「決算報告書」はここだけでも見ておけばOK──投資を検討する際に 「決算報告書」はここだけでも見ておけばOK──投資を検討する際に

「決算報告書」はここだけでも見ておけばOK──投資を検討する際に

投資をする際に目を通しておきたい「決算報告書」。
しかしその量と細かさのためか、「なんとなく難しそうだから……」と、敬遠している人も多いのではないでしょうか。
しかし決算報告書も、すべてに目を通して詳しく知る必要はありません。
今回は「最低限ここだけ見ておけばOK」というポイントに絞って解説します。

決算報告書とは?──「会社の成績表」

決算報告書とは、会社の1年間の事業成果をまとめたもので、いわば「成績表」です。
投資家は成績の良い、またはこれから成績が上がりそうな会社に投資をしたいもの。
そんな会社を見つけたり、傾向をつかんだりするために、決算報告書を読むのです。

決算報告書は、各企業のWebサイトで見られます。
多くの企業の公式サイトには「IR情報」や「投資家向け情報」といったコーナーがあり、ここで決算短信や決算説明会用資料を見たりダウンロードしたりできます。
中にはサマリー(まとめ)のみを見やすく掲載している企業もあります。

有価証券報告書などの開示書類を検索できるサービス(EDINET、エディネット)もありますが、企業の公式サイトのほうが見やすいかもしれません。

投資家が決算報告書でチェックしておきたい3つの項目

決算報告書にはいくつも種類がありますが、必ずチェックすべきなのは「BS、PL、CF」です。
BSとは貸借対照表、PLは損益計算書、CFとはキャッシュフロー計算書のこと。それぞれの意味と見方をざっくりおさえましょう

(1)貸借対照表(BS)とは?──「会社の財務状況が分かる書類」

まず貸借対照表ですが、BSは「バランスシート」の略。
何が分かるかというと、「会社の財務状況」です。いまどのくらい資産を、どのような形で持っていて、それらはどのようにして調達したのかを示します。
表が左右に分かれていて、左に「資産」、右が「負債」と「純資産」です。この資産の額と、負債+純資産の合計額が同じになるため「バランスシート」と呼ばれるわけです。

左側に書かれた「資産」とは何でしょうか。現金や不動産・売り物の商品・設備など、現在持っているものです。
右側にある「負債」は、借金や投資してもらった他人のお金で、「いずれ返す必要がある資金」のことです。
その下の「純資産」は「返す必要のないお金」のことで、資本金や自社株などが含まれます。

バランスシートがどんな状態がよいのかは、業種や企業規模によって異なりますが、一般的には「資本全体に占める自己資本が大きいほど健全」とされています。
また、総資本が小さくて利益が上げられる企業のほうが効率の良い経営をしていると言えます。

ポイント

  • ■ BSは会社の財務状況を示す
  • ■ BSは左に資産、右が負債と純資産
  • ■ 左右が同額になるからバランスシートと呼ぶ
  • ■ 負債=返すお金、純資産=返さなくていいお金

(2)損益計算書(PL)とは?──「会社の1年間の成績表」

損益計算書はその企業が1年間でどのくらい稼いだのか、そのうちどれくらいが儲けになったのかを表す「経営成績表」です。
PLはProfit and Loss statementの略で、利益と損失を表します。
売上高からコストを差し引いてプラスであれば利益が、マイナスであれば損失が発生したことになります。

何をもって利益とするかは複数の考え方があるため、損益計算書は段階的に5つの利益を把握できるようになっていますが、特に重要なのが「経常利益」です。

本業だけの収益力を表す「営業利益」に対し、本業以外の利益や費用を加えた「経常利益」は、その会社の“総合的な収益力”を表しています。
そして外的要因による利益や損失、税負担などを含めた最終的な利益が「当期純利益」です。

損益計算書で注意したいのは、書類上の売上のタイミングと、実際のお金の出入りが異なることがある点です。
売上があっても代金を回収できていない状態が続くと「黒字倒産」もあり得ます。
こうした点は、損益計算書だけだとその状態には気付けません。損益計算書は、貸借対照表やキャッシュフロー計算書と併せて見る必要があるのです。

ポイント

  • ■ PLはどれくらい稼いだか、儲けたかを示す1年間の成績表
  • ■ 利益には営業利益など5種あるが、一番大事なのは「経常利益」
  • ■ 「経常利益」は本業以外の利益も含んでいる
  • ■ 書類上の売上と実際の入金のタイミングのズレはPLだけでは分からない(BSやCFとあわせて見る必要がある)

(3)キャッシュフロー計算書(CF)とは?──「会社のお金の流れ・動きを把握できる書類」

企業の資金の動きを把握するためにあるのがキャッシュフロー計算書です。
キャッシュフロー計算書を見れば、「帳簿上は利益が出ているのに実際には資金不足」といった状態にもすぐ気付けます。
また、現金が増えたのが営業によるものなのか借金によるものなのかといった「お金の質」を見るのにも役立ちます。

キャッシュフローには営業・投資・財務の3種類があります。
「営業キャッシュフロー」のプラスは本業の儲けのある状態、マイナスは業績の悪化を意味します。
「投資キャッシュフロー」のプラスは不動産や設備などの売却による資金増、プラスは設備投資による資金減を表します。
「財務キャッシュフロー」は銀行など外部からの借入れにより資金が増えた場合にプラスになり、返済や配当金の支払いを行うとマイナスになります。
一般的に業績のよい会社の財務キャッシュフローはマイナスのことが多いようです。

ポイント

  • ■ CFはお金の流れ(キャッシュフロー)を示すもの
  • ■ 営業・投資・財務の3種類がある
  • ■ 各CFで分かるのは、営業CF=本業の状況、投資CF=不動産など投資の状況、財務CF=借り入れなど財務の状況

すべてを理解しなくても大丈夫 興味ある企業の書類を見てみては?

以上、用語の説明をしましたが、これだけで企業の状況や将来性がすぐに分かるわけではありません。

興味を持った企業があれば、一度その企業のWebサイトで決算報告書を見てみてみましょう。
最初はよく分からないかもしれませんが、これらのポイントをもとに同業・同規模の企業と比較することで新たな情報を読み取ることができます。

これらの書類は年に数回発行されているため、一度書類を見て数字・成績がよくても、業績が悪くなってしまうこともあるので注意が必要です。

決算報告書はすべてを読み込む必要はありませんし、すべて理解する必要もありません。
どんなことが書いてあるかだけでも知っておくと、決算報告や企業業績の経済ニュースを抵抗なく見聞きできるようになるでしょう。

執筆者:篠岡 わかな(ファイナンシャル・プランナー)

◆本記事は、auじぶん銀行による提供です。

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