散投資できる
ファンドは複数の銘柄に投資することで、リスクを分散させることができます。これにより、一つの銘柄が値下がりしても、他の銘柄の値上がりでカバーできる可能性が高まります。また、専門家が運用を行うため、個人では難しい市場分析や銘柄選定をプロに任せることができ、安心して投資を続けることができます。分散投資を通じて、安定したリターンを目指すことができる点がファンドの魅力です。
特徴②元本割れの可能性がある
ファンドには元本割れの可能性があります。これは、投資した金額が市場の変動や運用成績によって減少し、最終的に投資元本を下回ることを意味します。ファンドに限らず投資はリスク(値動きの振れ幅)があり、元本保証がない点に留意が必要です。
特徴③短期間では大きなリターンを得られない可能性が高い
インデックスファンドは多数の銘柄に分散投資しているため、個別銘柄の影響を受けにくく、短期間での大きなリターンはあまり望めません。長期的に安定した成長を目指すため、短期間でのリターンを狙う方には不向きかもしれません。
インデックスファンドとは
インデックスファンドとは、特定の指数に連動した成果を目指す投資信託の一種で、「パッシブファンド」とも呼ばれています。指数には、下記の表のように株価指数、債券指数、リート(不動産投資信託)指数、商品指数などがあります。例えば、「日経平均株価」は、日本の株式市場を代表する株価指数で、日本経済や市場の動向を表す指標として幅広く利用されているため、ニュースや経済レポートなどで目にする機会が多い指数です。
また、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」は、先進国および新興国の約3,000銘柄で構成されており、世界経済全体の動向を反映するように設計されています。世界の経済状況や市場動向を把握する際に役立ちます。
<主な指数例>

※上記の表は筆者が作成
インデックスファンドは、これらの指数を構成する全て、または一部の銘柄を購入することで、その指数と同じような値動きをするように設計されているので、インデックスファンドに投資することによって、特定の市場全体に分散投資が行われることになります。
インデックスファンドとアクティブファンドの違いは?
それに対して、ファンドマネージャーが市場を分析、個別銘柄を選定し、特定の指数を上回る運用成績を目指す投資信託がアクティブファンドです。市場分析や銘柄の選定に手間がかかり、また専門知識が必要となるためインデックスファンドよりもコストが高くなります。また、指数に連動するインデックスファンドとは異なり、運用方針や投資戦略はファンドによって大きく異なります。
<インデックスファンドとアクティブファンドの特徴>

※上記の図は筆者が作成
インデックスファンドのメリット
インデックスファンドには次のようなメリットがあります。
指標と同じ動きをするのでわかりやすい
例えば、日経平均株価やTOPIXはニュースでもよく取り上げられるため、値動きの情報が入りやすく、自分が投資しているファンドの値動きも把握しやすいでしょう。
運用コストが低く抑えられるため効率的な運用ができる
アクティブファンドのように市場分析や個別銘柄の選定を行う必要がないため、アクティブファンドに比べてインデックスファンドは運用コストが低く抑えられています。コストを抑えることで効率的な運用ができると考えられます。
運用の透明性がある
インデックスファンドは特定の市場指数に連動するように設計されているため、投資家はファンドの構成銘柄やその割合を容易に把握することができます。例えば、日経平均株価に連動するファンドであれば、その構成銘柄は日経平均株価を構成する225銘柄と同じです。この透明性により、投資家は自分の投資がどのように運用されているかを明確に理解でき、信頼性が高まります。また、アクティブファンドのようにファンドマネージャーの裁量で銘柄を選定するわけではないため、運用方針の変更や恣意的な判断による不透明性が生じにくく、長期投資を続ける上で安心材料となります。
インデックスファンドのデメリット
インデックスファンドには次のようなデメリットも存在します。
特定の指数に連動した運用成績のため、平均的な運用となる
例えば、日本の株価に連動するインデックスファンドの場合、日本の株式市場が全体的に不調の場合は、その影響を受けてファンドの価格も下がります。特定分野の株価が大幅に上昇していたとしても、その恩恵を直接的に享受することができない点は、デメリットといえるでしょう。
構成に偏りがあるケースがある
インデックスファンドは特定の市場指数に連動するように設計されていますが、その指数自体が特定のセクターや企業に偏っている場合があります。例えば、テクノロジー株が多く含まれる指数に連動するファンドは、テクノロジーセクターの動向に大きく影響されます。このような偏りは、特定のセクターが不調に陥った場合にファンド全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。投資家は、インデックスファンドの構成を理解し、分散投資の観点から他の資産クラスやセクターへの投資も検討することが重要です。
暴落時の回復は緩やかになる
インデックスファンドは市場全体の動向に連動するため、市場全体が暴落した場合、その影響を避けることはできません。さらに、個別株のように急激な回復を期待するのは難しく、回復には時間がかかることが多くあります。これは、インデックスファンドが広範な市場をカバーしているため、特定の企業やセクターの急成長による恩恵を受けにくいからです。投資家は、長期的な視点で市場の回復を待つ忍耐力が求められます。また、暴落時には追加投資を検討することで、平均取得価格を下げる戦略も有効です。
まとめ
インデックスファンドは、指数に連動をする運用のため分かりやすく、手間をかけずに分散投資ができるため、初心者向けといわれることもあります。ただし、リスク(価格変動のブレ幅)がないわけではなく、元本割れをする可能性もあります。そのため、連動している指数について理解をして投資をすることが大切です。